↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/152

第二幕 第八章 【 神級(ランク)のバグ、あるいは神殺し 】

鈍(にび)色の立方体――

システム・ガーディアンが、

無数の光の矢を放つ。


それは

魔力による攻撃ではない。


世界そのものの

「規律」を書き換える

消去プログラムだ。


触れたものすべてが

データとして分解され、

無へと帰っていく。


「アーロン様、逃げて……!」


カルトゥーナ水路から

駆けつけたエレーナが、

変わり果てた

空の光景に絶叫する。


彼女にとって、

それは神の怒りに等しい

現象に見えたのだろう。


しかし、

俺には違って見えた。


その光の矢の正体は、

高密度の

「魔力変換のコード」に過ぎない。


「……。計算は終わった。

 このコードの構造、

 完璧に把握したぞ」


俺は一歩も引かず、

むしろ

ガーディアンの直下へと

歩みを進める。


旧王国の

戒律が放つ

消去プログラムを、

俺は

右手のひらで受け止めた。


「【全属性変換】――

 『消去(イレイザー)』を

 『創造(クリエイター)』へ反転!」


掌(てのひら)に触れた光の矢が、

バリバリと

火花を散らして

その性質を反転させる。


消去プログラムの

「存在をなくす」という命令が、

逆向きの

「存在を拡張する」という命令へと

書き換わった。


空を覆(おお)っていた

鈍(にび)色の立方体は、

俺の反撃によって

爆発するのではない――

その形を維持できなくなり、

美しい緑の粒子となって、

俺の国

アルカディアへと降り注いだ。


それは超強力な魔力となり、

領土の平原を

さらに肥沃な土地へと

変貌させる。


「……。エラー、発生。……。

 演算能力の、超過……。

 被検体、アーロン。

 貴殿は、世界の……。」


旧王国の戒律は

最期に謎めいた言葉を残し、

沈黙した。


静寂が戻った領地で、

呆然とする民たちの中、

俺は確信を得る。


旧王国の戒律は、

俺を「バグ」と呼んだ。


だが、バグとはつまり、

システムが想定しなかった

「可能性」だ。


俺が

この力でシステムを食い破れば、

この世界は

誰かのプログラムによる

箱庭であることをやめ、

本当の意味で自由な土地になる。


「王国も、

 隣国も、

 システムさえも……

 俺の国の踏み台に過ぎない」


俺は空を見上げ、不敵に笑う。


今夜のアルカディアは、

かつてないほど

豊かに輝いている。


だが、

世界管理局の奥底では、

より上位の

「管理官」たちが、

俺という

不規則な存在を

完全に排除するための

動きを開始していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。