表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人魚冒険譚  作者: マコト
11/22

宿屋でのんびり





宿屋の部屋は机に椅子、ベッドとシンプルながらも清潔感があり、レーネがこまめに手入れしている事が窺えた。ユーラはひとまず机に荷物を置き、「んー!」と椅子に座り伸びをする。久々の地上をほぼ一日中歩き回ったのだ。疲れてしまうのも当然だろう。


一息ついたユーラはいそいそと紙袋からサンドウィッチを取り出した。ユーラが頼んだのは「ランダムサンドウィッチ」だ。他のサンドウィッチメニューは同じ味のものが2個入っているのだが、これは同じ値段で3個入りの代わりに味がランダムとなっている。ユーラは好き嫌いもないので「色々な味が楽しめて多く入っていてお得だ!」と迷わず選んでいた。取り出したサンドウィッチは、紙で包まれており、中身はまだ見えない。ユーラはわくわくしながら包みを開けていく。


1つ目は目玉焼きとチーズを挟んだシンプルなものだった。卵はしっかりと火がいれてあり縁がカリッとしている反面、チーズはチーズソースなのかトロリとしていてパサついた黄身のかわりに滑らかさをプラスしてくれている。味付けは塩胡椒のみのようだが、チーズと卵のまろやかさを胡椒がピリリと引き締めてくれていてとても美味しい。夢中になって食べたユーラは、「あと少し食べたいな…」と、次の包みに手を伸ばす。


次はパストラミとレタスのサンドウィッチだった。薄めに切られたパストラミが何枚か重ねてあり、ボリューミーだが、一緒に挟んであるレタスと少しかけてあるレモン汁のおかげでさっぱりと食べられる。


あっという間に2つのサンドウィッチを食べ終わり満腹になったユーラはもう1つは明日食べる事にした。お腹もくちて「ほぅ……」とひと息。喉の乾きを感じたユーラは「飲み物買ってなかったな…」とひとりごちながら水球(ウォーターボール)で作った水に直接口をつけてゴクゴクと飲む。



「ぷはっ!…よく考えたら何かを飲むのも久しぶりだったなぁ…。ずっと海中だったし。明日からはちゃんと水分補給しないとな〜。」



思ったより喉が渇いていた事に気がつき、反省しながら飲みきれなかった水球を眺めているうちにユーラはだんだんと水に、というよりお風呂に入りたくなってきた。人魚の間はずっと水の中にいたからか、「お風呂に入りたい!」という欲求はわかなかったが、ユーラだって元日本人。沢山歩いて疲れた今日はあったかい湯船に浸かってむくんだ足をもみもみしたいのだ!


だが、この世界ではまだ湯船の文化はなく、ユーラがレーネに聞いたところ、サウナのような公共浴場か、部屋で体を拭くか、もしくは魔法を使うのが体を綺麗にする一般的な方法だと言われた。お湯は言えば用意してくれるが、湯船に使うには少ないためユーラは断っていた。


では、湯船に入れないのか……と思った諸君。ユーラには秘策があるのだ。秘策といっても水球を大きめにだしてそれをお湯にして入るというだけだが。お湯にする方法は魚を茹でる時に使っていた魔法のアレンジだ。とりあえずお湯を出してみると、湯気で周囲が湿っぽくなり始めた。このままだとベッドがジメジメになっちゃう!?とあわててユーラは水球をもう1つ用意し、お湯の水球を中を空洞にした水球に入れた。ついでに、仕切りを作って脱衣スペースも作りスケスケではあるが擬似的な風呂場を作り出した。風呂場にした方の水球は表面を魔力で強化してあるため、乗っても突き抜けない


これは暇を持て余した人魚達が水球であそ……魔力操作を磨いた結果出来るようになった技術だ。ユーラもしっかりと教えてもらい、お湯から氷、形を変えることもお手の物だ。


湯船の準備が終わり、いそいそと衣服を脱いでいくユーラ。湯船に入る前に、レーネとの話にも出ていた体を綺麗にする魔法「洗浄(ウォッシュ)」で汚れを落とす。海の中だといまいち実感がなかったが、汗やほこりにまみれていたであろう今日はすっきり感がよく分かり、「おぉ〜」と感心するユーラ。野宿する時や、急いでいる時なんかに重宝しそうだ、と思いながらお待ちかねの湯船へ足を入れる。



「ふぃ〜〜……」



全身を沈めるとユーラは自然と声を出していた。水で作った湯船は柔らかくて居心地がよく、足を揉みほぐすと体の力も抜けていく。一通りマッサージし終わり、体が温まり…というよりあつくなってきた頃。ユーラは今度は人魚に戻って水に沈みたくなってきた。



「〜〜♩」《聖唄(ホーリーハミング)



これはデバフ系を取り除いてくれる呪歌で、ユーラは自分にかけた「ヒレが足になる呪い」を解いたのだ。実はヒレが変わっているだけなので、水中での呼吸は足のままでも出来るのだが、ユーラはヒレに戻りたい気分だったのだ。


足がヒレに戻ったユーラはお湯をぬるめにして増やし、体を完全に沈めて揺蕩う。最近までこんな風に揺蕩って過ごしていたはずだが、久々だなぁ〜と感じるユーラ。地上に行かなければならないと伝えられてからは準備で忙しく、今日1日の密度も濃かったためだ。


気楽に海に漂う暮らしを気に入っていたユーラ。だが、久々に地上にでて、様々な事を体験した今では、やりたい事が色々と浮かんできていた。美味しい物を色々食べたいし、綺麗な景色や町並みなんかも見たい!せっかくの2度目の人生、それも異世界。思いっきり楽しまないと損だ!とユーラは異世界生活への意気込みあらたに明日への英気を養うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