神獣というもの
今日は頑張れました。
ライとユキに癒やしてもらいたくなる位、心に余裕があるのは我が軍の勝利を信じているからである。
飽きたとか感がちゃったが、ちゃんと信じているのである。…本当だよ?
神様の無言の威圧に言い訳しながら、帝国城に着いた。
帝国はオアシスに隣接しているので、緑豊かである。このオアシスは別名「神の泉」とも言われていたのだが、一時期枯れそうになり、それを戻したのが何も隠さないわたしである。
ミコたるわたしが祈った結果である。赤ペン神官が言っていたので間違いない。
蛇王がわたしに興味を持ったのも、コレが理由らしい。
ともかく秘書さんに先導され、中庭でライをドッグランよろしく走らせる。カワイイ。走っていいの?と目をキラキラさせる所なんか物凄いカワイイ。
わーいと走っているライを見もせず、ユキはわたしの膝の上である。カワイイ。すやすや眠ってるのかどうなのか、不明なのもカワイイ。
そういえば、ここ数日わたしは祈っていない。神様がこの世界の境界の強度を強めるのに集中しているからだ。たまにコミュニケーションを忘れないが、邪神が早々入れないようにしているらしい。
それもこれも、わたしが地道に世界を安定させる祈りをしていたからである。ドヤァ。
なんてね。毎朝の日課が無くなってなんか物足りないミコ様である。
こうなったらミコ様ビームを習得して、邪神倒しちゃうか。手柄総取りするか。
というか、どうすりゃビームでるか知らんけど。
ユキを撫でながら、そんな事を考えていると、メロンおっぱいのメロンさんがやってきた。
お茶とケーキをサーブしてくれるらしい。
「ミコ様の為に、私が作りました!」
真っ赤になって言うメロンさんに、片隅に控えていた秘書さんが驚愕の声をあげた。
「ダークマターじゃ、ないだと…!」
暗黒物質?!
「厨房の全員で時間差で毒味しましたが、視認ゼロ。美味でした!」
メロンさんの後ろから、シェフらしき人が報告する。
「バカモノ!厨房全員で毒見すんな!全員死んだらどうする!」
「いや、最悪ミコ様がいますんで、解毒してもらえるかなぁと。」
「う、う〜ん。まあそうだが…。ミコ様を便利な薬みたいに使うんじゃない!」
「はい!すいません!」
「まあ、全員無事だったので、いい。奇跡を目の当たりにして、私も驚いているんでな。」
失礼しちゃう!とプリプリしているメロンさんは、途端にモジモジに変わり、ケーキをわたしの前に置いてくれた。この辺は謎だが、相変わらずである。
「うわー、キレイな薔薇のケーキだ!」
ボクっ子も嬉しそうだ。
「ミコ様、前みたいに分解して食べないでよ。失礼にあたるからね!」
一転、怒られた。
確かにケーキを変な食べ方をすると定評のあるわたしであるが、メロンさんの力作を本人の前で分解する訳なかろう。失礼なヤツである。
「申し訳ありません、ミコ様。ミコ様の器の大きい事をいいコトにボクらちょっと調子に乗ってました。」
察しのいいのも考えものである。怒ってはいないのに怒っていると思われたのだ。ボクっ子には悪いことをした。
『気にするな。親しみやすいということもミコたる者には大事なことだ。』
「ありがとうございます!では今まで通りいきますね。」
それもどうかと思う。流石ボクっ子、言質を取ったと色々言ってくるに違いない。
「失礼な。ちゃんとわきまえますって。それよりケーキ食べましょう。お茶は気をつけて下さいね。ミコ様、猫舌なんだから。」
気づかれていただと…!
「ふうふう、が長いんですよ。みんな気付いてますよ。」
は、恥ずかし乙女!さり気なくふうふうふうふう、しているつもりだったのに!
「それよりミコ様、神獣様の事聞かせてくださいよ。出会いとか。」
出会いか…。
まずはライだ。
あれは雷の夜の事だった。こちらで言う食品を扱う商店で買い物の帰りに、それはそれはカワイイ子犬に出会ったのだ。
「一緒に来るか?」
「わん!」
まるで声を掛けられるのを待っていたかのように、子犬は尻尾を振り、我が家まで着いてきて今に至る。
「ええ〜、色々ツッコミたい所満載なんですけど。でも神獣様だからなぁ。運命の出会いなのかなぁ。」
次はユキだ。
あれは雪の夜の事だった。商店で買い物を済ませると、雪が動いている。良く見れば、それはそれはカワイイ子猫ちゃんだった。
「一緒に来るか?」
「にゃ~ん。」
まるで声を掛けられるのを待っていたかのように子猫ちゃんは尻尾を揺らし、我が家まで着いてきて今に至る。
「え〜!ユキ様、可愛く鳴けるんじゃん!」
『いや、この一回だけだ。』
「Oh…。」
ボクっ子が欧米人になった。
そう、なぜか愛らしいユキはあの一回限りで鳴き声を封印し、今の不可解な鳴き声をあげるのであった。
「ぶにゃ。」
「あ、ちょっとにゃ~んに近いですよ!ユキ様もう一回!」
ボクっ子の懇願にユキはプンとそっぽを向いた。
「ああ〜、ユキ様〜。そこをなんとか〜。」
可愛く言ってもダメなものはダメである。
「わんわん!」
ライが戻って来た。
すぐさま秘書さんが水の器を差し出す。できる秘書さんは一味違う。
「ライ様はカワイイですよね。ボクには懐いてないけど。」
そう、ライはなぜかボクっ子が嫌いなのである。
手を出せば噛み、近寄れば唸る。
わたしが付いてれば大丈夫なのだが、全面無視である。撫でようとすると飛んで避ける。
不思議だがライは神官全般が苦手みたいなので、なにか理由があるのだろう。わたしと出会う前に牧師とか神父に虐待されたとか…。
メロンさんがワクテカしているので、撫でるのを許してあげた。メロンさんならライも噛まないだろう。案の定、尻尾を振って喜んでいる。
「く、悔しくなんかないんだから!」
そうそう、ケーキはシェフが太鼓判を押すだけあって、大変美味であった。
褒めたらメロンさんはナゾの踊りで部屋を出ていった。秘書さんが誤ったが、メロンさんなので許してあげよう。
メロンさんが爆乳なのが判明。
それと暗黒物質の生成者であることも判明。
ミコ様への供物だけは美味になるという奇跡。
それとライとユキとの出会いが判明。
どちらも声を掛けて着いてきたというナゾ事実。
まだまだ秘密がありそうです。




