2月
【2月】
「はい、チョコ」
「おおぉっ!!」
バレンタインデー。
一応プロポーズ(?)されている身としては、無視してはいけないイベントだろう。
きのこ型チョコ自作キットを渡す私。大喜びだ。気に入ってもらえて何より。
• • •
「ドコダカドンコ ドコテントン、ドコダカドンコ ドコテントン…。」
嬉々としてキノコチョコを作る後輩くんを見ながら考える。
彼のことは確かに好きだ。手はかかるけど、かかるほどかわいいということだろう。
ただ恋愛対象になるかというと、想像がつかない。
でも、恋愛感情が無くても結婚している人もいるしなぁ。
そもそも彼の結婚観も、恋愛ありきじゃないような気がする。
つがい...?
「ドコダカドンコ ドコテントン…」
しかし、私にとって結婚はまだまだ遠い世界の話だ。現実感がない。
嫌いではない。むしろ好ましいと思う。いっそ一緒に暮らすのだって、やろうと思えば出来そうだ。
「ドコダカドンコ ドコテントン…」
一番近い感覚は『弟』だろうか。でも家族じゃない。恋人でもない。
なんだろうこの関係は。
...あれ?
なんで私までこの子と暮らす前提で悩んでいるんだ?
駄目だ駄目だ。気分を変えよう。
そうして、後輩くんの隣で何気なくパソコンを開く私。
「先輩、犬飼うんですか?」
何気なく、『ハスキー 飼い方』と検索エンジンに打ち込んでいたところを見られた。
無意識って怖い。
「他意は無いよ。ホントだよ。」
「なんですかそれ?」
• • •
「見て見てこれ!」
後輩くんの方を見ると、机の上には巨大きのこが鎮座していた。見ればチョコの箱が二つ開いている。使われず打ち捨てられたきのこの型が、哀愁を漂わせている。
型を無視してオリジナルを作ったな。
やれやれ。本当に厄介な子だ。でもそれがまた面白くてかわいい。そう思ってしまう私も大分毒されてしまったのかな。
「超デカい〜。」
「ふふっ。『超デカい』ね。」
関係はどうあれ。自分が思う以上に、私はこの子との毎日を大切に思っているのかもしれない




