第3幕 第9話 【終着駅の光芒と、因縁の終焉】
私たちは復讐者でも破壊者でもない。
自らの手で世界を慈しみ、
創り出す真の王として、
この永遠の楽園に降り立ったのだ。
汽笛が力強く鳴り響き、
列車は静かにプラットフォームへと
滑り込む。
温かな風が吹き抜け、
新しい時代の幕開けを告げるように、
私たちの新しい生活と無限の物語が、
いま静かに、
そして高らかに動き出していた。
ITSが放つ
漆黒の車体と星屑の紋章が、
私たちが築き上げた究極の理想郷――
深緑の生命の樹と黄金の魔石に満ちた
アルカディア帝国の首都の
プラットフォームに、優しく滑り込んだ。
窓の外では、
無限のパラレルバースを巡ってきた
星雲の奔流が静まり、
代わりに穏やかな祝福の光が世界を
包み込んでいる。
重厚な鋼鉄の扉が開き、
プラチナブロンドの髪をなびかせた少年と、
気高い十代の乙女となった姫が
並んで降り立った。
彼女の手に握られた一輪の赤い薔薇は、
物質の形を超えて、目に見えない
確かな絆の温もりを放ち続けている。
「ここが……父上が創り上げた、
私たちの真の故郷であり、
すべての次元の集う場所ですか」
皇子レグナが
頼もしい眼差しでその光景を見据え、
愛刀の柄からそっと手を離した。
その穏やかな仕草には、
もはや
過去の死地を駆け抜けていた頃のような
戦闘の緊張感はなく、
平和に満ちた
新時代を確信する者だけが持つ
圧倒的な余裕と誇りが満ちていた。
アルカディア帝国の首都に響き渡った
汽笛の余韻は、
静かに宇宙の深部へと溶け込んでいった。
深緑の生命の樹が幾重にも星々を抱き込み、
黄金の魔石の光が大地と空を
優しく満たすこの究極の理想郷は、
いまや
無数のパラレルバースの中心として、
永遠の
平和と調和のなかに息づいている。
「父上、すべての宙域の魔力同化、
および
防衛線の構築が完全に完了しました。
もはや、
この帝国を脅かす不条理な影など
存在しません」
皇子レグナが
清々しい笑みを浮かべながら私に告げる。
その傍らでは、
月影の覚醒を遂げた姫が
プラチナブロンドの少年と静かに微笑み合い、
かつて狂戦士として傷ついていた彼女もまた、
新しい仲間たちと共に
温かな風に吹かれていた。
セレスティアをはじめとする
数多の仲間たちが織りなすその光景は、
かつて私が大陸の北端――
『死の静寂』と呼ばれた不毛の荒野で、
たった一人で世界を書き換え始めた
あの日の記憶とは比べ物にならないほど、
豊かで鮮やかな色彩に満ちていた。
思えば、
すべてはあの理不尽な追放から始まった。
「役立たず」の烙印を押され、
冷酷に王都から放り出されたあの瞬間、
私はすべての絶望を
自らの力へと変換することを誓った。
©[I・G・ε]All Right Leserved.
王国の愚か者たちが
私の力を求めて足掻き、
滅びの淵で恐怖に震えようとも、
私は彼らのための救済など選ばなかった。
私たちが創り上げたのは、
他人のための虚構の王国ではない。
私と、私を心から必要とし、
互いの魂の絆を信じ合う者たちのための、
最強にして最高の国だったのだから。
明日も、7:30 に、投稿します。
よろしくお願いいたします。




