第四幕 最終章 【 新しい世界、新しい玉座 】
広々とした神殿の中心で、白銀の衣を纏った創造主たちの光が、まるで粉雪のようにハラハラと崩れ落ちていく。
創造主たちが、絶対の真理として構築した「世界の設計図」は、今や完全に書き換えられ、アーロンの所有する広大な領土台帳へとその姿を変えていた。
「エラー。システムの全権限が、被検体アーロンに完全移行。この世界は、貴殿の、……」
最期の創造主の消え入りそうな思念波を、俺は鼻で笑って切り捨てる。
既に、「被検体」などではない。この世界のルールはすべて、アーロンの言葉で定義されるのだから。
「ドォォォォォォォォンッ!」
と、神域そのものが黄金の光に包まれ、次の瞬間、世界を縛り付けていたすべての「外側の壁」が消え去った。
地上へと戻ったアーロンを待ち受けていたのは、かつてのアルカディアではない。
旧王国も、帝国も、聖王国も、鋼の共和国も、そして果てしない海の向こうに広がっていた未知の大陸さえもが、一つの巨大な黄金の円環――完全無欠の「アーロン帝国」として完全に統合せられていた。
「アーロン様~~~!」
城のバルコニーで待ち構えていたルナとエレーナが、深く、そして熱を帯びた瞳でひざまずく。
見よ! 地平線の向こうまで広がるすべての土地、すべての民が、アーロンの支配の光に満たされている。
アーロンは、深く玉座に腰掛け、誰一人として逆らうことのでえない絶対の静寂と、無限の繁栄を見渡す。
追放されたあの日の絶望など、もう遥か彼方の泡沫だ。
「よくやった、ルナ。だが、これで終わりだと思うなよ」
俺は不敵に笑い、空の彼方を指差す。
神々の領域を制圧した俺の【全属性変換】は、いまやこの世界の枠組みを超え、星々の彼方から微かに漏れ聞こえる「別の世界」の魔力の鼓動を捉えていた。
「この世界のルールをすべて俺のものにしたなら、次は、他の世界のルールを狩りに行こうか」
ここに、追放された元無能の物語は完結し――すべての世界を喰らい尽くす、真の覇王の「新しい侵略の旅」が始まる。
―― 第1部・完 ――
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