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第3部 第1話 【 玉座に映る遠き戦況 】

超弩級艦アスガルド

(アーロンが指揮官として、艦長席に座る)

:アーロンたちが、制覇を進めてきた主力船


ITSインターバーステレポーテーションシステム

:奇妙な地鳴り。

空間の歪ゆがみみを引き裂きながら、

重力方程式を完全無視して静止。

その鋼鉄の列車の名は

多宇宙間インターバースTテレポーテーションSシステム


車輪を回転させるたびに、

次元の狭間はざまから微かすかかな汽笛と

石炭の燃える匂いが溢あふれ出し、

星見塔の周囲に立ち込める霊的な霧を

瞬またたく間に切り裂いていく。

重厚な鋼鉄の扉が音を立てて開き、……。


月影の巫女みこ・シルヴィア姫が覚醒し、

アーロンたちが築いた新たな庭園の深部で、

巨大な運命の歯車が噛み合おうとしている。


プラチナブロンドの髪を風になびかせた少年・吾郎


アーロンの寵姫セレスティア(レグナの母)


アーロンの忠臣(女性) ルナとエレーナ


これら全てを、アーロンの手元に残し、

レグナは、【全属性変換】能力のみ携えて

アーロン帝国、即ちアルカディア帝国の

隅々まで、アーロンの威名を損なう者の

征伐に出掛ける。

アスガルドの艦橋ブリッジ、

究極の玉座にも似た艦長席キャプテンシートにて、

アーロンは静かに

右手を虚空へと差し伸べていた。

掌の上に浮かぶ黄金の光球――

それは【全属性変換】の

権能の一端を用いた透視の術であり、

そこにはレグナが今まさに

足を踏み入れた辺境の荒野の光景が、

鮮明に映し出されている。


荒野には、かつて

帝国に叛意を抱いた旧貴族の残党が、

山賊まがいの

武装集団を率いて村々を襲っていた。


数だけで言えば、レグナ一人では

些いささか分が悪い相手にも見える。


「……ふむ。単独で刈り取らせるには、

少々骨が折れそうだな」


アーロンの呟きに、

傍らに控えるセレスティアがそっと微笑む。


「では、いつものように、どちらかの船を?」


「そうだな。……今回はアスガルドだ。


ルナ、エレーナ。

お前たちが、レグナの後ろ盾となれ」


アーロンの言葉と共に、

光球の映像が揺らめき、

荒野の空に巨大な影が差し込む。

透視の糸を通じて、

アーロンの意思がそのまま

艦の進路を書き換えていくのだった。


【 交互に舞い降りる二つの船 】


雲を割って降下してきた

超弩級艦アスガルドの艦影に、

旧貴族の残党たちは震え上がった。


艦橋から降り立ったルナとエレーナは、

それぞれ帝国の紋章を掲げた武装を手に、

レグナの左右に静かに並び立つ。


「レグナ様、お待たせいたしました。

アーロン様のご命令により、

援護に参上いたしました」


「助かる、ルナ、エレーナ。……だが、

あくまで俺の仕事だ。

無粋な手出しは無用に願う」


「承知しております。私たちは、

あくまで後詰めでございますので」


その言葉通り、

ルナとエレーナは

残党の退路を断つのみに徹し、

実際に理不尽を刈り取る役割は

レグナに委ゆだねられた。


荒野の空に黄金の光が奔ほとばり、

武装集団の武具はことごとく

朽くちた鉄屑てつくずへと姿を変えていく。


別の日、

砂漠の隣国で宗教紛争が勃発した際には、

アーロンは代わりにITSを派遣した。

汽笛と共に降り立ったシルヴィアと吾郎が、

レグナと共に

紛争の火種を鎮しずめる場面もあった。


二隻は交互に、それぞれの得意な局面で

レグナの背を支えていく。


【 二隻合流、絶対の布陣 】


そして、

ある大陸規模の反乱が発覚した日――

アーロンは初めて、

アスガルドとITSの両方を同時に派遣した。


空に巨大な鋼鉄の艦影と、

地を這はうように次元の狭間はざまから

現れる汽車の影が並び立つ様は、

それを目にした反乱軍の士気を

一瞬にして砕くだくには十分すぎる光景だった。


「今日は豪勢だな、レグナ様」


ルナが微笑みながら告げると、

吾郎もまた緊張した面持ちで頷く。


「レグナ様、あの規模の反乱、

俺たちも本気で支援します」


「感謝する。だが……」


レグナは静かに笑みを浮かべた。


「見ていろ。

派手な後詰めがなくとも、俺一人で事足りる」


アスガルドの艦橋、

透視の光球を見つめるアーロンの口元に、

満足げな笑みが浮かぶ。


「あの余裕こそ、我が息子の証だ。

……、レグナよ、存分にやってみせよ」


黄金の光が大陸の空を切り裂き、

反乱の火種は一つ残らず刈り取られていく。


表では単身の英雄として、

裏では父の絶対的な布陣に守られながら――

レグナの覇道は、これからも静かに、

そして確実に広がり続けるのだった。


©[I・G・ε]All Right Leserved.

明日も、7:30 に、投稿します。

よろしくお願いいたします。

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