第2部 エピローグ【量子もつれと、マルチバースの円環】
ここで一旦、完結とします。続編
【 全属性変換】の覇王は、星々の海を支配する
~役立たずの俺、実は世界唯一の『全属性変換』スキル持ちだった。
異世界ごとすべてを我が領土にする~第3部
を、明日、7:30 に、投稿します。
すべての物語が
静かな平穏へと収束したかに見えた
アルカディア帝国の首都――
その深緑の生命の樹の根元で、
私は
微かに光る二つの粒子を見つめていた。
「父上、観測データに
奇妙な同期現象が確認されました」
レグナが手元の宙図を操作しながら、
少しだけ目を見開く。
「異なるパラレルバース、
数千光年の距離を引き裂いて離れたはずの
二つの世界が、
まるで一つの意思を持つかのように
同じ挙動を示しています。
空間の障壁も、
次元の境界さえも無視している……。
これは一体?」
私は微笑み、
掌の上で踊る光の粒にそっと触れた。
「『量子もつれ』だよ、レグナ。
どれほど次元の海が隔てようとも、
どれほど
幾千万の星々が遠く離れていようとも、
一度深く結ばれた魂と粒子は、
空間の距離を無視して
瞬時に互いの状態を共有する。
だが――問題は、
誰がこの観測を行っているかだ」
レグナの表情が
わずかに引き締まる。
「……私たちの他にも、
この現象に気づいている者がいると?」
「ああ。
無限に分岐し続けるマルチバースの果てで、
今この瞬間も、私たちの知らないもう一つの
『可能性』が別の理を紡ぎ始めている。
私たちが築いたこの国は完結したが、
それは同時に、
より広大な多次元宇宙との接触が始まった
合図に過ぎないのさ」
かつて王国から理不尽に追放され、
冷たい「無」の荒野に放り出された私と、
いまこの帝国で笑い合う仲間たち。
そして、
私たちがまだ見ぬ、別の可能性の宇宙。
私たちが手に入れた
この絶対的な平和の裏側で、
すべてのパラレルバースを繋ぐ
「量子もつれ」の糸は、
すでに次なる巨大な脅威、
あるいは新たな運命の歯車を
ひそかに引き寄せ始めていた。
「私たちがどこにいても、
私たちが創り出した絆が消えることはない。
だが、もし別の次元の私が――
まったく異なる選択をした
『敵』として現れたとしたら、
その時、私たちはどうする?」
レグナは愛刀の柄にそっと手を置き、
不敵な笑みを浮かべた。
「どちらの宇宙が本物か、
決着ををつけるだけです。父上」
星屑の海はどこまでも広がり、
世界の数だけ未来がある。
だが、それは物語の終わりではない。
幕を閉じたはずの神話の裏側で、
次なる序曲がいいまさに、
静かに奏でられようとしていた。
©[I・G・ε]All Right Leserved.
読んで下さりました方々に重ねて篤く御礼申し上げます。
ありがとうございました。
明日から、第3部に入ります。
明日も、7:30 に、投稿します。
よろしくお願いいたします。




