告白
三月十九日、近くの公園で待ち合わせをしていた。私の勘違いで待ち合わせ時刻の三十分前に公園についてしまった。「公園のベンチに座っています」そう連絡を入れた。三月というのもあり、中学生が多くいた。少しにぎやかだった。私は学習動画を視聴していた。受験は終わってはいたが大学で化学を使うであろうと思ったので復習を兼ねて。だが、全然頭に入らなかった。緊張していた。これから私はあの日のことを確かめる。そして告白する。そう思うと余計に心拍数が増すだけだった。
『…もう、勉強は終わったでしょ??休みなよ~』
待ち合わせの時刻よりやや遅れて翔音さんは来た。バイト帰りだったので、そこは許容範囲である。それが翔音さんらしかった。翔音さんは髪が少し伸びて大人っぽさが増していた。インナーカラーをしていて色は金だった。このスタイルはよく目にするので最近の流行なのだろうか。「中学生だった頃の翔音さんはいつも髪を結んでいたからおろしたらこんな雰囲気だったのだろうな。」心の中でそうつぶやく。
「化学が大学で必要なんですよ!」と言って学習動画を視聴するのをやめた。そこからは他愛ない話をした。小中学の記憶が徐々に蘇った。私の想いもまた増えていくばかり…。
『今日はごめんね。友達にドタキャンされなければ、予定狂うことなかったから…。』
「先輩…ドタキャンされるの多くないですか?」
『ホントね…。もう最悪だよ。しかもこれ同じ人で三回目。』
「え!?三回もされてるんですか!?!?その人とはもう、関わらない方がいいのでは?」
『いや~!でも、その子去年からずっと仲良くしてくれる友達だから…言えないんだよ…!』
「あ~!去年はコロナ禍真っ只中で大変な時期だったというのもあるんですね。」
『そうなんだよ!!!』
ここで私は先輩は中々縁を切れない方なのだと知った。
私は遅れるのは人によって許容範囲が変わりますが、ドタキャンは嫌ですね…。ドタキャンする人って相手のこと考えているんでしょうか?」
ドタキャンの話で大いに盛り上がった。
そして漫画を先輩に貸したとき先輩が袋に包まれたものを取り出した。
『これ、誕生日おめでとうと受験お疲れ様』
「!?え!!?ありがとうございます!!!」このご時世、学校にも行けなかったので今年の誕生日はメッセージで来ることが多かった。物を貰ったのは先輩が初めてでサプライズもあまり経験したことがなかったというのと好きな人から貰えたと言うこと、その事実だけでも、とても嬉しかった。
そして、今までのことを話した。文通をしたこと、映画見に行ったこと。私は勇気を出して言った。言え!私!
「私の初恋は…先輩ですよ。」翔音さんは少ししてから、『それは、本当に嬉しいよ。』と言った。
「あのとき、先輩に告白されて、〝両想いだったんだ〟って…本当に嬉しかったんです。けど、先輩はぐらかすから…結局どういう意味だったんですか!?……もう…はぐらかさないでくださいよ…。」翔音さんは暫く黙ったまま前を見ていた。
『…今思えば…そのままの意味…だった…なんでそんなにはぐらかしたんだろう…?引きずらせた私にも責任があるし…縛っててごめんね。今は…好きって感情が分からなくなったの…。』
先輩は言った。先輩自身の過去の恋愛を―。
保育園児のときから先輩はずっと好きな人がいた。小学生になったときその人は親の転勤なのか、外国へ行ってしまった。その間、先輩は感情が薄れていったと話した。中学になってその人は日本に帰ってきていた。先輩は待っていたそうだ。ずっと。しかし、それは叶うことがなかった。一つ下の別の子と付き合っていたのだ。本人曰く『今思えば、あいつは面食い野郎だった。』そうだ。そこからというもの高校の頃先輩は二人付き合ったが自分がアニメ好きというのもあって、推しが多くいた。相手側は俺も愛してほしいとなるだろう。それ故に、愛想を尽かされ向こうから別れを切り出された。先輩は特に悲しくもなく、すんなりと別れを受け入れた。この出来事ともう一つ先輩が言っていたことは『大学の授業、コミュニケーション論って言うのをやってるんだけど、それでなんか人間関係や恋愛とかそういうのにたぶん、悟りを開いた!』と言った。詳細を聞いてみたが興味深かったが、私には難しいと感じていたのを覚えている。辺りはすっかり暗くなり、私たちは帰ることにした。
去り際に私はある決意をした。
「さっき、先輩は、好きという感情が分からないと言いました。なら…待っててもいいですか?先輩が答えを出すまで。」
『いいけど…すごい…時間がかかるかもよ?』
私は、先輩の目をまっすぐに見て言う。
「はい。それでも待ちます。」例えそれが残酷な結果になったとしても。
『まだわからないけど…どんなときでも…そばに…いてくれる?』
「はい。そばにいます。どんなときでも。」
『分かった。』
心の中で決意した。いつ返事がもらえるかは分からない。無限ではない有限な時の中で必ず私はあなたを振り向かせて見せる。と




