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祈るということ  作者: 吾井 植緒
邪神編
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邪神との戦いというもの

頑張ります。

蛇王の斥候によって、邪神はゆっくりと帝国に向かっているという。

ちょうど、岩山がある地点で迎え撃とうということで、今我々は進軍している。というか、砂漠に岩山あるんだ。


先頭に神殿騎士団、帝国軍、公国軍。その後に神官団と神輿に担がれたわたしである。

歩くのが遅いからではない!決してない!

大神官は歩いてるのに、担がれているのはわたしが1番偉いからである。

帝国のいぶし銀マッチョダンディに簡易神輿(屋根付き)の上で両脇にライとユキを従え、後ろに監視役(大神官がそう言った解せぬ)兼護衛のボクっ子とで担がれている。

ボクっ子、お前は歩け。


「あ、見えました!」


岩山を登りきった所で邪神が見えたようだ。神官が言う。

先陣のセイ達はもう岩山を降り始めている。


そういえば出発前、セイや王子様達にハッパをかけに行ったのだが、冷たく追い払われてしまった。解せぬ。これはわたしと邪神の戦い(名目)ではないのだろうか。

特に神殿騎士のセイが冷たいのが気に食わん。そっぽを向いてたし。


「今は戦い前で高ぶっています。そっとしておきましょう。」


そう大神官に慰められたのが、かなり堪えた。

わたしは邪魔している訳ではないのだぞ!プンプン!

もういいと後ろを振り返った時に蛇王が唯一、「聖人、ありがとな。帝国を邪神のエサにするわけにはいかねぇ。お互い頑張ろうな。」と言ってくれた。

そうだ。我々が負けると、まず帝国がやられるのだ。邪神が人間を食べるか分からないが、帝国民は国境近くのオアシスに避難を始めているという。

実は帝国の境界線で王国軍が待機してくれているのだが、その近くだ。今回、王国軍が参戦していないのは、蛇王が王国軍を帝国に入れるのを嫌がったからだ。

「帝国と王国は同盟組んでないからな。何かあって、領地取られたらたまらん。」

だそうだ。王様も大変だなぁ。


「あ、そうだ。ミコ様、これを。」


大神官から何か差し出された。見ると、イヤホン付きのヘッドホンと双眼鏡である。


「かぁわいい。」


そう、一つ問題がある。ヘッドホンにうさぎの耳が付いているのだ。


「神器です。」


わたしが胡乱な目を向ける前に大神官が言った。


『いやこれ「神器です。」…』


「神器です。どうぞ装備してください。遠くの声が聞こえますし、声を通す事も出来ます。」


へえ、便利。ってホントかいな。


渋々付けると確かに岩山を降りるセイに王子様が話しかけてるのが聞こえる。


「義姉上様に一応別れを言わなくていいのか。万が一もあるぞ。」


「万が一なぞない。ミコ様がいる限り、全快で死ぬことはない。」


「そうだけどさぁ。」


王子、もっと言ってやれ。騎士っぽく「言ってまいります。」位言えって。


わたしは聞くのに夢中で、プークスクスしていたボクっ子に大神官がゲンコツを食らわせてるのに気付かなかった。


【わらし…わらし…】


邪神の声が聞こえる。高くもなく低くもない。ノイズのような声。わらしとは何だろう。この場合。わたしを指すのが1番の候補なんだが。


【わらしをさらった神…許さない…】


いや、別にさらわれた訳じゃない…しかし大きな意味ではさらわれたのか?

同意はしたが、拒否権はなかった気がするぞ。神様め。とまで考えて、神様の返答がないことに気付いた。大丈夫だろうか。強化した空間をこじ開けられてるんだ。無事とは思えん。

セイの態度といい、心配事が多いなぁ。

わたしがため息をつくと、それが辺りに響き渡った。


【わらし!みつけた!みつけた!】


【かえろう!わらし!かえろう!】


邪神は王子の言った通りのドロドロを蠢かし、喜色を示した。


「勝手なこと言ってんじゃねーよ。」


大きく飛び上がり、大剣を構えた蛇王が言う。


「聖人は我らが世界に必要な存在だ。」


「喰らえ!蛇呑斬り!」


まるで蛇が丸呑みするように触手の一つが霧散した。


【ギャーー!】


それを皮切りに邪神との壮絶な戦いは始まったのだ。


「くっそ。俺等もカッコイイ必殺技用意しとけば良かったぜ斬り!」


「オレ。今思いついた。神力斬!」


「なにそれ真似したい斬り!」


「魔力弾装填!撃て!」


「リラックス、からの乱打!」


双眼鏡で見ると帝国軍の一部が金パンツいっちょである。そして黒光りした肌。鋼の肉体。マッチョ軍だぁ!

