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5月 〜おまけ〜

【5月 〜おまけ〜】


シャコーーー


 「ありがとう。

 あなた達新入生が4人も入部してくれたおかげで、文芸部は廃部の危機を免れました。ホント嬉しい。」


 「いえ、とんでもないです! 私たちも文芸部に興味がありましたから。

 変な噂を信じて入部を躊躇っていたのが、むしろ申し訳ないというか。」


シャコーーー シャコーーー


 「でも...私たち女子は良いんですけど、男子2人は...文芸部、なんですか、ね?」


シャコーーー シャコーーー シャコーーー 


 「うーん…。まあそれは、これから私たち女子3人で頑張って、興味を持ってもらいましょう。」


 「「はい。」」


シャコーーー シャコーーー シャコーーー 


 「......。」

 「......。」

 「......。」


 男子2人は、孝多くんとミニ四駆を走らせていた。



 孝多くんは先日、私がちょっと目を離した隙に、部室の内周一杯にサーキットコースを作り上げていた。

 一周20m以上あるよね? これ。


 「男子部員を呼ぶならこれですよ。」

 うん。文芸部じゃなければそうかも知れないね。


 • • •


 新年度が始まり、しばらく経っても新入部員は来なかった。廃部の危機が頭をよぎる。

 勧誘ポスターだけでは駄目だ。焦る私は、直接一年生に声をかけて回ることにした。

 しかし、その過程で私は驚くべき事実を知り卒倒しかけた。



 私は幸多くんの影響力を見誤っていた。

 彼は有名人なのだ。誰にでも話しかけるし、誰でも好きになるし、誰からも好かれる。もはや彼は全校規模での愛されキャラだった。


 そして、常にその隣にいる私の存在...。


 いつの日か、『文芸部室は幸多夫妻の巣にして何人も侵すべからず』というとんでもない不文律が校内に生まれていたのだった。


 『え、あの部室、入って良いんですか...?』


 それを聞いた日、私はどうやって家に帰ったのかを覚えていない。



 流石の幸多くんもこれには驚いていた。

 そこからは二人で必死に誤解を解きつつ、勧誘活動に奔走したのだ。


 「違うんだ?」

 とは、顧問の先生。

 違わなかったら大変なことでは?



 とにかく、その後の必死の勧誘活動の甲斐あって、何とか4人の新入部員獲得に成功した私たち。


 ただ、そのうちの男子2人は、幸多くんが連れてきただけあって、文芸にほとんど興味が無い子だった。

 とりあえず新しい仲間を自分の巣に連れて来ました。はい連れて来られました。みたいな顔をしている。


 そして、その下級生のためにと幸多くんが頑張った結果が、先のサーキットコースだ。

 凄いけど、そうじゃない。そして遊ぶな後輩たち。本を読んで。


 ああ、歴代文芸部の先輩方。

 私の代での廃部は免れましたが、今後先輩方の知る文芸部に戻れるかは自信がありません。


 • • •




 「ねえ詩織。...あの噂、本当に嘘なのかな?」コソコソ


 「だよね。先輩方って、いつもぺったりくっついて座ったまま、全然離れないよね。」コソコソ



 噂の原因は私にもあったんだ。

 ...そりゃそうだよね。今さら気づく私も割とおかしい。

 これは幸多くんのせいだ。きっとそうだ。




おしまい


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