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第4部 第1話【 聖王と覇王、新たなる誓い 】(上)

読んでくださっていらっしゃる方々に篤くお礼申し上げます。

ありがとうございます。

評価を付けてくださった方々、ブックマーク登録してくださった方々、

本当にありがとうございます。


追放された元無能の物語は、

征伐と開拓の覇道をぐ覇王レグナと、

理想郷の中心で博愛をほどこす聖王アーロン、

二つの物語へとその姿を変えていきます。

【 聖王アーロンと帝都の深遠 】


生命の樹の巨大な根元に広がる玉座の間。


聖王アーロンの口から放たれた宣言の余韻は、

一夜が明けた今もなお、帝都の空気

そのものを厳かに塗り替えていた。


「本日をもって、私は帝国の首都に留まり、

聖王となる。

……レグナ、そなたに『覇王』の名を譲ろう」


「は、父上――いえ、聖王。

この身に余る栄誉、確かに承りました」


深く頭を垂れるレグナの姿を、

傍らのセレスティアが愛おしげに見守る。


その背後に控える

忠臣ルナとエレーナもまた、

新時代の訪れを

静かな感動をもって噛み締めていた。


アーロンはゆっくりと玉座から立ち上がり、

窓の外に広がる帝都の街並みを見渡した。


そこには、かつて理不尽に虐げられ、

傷つき、居場所を失っていた民たちが

穏やかな朝を迎えている。


「私はここで、寵姫ちょうきセレスティア、

忠臣ルナとエレーナらと共に、万民に

『博愛』を施す。

困窮している者、愛に飢えている者、

そして……暴政によって魂を亡くした者。

あらゆる者に、ここへ集うよう触れ回れ。

すべて、私が救おうぞ」


「聖王アーロン様の御心のままに」


セレスティアたちが深々と一礼する。


アーロンが目指す救済は、

単に腹を満たし、雨風をしのぐ家を

与えることだけにとどまらない。


「セレスティア。

学芸院の改革を加速させる。

絵画や音楽にとどまらず、

詩作と演劇の科を新たに設けるのだ」


「演劇、でございますか? アーロン様」


セレスティアが首をかしげると、

アーロンは穏やかに、

しかし深い慈愛を込めて頷いた。


「傷ついた民の魂には、光が必要だ。

かつて奪われた

『感情』や『人生の尊厳』を、

物語や言葉、旋律を通して呼び覚ます。

自らの心で感動し、涙し、笑うこと

……それこそが、魂を亡くした者が

人間としての輝きを取り戻す

真の救済となる」


「まあ……。

理不尽を刈り取るのがレグナの覇道なら、

壊された心をつなぎ止めるのが

聖王の博愛なのですね」


「うむ。

そして、レグナが新たな次元をつなぐたび、

この学芸院には

見たこともない世界の文化や思想が

流れ込んでくるだろう。

異世界の調べ、未知の美意識、

異なる次元の哲学……

それらをすべて包み込み、

この帝都を

全宇宙の心が集う『真の理想郷』へと

育て上げるのだ」


ルナとエレーナが手帳を開き、

全国への触れ回りと

学芸院の敷地拡張の手配を刻んでいく。


聖王アーロンの掲げる「聖国ルネサンス」は、

傷ついた万民の魂を

根底から癒す大いなる事業として、

いま静かに

その第一歩を踏み出したのだった。


©[I・G・ε]All Right Leserved.

レグナは父へ一礼を捧げると、

玉座の間を後にする。

黄金の回廊を通り抜け、星見塔と

繋がる格納庫へ足を踏み入れる。


本日、19:30 に、第1話(下)を投稿します。

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