覚悟
そのまま、漫画を貸し借りすることで翔音さんに会える。そんな期間が続いた。翔音さんはラインの連絡は不定期なのであまり会えない。だが、新年になったり、誕生日になったら祝うようにしていた。私の恋愛の愚痴を聞いてくれた。このエピソードはいつかの機会に語るとしよう。このエピソードの恋愛に対しても、慰めてくれた。何より嬉しかったのは、共通テスト初日の帰りにメッセージが来たこと。二月あたりにもメッセージが来たこと。翔音さんは私の受験を応援してくれた。あの日の気持ちが、諦めていたはずなのに…。蘇りそうだった。「これじゃあ…縋っているだけじゃないか。こんなの間違っているんだ。翔音さんのことをまだ想っていたとでもいうのか!?私がただ寂しいだけなんだ!!こんなの…寂しいから翔音さんに縋っているんだ!!アイツに縁切られてそれで翔音さんに乗り換えようとしてんのか!?!?馬鹿馬鹿しい…そんなの…あってはならないんだ!!」そう、心の中で言い聞かせた。けど、あの日の真相をどんな気持ちで翔音さんは言ったんだろう…?寝る前に不意にそう思う自分がいた。今までの翔音さんからもらった手紙や映画のチケット、I love youと書かれたメモ。私は今でも大切に箱にしまっている。私の進路についてもラインを通じて報告した。その日に途中まで貸していた漫画を貸したいと翔音さんに言った。翔音さんは日程調整してくれて最終的に三月十九日に漫画を貸しに行くことにした。そしてある決意をした。
「その日に、言おう…あの日のこと。」もう、逃げない。たとえ、翔音さんが私のことを後輩としての好きを伝えたとしても。恋愛することで責任が伴うこと、恋愛に関する傷はもう痛いほど味わった。どんなに残酷な結末になったとしても、私は受け入れる。だから、翔音さん。今度こそ、はぐらかさないで。本当のことを言ってください――。そう祈った。




