文通
部活終わりに私は霞野先輩に尋ねた。
「霞野先輩! あっ……あの! こっこれ!読んでください!」
私は先輩の前で両手で便箋を渡す。また、頬が熱くなるのを感じたので当然下を向く。そして目を閉じた。周りから見れば、これ読んでくださいと恋文渡す状況だ。今思うとよく勇気を出したなと過去の自分を褒めたい。
『ありがとう。返事書くね!』
「……え!?」勢いよく顔上げた。
『返事書くから待っててね!』私の手紙を受け取った。
「え、あ、ありがとうございます!」周りから若干視線を感じた。
「で、では私はこれで失礼します!」
『また明日ね』と霞野先輩は手を振った。私は勢いよく一礼して走った。というか逃げたという方が正しい使い方かもしれない。
「あら、おかえり~。柚木さっき霞野先輩となにを話s……」
「え!?なんでもないよ!?」
「おお、そうか」
「あ、ごめんなんか遮っちゃってた……覚えていますか的なこと話してた」
次の部活で霞野先輩から返事が来るのか…!!嬉しい…嬉しすぎる…。私が書いた手紙の主な内容は文通をしたいということ、過去のことを話したい。ということであったけど…先輩はなんて答えるだろうか…?帰路の中、私はそう考えていた。
次の部活日の帰り、先輩から手紙を渡された。一人で帰り道歩きながらその手紙を開けた。便箋はとあるキャラクターで八十年代に流行っていたであろう折り方がされていた。シールが貼ってあって、なかなか可愛かった。手紙にはこう記してあった。
【『柚希ちゃんへ手紙ありがとう!「さん」づけ全然OK!普段それでもいいからね~。敬語もなし!でOK♡確かに他先輩は厳しいかも。怖いから…。でも、文通よろしく★言いたいこととか、もうどんどん言っちゃっていいよ!相談も受付中!!じゃあ、これからもよろしく★ 翔音』】
「やっ…やったああ」と私は心の中で叫びながらへなへなとしゃがみこんだ。嬉しかった。信じたいからこそ、自分の過去を言いたいと思う自分が変だと思っていたことが多々あった。何故なら、かまって欲しいというのを曝け出しているようだったから。だが、先輩の字を見て、信じてみたい。と思った。この日から約二、三年近く翔音さんとの文通が始まった。
自分の中にある部活での悩み、自分の過去を綴った。過去を泣きながら書いていたのを覚えている。馬鹿にされたってかまわない。それでも、知って欲しいと思いで書いた。翔音さんは決して私を馬鹿にはしなかった。
【『ありがとう。頼りないかもしれないけどこれからも頼ってね。』】
と手紙にそう記してあった。改めて救われた気がした。そこから暫く冬休みや行事を挟んでいたので、お互いの家のポストに手紙を入れてやり取りしていた。毎日ポストを見るのが楽しみで仕方なかった。
ある日、テストの点数でお互いに言い合うときがあった。そこで翔音さんが手紙で
【『数学が苦手』】と言っていた。私は過去を言って受け入れてくれた翔音さんに何かでお返しをしたかった。そこで私には数学の参考書があったので、それを翔音さんに貸した。定期考査が近いというのもあって、
【『お互いに頑張ろ!』】とも書いてあって、やる気が出ていた。が、私のテストの点数はあまり良くなく、部活でも、先生にいろいろなことを言われて悔しかった。それでも翔音さんは慰めてくれて救われてばかりで申し訳なかった。




