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祈るということ  作者: 吾井 植緒
邪神編
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援軍というもの

おまたせしました。

あれから数日経った。

セイは鞘に入れた秘剣を持たされて、初回こそぶっ倒れたものの、今は眉間にシワを寄せて徘徊している。

ちょっと怖い。というか、爽やかなドラマ系若手イケメン顔にシワが似合わない…!残らなければいいが、と変な心配をしてしまう。


今日はとうとう抜刀日だ。


それとともに頼もしい援軍が現れた!

我のパンツ恩人、リジー率いる神官隊と、ゆるふわ隊である。ちなみにゆるふわ隊は同行者が多過ぎるということで、王国で神殿に追い返されていた。


「緑の魔女だ。」

「邪神の卵相手に戦ったというあの伝説の!」

「頼もしいけど、恐ろしいぜ。」


騎士のもはやヒソヒソしていない話を聞いて、わたしは驚いた。邪神の卵と戦っただと…!?


「邪神の卵は異空間に封印しただけですわ。」


緑の髪をサラッとかき上げるリジー。カッコイイ。


「秘剣の話は聞いています。邪神も常に邪気を放ちますので、注意が必要ですわ。」


「「マジかー。また吐き気との戦いかぁー。」」


「戦いに集中していれば、気にならんだろ。鍛錬、鍛錬。」


ガハハと団長が笑った。流石、初回に吐かなかっただけはある。


「抜刀!」


王子の言葉にセイが秘剣を抜いた。

まず、ゆるふわ隊が吐いた。ゆるふわだけ、剣を地面に指し、それを支えに仁王立ちしている。顔が気のせいかな、劇画調だ。


「ミコ様の前でカッコ悪い所は見せられん!」


漢らしい!


対してリジーは涼しい顔だ。リジー隊も顔色が悪い程度だ。


「結界で身体を覆えば無問題ですわ。我らは、邪神の卵との戦いで習得済みです。」


「ズリーぞ、神官!俺等がそれやると剣に神力纏えないじゃねーか!」

「結界は盾にしか使えねーんだよ!邪気避けにしたら直接攻撃くらうじゃんよ!」


騎士のブーイングにリジーは笑う。


「オホホホ!3種以上使いこなす猊下に比べれば大した事ありませんわ。騎士は2種が限界。残念でしたね。」


「ミコ様、神官は神力が3種は最低使えるけど、騎士は2種までなんだよ。」


ボクっ子が解説してくれる。なるほど~。

ハッ!未だ全快と結界の2種しか使えないわたしは騎士レベルということなるではないか!マズイぞ。ミコとしての威厳を保つにはなんとしてもミコビームの習得をしないと…。

内心焦るわたしの耳にセイの叫び声が聞こえた。


「うわぁあああああ、ミコ様!!」


見ると、セイは黒い影に覆われている。


「幻覚に取り込まれるな!抑えつけろ!!」


王子様の言葉も届かないのか、セイは黒い影に覆われたまま闇雲に秘剣を振っている。


『セイ!わたしはここだ!心配するな!』


わたしの激にハッとしたように振り向いたセイの目は真っ黒だった。宇宙人に乗っ取られた人みたいだなと思った。


「ミコ様!うぉおおおおお!」


秘剣を構え直し、セイが気合を入れると神力を使ったのかキラキラとした光が黒い影を追い払った。


セイに駆け寄ると、膝を着いていたが全快するほどではなさそうだ。


「はぁ、はぁ…。」


荒い息のセイに王子様が声をかける。


「ギリギリ、落第だな。義姉上様の言葉がなければ取り込まれていたかもしれん。」


「取り込まれたらどうなってたの?」


ボクっ子が素朴な疑問を問うと、王子様が苦い顔をした。


「ミニ邪神みたいなモンだからな。オレが斬ってた。」


こ、怖ぁー。声がけして良かった〜。


「不甲斐なく。ミコ様、申し訳ありません。」


『これからだ。精進せよ。』


立ち上がり、頭を下げたセイの前に立ち、激励を送る。


「はい!」


返事は良いのに、なぜか顔をそらすセイ。

そらした方まで向かうわたし。


また別方向にそらすセイ。

そらした方まで向かうわたし。


何回か繰り返して面白くなってきた。


『大丈夫k「大丈夫ですってば!」


「はっ、ミコ様!申し訳ありません!!」


土下座する勢いのセイを立たせて、よいよいと宥める。


「ミコ様に心配されながら、キレるとはなんて失礼な!」

「ミコ様にあんなに構ってもらって羨ましい…。」


騎士やリジーのセイへのブーイングによいよいと宥める。

しかし、なぜかセイとは最後まで目が合う事はなかった。


『セイのような(好青年な)人間でも、キレるんだな。』


「反抗期じゃない?」


ボクっ子は頼りにならない。


※ ※ ※


秘剣を抜刀していても、リジーは神力ビームで石を破壊していた。しかし出力に納得がいかないらしく、騎士に何度も石を運ばせていた。


「大神官猊下のようにワープが使えれば、こんなに苦労することもなかったんですけど。」


いやいや、抜刀状態でそんなデカい石バンバン破壊しといて、何言うとんねん状態である。


「猊下もまもなく選抜隊とともに到着しますわ。それまでに、後方支援の戦力を整えないと。」


大神官は自分だけじゃなくある程度の人数ワープできるらしい。もうアイツが戦った方がいいんじゃね?


「猊下と我々神官はミコ様と共に後方につきます。神力ビームで騎士達を支援、回復も行います。ミコ様の全快もありますが、どのくらい戦いが長引くか分かりません。なるべく全快は死人が出そうな時にお願いします。」


わぁ、戦いって感じが実感出てきたぁ。緊張するぞう。


うむ、と頷いたわたしにリジーは微笑む。


「ご安心ください。ミコ様には指一本触れさせませんわ。」


「緑の魔女が笑った」

「恐ろしい…」


どこがじゃ、アジアンビューティーなかわいい笑みだったじゃんか。


「ミコ様、見る角度で違うんだよ。」


ホント、ボクっ子はいい加減である。


※ ※ ※


ミコ様はやることないからって、リジーに追い出された我々は秘書さんに案内され、また中庭テラスで休憩していた。

ミコビーム試したかったのに…。


「メロヌールさんがいない?」


「はい。公国まで、公子の文書を届けに。あと魔銃騎士団を借りに行きました。」


あ、そうか。メロンさん外交官でしたね。そこ、良く覚えてたな、とか言わない!これくらいは覚えられるのさ!いつもおいしいケーキ作ってくれるしね!パブロフの犬かい、という神様のツッコミは無視した。神様は空間強化に邁進しろ。


「わが王の犠牲もあり、邪神に効くデータが取れたとかで、最新魔銃を公子が今部屋にこもって用意していますよ。心強いですね。」


「ミコ様がいなくなったら、この世はどうなるか分かりません。邪神には速やかに退場してもらいましょう。」


「賛成!」


わたしが来る前の世界を思い出したのか、苦い顔をした秘書さん。すぐに明るい顔になり、放たれた前向きな言葉にボクっ子が元気良く手を挙げた。


わたしも賛成である。


いよいよ戦いが近づいてきました。


ミコ様アイは特殊なので、視界の隅っこで相手が自分を見ているか確認できます。自分は見ているようで見ていないくせにヒドイ人間です。

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