彼らがポージングすると金色の光が辺りを照らし、触手や汚泥の動きを止める。そして素手で乱打すると凍った物質を破壊したかのように、弾け飛ぶのだ。


「ちょっとあれ、滅茶苦茶だろ。」


公国軍から呆れた声が出る。


「モストマスキュラー!」


【ギャー!おのれ人間の分際でぇええええ!】


邪神の中心が上に伸び、汚泥が収縮する。


ドォオオオオオオオオオオオン!!


激しい音とともに中心が落ち、収縮した汚泥が凄い勢いでみんなに襲いかかる。


『みんな!危ない!』


「神力ビーム!撃て!」


わたしの声と同時に大神官の指示が飛ぶ。

神力ビームは各軍の前に当たり、全体的な被害は少ないが汚泥に呑み込まれた人も少なくない。


「くっそ!粘っこくて、外れねぇ。」


「任せなさい!ダブルバイセップス!」


ピカー!!

マッチョ軍達が渾身のポージングをすると、汚泥が嫌がるように引いていく!今までのポージングとは筋肉の張りが違う。くっそ、キレてるよ!と掛け声をかけたくなるじゃないか!やるな、マッチョ教。


「はぁ、助かった!サンキュー!」


「団長もアレ出来ないんですか?」


「バカ言うな!オレは特殊な訓練を受けてねぇ!」


そうなの?

なんて声を拾っていると、王子様の華麗な斬撃が双眼鏡の隅に入る。急いでそちらに向くと、セイが気合を溜めている所だった。


「今だ!セイルース!」


「はぁあああ!やあ!」


秘剣から黒い大きな衝撃波が飛んでいく。


【うぎゃぉおおおおおお!】


パリン!


その衝撃波は中心部分にあった恐らく邪神の核だろう珠にヒビを入れた!


「やった!効いてるぞ!」


「一撃では無理か。」


「そう簡単に済んだら邪神はいない。次、打てるか」


「ああ!」


二人はいいコンビネーションだ。


【おのれ!おのれ!人間!】


【あまくみた!あまくみた】


邪神から黒い影が湧いてくる。何か嫌な予感がする。


『みんな、なんか仕掛けて来るぞ!』


それは邪神の上で黒い雲となり、稲光を放ち始める。


【滅びろ!人間!】


【わらしいがいいらぬ!】


邪神がそう叫ぶと、黒いビームがみんなの上に振り始めた!


「「うわぁあああ」」


「ぬ、いかん。ポージング結界!」


マッチョ隊が何人かをポージング結界で助けてくれたけど、何人か怪我をしたようだ。見たくない。

見たくないが、双眼鏡を覗き込む。


団長が血まみれで何人かを庇っていた。

他にも忍者が足を引きずっている。


ここはミコ様の出番である。


『全快!!』


「「ミコ様!」」


途端に治ったけが人が喜んでいる。嫌だけど、全部見回して死人がいないのも確認済みだ。


「クソー、いてぇじゃねーか!」


「邪神にビームを撃たせるな!魔力弾装填!撃て!」


蛇王と公国軍の連続攻撃だ。

効いてはいるが、雲は晴れない。


「はぁああああ!とお!」


セイがまた黒い衝撃波を撃った。

斬撃の波は中心まで届くが核が無い!


【はぁずれぇえええええ】


そう言うと邪神は中心を上に伸ばし、また汚泥攻撃をするつもりだ。


「くっそ、こりゃ消耗戦になるぞ!」


蛇王が後退しながらぼやいた。

マッチョ隊が前に出て、ポージングの準備に入る。疲労と痛みは全快にも治せない。肩こり、腰痛には効くのに!


「セイルース!上を狙え!」


「よし!せい!」


秘剣から繰り出される衝撃波が上に伸びた中心を攻撃する。すると油断していたのか、核があり、またヒビが入った。もう少しで割れそうだ!


【よくも!よくも!】


「単純なんだよ!邪神の類はよぉ!」


煽る王子様もワイルドでかっこいい。

しかしセイも何か技名をつければいいのに、真面目だか「やあ」「とう」「せい」である。最後のセイ…じゃなかった「せい」は紛らわしいにも程がある。


バリバリバリ!


また邪神の雲が音を立て始めた。ヤバイ、邪神ビームだ。

全快は正直無限に使える気しかしないが、当たりどころが悪いと死んでしまうかもしれない。

わたしはそれに気付いて、ゾクッとした。


技名のない神殿騎士団(セイ含む)

なにげに技名のない王子様

ちょっとセンス無い蛇王


すいません。作者のせいです。

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