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人魚冒険譚  作者: マコト
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報告と忠告





ユーラが冒険者ギルドへと入ると丁度依頼を達成した冒険者達も報告へ来る時間帯だったようで、先程とはうってかわり人で溢れていた。食事をしている人やお酒を飲んでいる人も多く、とても賑やかだ。ユーラも適当な列へと並び、順番を待つ。



「お待たせいたしました。達成報告ですか?買取ですか?」



ようやくユーラの順となり、受け付け係が尋ねる。依頼は、掲示板に貼られている依頼書を持って受け付けし、達成後は素材や討伐証明部位、依頼人からのサインなど、証拠と一緒に再び依頼書を提出する必要がある。が、ユーラが今回報告しようとしている常駐依頼は常に掲示板に貼って置く必要があるものなので素材とギルドカードを提出すればいい。



「えっと、常駐依頼の薬草採取の報告にきました。」



ユーラはそういいながら束ねた薬草を取り出した。



「こんなにたくさん…!お疲れ様でした。それではお預かり致しますね。」



受け付け係はそういいながら薬草とギルドカードを受け取り、薬草の枚数の確認、依頼の達成手続きなどを手早く済ませて銅貨4枚とギルドカードをユーラへと差し出す。


ユーラは後ろにまだまだ人が並んでいたため「ありがとうございます!」といいながら急いで受け取りカウンターを後にした。


ユーラはこの世界に生まれてから初めての収入に、思わず頬がゆるんでいた。少ない金額ではあるが、RPGゲームでも定番の薬草採取という依頼でお金が稼げた、という所に「異世界だ……!」と感動していたのだ。どこかフワフワした気分のまま、今日の晩御飯を食べるべく、次は酒場のカウンターへと並ぶ。


酒場はカウンターで注文してお金を払い、貰った札をテーブルに置いておくと注文したメニューを持ってきてくれる仕組みだ。レーネの話だと、宿屋の鍵を見せると銅貨2枚までの料理なら無料で頼む事ができ、それ以上は追加でお金を払えば追加もできる。


ユーラが並んでいる間にカウンターの上に書かれているメニューを眺めていると、お持ち帰りできるサンドウィッチ系のメニューを見つけた。



(酒場は混んでるから落ち着かないし、宿屋で食べちゃおっかな)



そう考えたユーラはサンドウィッチを頼んだ。サンドウィッチはあらかじめ作ってあるようで、宿屋の鍵を見せて注文するとすぐに紙袋を渡された。


パンも久々に食べるユーラはウキウキしながら冒険者ギルドを出て宿屋へと向かう。宿屋のドアを開けると



「お、おかえり!」



と、レーネが梁で懸垂をしながら出迎えてくれた。



「レーネさん!…ただいま!」



家族では無い人にただいまという事に少し照れながらユーラは返事をする。



「どうだった?無事登録出来たかい?」



「よっ」と梁から降りてレーネが尋ねた。



「バッチリですよ!」



と、ユーラは答え、ギルドカードを見せる。



「おぉ〜…お?声楽家?珍しいジョブだねぇ。名前の感じ、音楽家的なやつかい?」



「はい!呪歌の効果を高めてくれるジョブなんだそうです。」



「ほ〜ん………それじゃあユーラもそのうちパーティを組まないとだねぇ〜。知り合いとかいるのかい?」



「あてはないんですよねぇ。まぁ一時は1人でもいいかなって思って…。やっぱりパーティって組んだ方がいいんですかね?」



パーティを勧める理由がいまいち分からず首を傾げるユーラ。海の中ではとっくに一人前扱いのユーラは狩りで色々倒してもいる。その中には深海の生き物にあまり詳しくなかったユーラが気づかなかっただけで魔物もガッツリいた。初めて遭遇したゴブリンに話しかける余裕があったのも、よっぽど強そうな魚介類(魔物)を倒した事があるからだ。



「ん〜…余程腕がたつってんじゃないなら組んだ方がいいだろうね。ここらの稼ぎ所はもっぱら森だから視界が悪い。一人の時に集団で囲まれたり不意打ちされたりする時もあるからカバーしてくれる仲間ってのは大事だよ。」



それは経験談なのか、そんな目にあった冒険者を知っているのか。レーネの目は真剣だった。



「……まぁ、森の浅い所か平野での採取依頼なんかだったら他の冒険者とかに助けて貰いやすいからね。始めのうちはそこら辺で慣れるといいさ。縁があれば他の冒険者とも知り合えるだろうし。いざという時は誰かしら紹介できるからそん時は遠慮せずいいな。」



レーネからの親切な申し出に「ありがとうございます!」とユーラは笑顔で言った。



「でも、私は魔法も使えるので弱い魔物くらいなら一応倒せるからとりあえず大丈夫です!ここに来る時もゴブリンを一体だけでしたけど倒せましたし。」



ぶいっ!とピースして見せるユーラ。それを見たレーネはキョトンとしたあと「あっはっはっ!」と豪快に笑い出した。



「悪いね、説教臭くなって。その年で1人でゴブリンを倒せるなら大したもんさ。でも、森に入る時は油断するんじゃないよ!………疲れてるだろうに長々と引き止めちまった。明日から依頼も受けるんだろ?ゆっくり休むんだよ。」



ユーラは既に薬草取りでそこそこ森の奥の方まで入っていたが、今それを言うとお小言が増えそうな気配を感じ、「は〜い!」と表面上素直な返事を返して部屋へと向かったのだった。

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