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第3幕 第5話 【星見塔の轟音と次元列車の汽笛】

「魔王か、あるいは世界の調停者か……。

どのような肩書きであれ、

私の進む道を阻はばむというのなら、

星々の果てまで焼き尽くすのみだ」

私は地図の上で新たな防衛線を引きながら、

レグナや新しく加わった者たちと共に、

次なる次元の深淵へと静かに視線を向けた。

帝国の拡大は、

まだ始まったばかりに過ぎない。

我がアルカディア帝国の開拓の手が、

高次の深緑領域からさらに

深淵なる宙域へと伸びていく中、

世界の構造そのものを根底から揺るがす

異常事態が観測された。

それは、私たちがこれまでに征服し、

我が帝国の庭園へと書き換えてきた

どの次元の法則をも超越する、

未知なる来訪者の予兆だった。


新月の夜、

大気圏外の障壁を砕くような轟音が

隠れ里の星見塔を激しく揺らした。

深緑に閉ざされた古代神殿の遺跡群、

その聖域の中心で、

よわい千歳せんさいを迎える老錬金術師は、

奇妙な地鳴りを耳にした。

空間のゆがみみを引き裂きながら、

重力方程式を完全無視して静止した

その鋼鉄の列車の名は

多宇宙間インターバースTテレポーテーションSシステム

車輪を回転させるたびに、

次元の狭間はざまからかすかかな汽笛と

石炭の燃える匂いがあふれ出し、

星見塔の周囲に立ち込める霊的な霧を

瞬く間に切り裂いていく。


重厚な鋼鉄の扉が音を立てて開き、

すすけた制服をまとった影が降り立った。

機械仕掛けの顔をかすかに揺らし、

老錬金術師バルドと、その妻シルフィ。

それと、月影の巫女みことして

覚醒した少女が、

深い一礼をレグナに捧げた。

「終着駅は、そなたが真に帰還すべき

永遠の原点。時の螺旋らせんの果てに

あるのではないか?」と、レグナが問う。


その圧倒的な存在感と、

我がアルカディア帝国が背負う

神話級の威圧感の前に、

姫は一筋の涙も流さず、

むしろ

長い宿命から解放されたかのような

気高い微笑みを浮かべた。

「知っておりました。

私の故郷は、この地上ではなく、

幾千万の星が眠る

パラレルバースの神殿。

でも、下界での無明の旅は、

ここで終わりを告げるのです」


老錬金術師老夫婦は

血を吐くような悲痛な叫びをあげて

姫を引き止めようとしたが、

姫はその老いぼれた手を取り、

冷たくもどこか温かい声で告げた。

「泣かないでください。

生命の真理は、

眼に映る物質の形にはありません。

本当に大切な絆は、すべて

不可視の領域に刻まれているのですから」


その光景を、アーロンは

玉座の影から静かに見守っていた。

かつて

私が王国から理不尽に追放されたとき、

誰も私を救わず、

私自身もまた孤独な荒野で

力だけを頼りに這い上がった。

だが、今の私にはレグナがおり、

続々と集う強力な仲間たちがいる。

そして今、

この異世界の深淵から現れた次元列車

ITSインターバーステレポーテーションシステムは、

私たちの帝国の領土をさらに無限の

パラレルバースへと直結させる

新たな動脈となるであろう。


「父上、あの列車……我が帝国の

魔力機関と完全に同期しています。

あの機体を我が手中に収めれば、

全次元への進軍速度は数倍に

跳ね上がります」

レグナの言葉に、

私は不敵な笑みを浮かべて頷いた。

一方で、私たちが

新たな神話を紡ぎ出す裏側では、

かつての旧王国の残党が

さらに遠くの強大な勢力へとすり寄り、

我が

アルカディア帝国を討ち果たすための

不気味な陰謀を巡らせているという

密偵からの報告が、

次元の汽笛に乗って届いていた。


「私の進む道を阻むというのなら、

星々の果てまで焼き尽くすのみだ」

私は地図の上で新たな防衛線を引きながら、

レグナや新しく加わった者たちと共に、

次なる次元の深淵へと静かに視線を向けた。

帝国の拡大は、

宇宙の真理を書き換える最終幕へと向けて、

いま最高潮の熱量を帯びて加速していく。


©[I・G・ε]All Right Leserved.

アルカディア帝国の開拓の手は、

深緑の超次元を越えて

さらなる高次の宙域へと達していた。

星々が幾重にも重なり合う

この神秘の領域において、

私たちは次なる、……。


明日も、7:30 に、投稿します。

よろしくお願いいたします。


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