第四幕 第十七章 【 天上の扉、そして王の宣戦布告 】
使徒の記憶から引き剥がしたデータにより、この世界を実験場として弄んでいた「創造主」の居場所が判明した。
それは、空の果て、かつてシステム管理者が座していた領域のさらに高み――人の目には届かない次元の狭間にある『神域』。
「アーロン様、使徒から抽出した座標の解析が完了しました。そこは、この世界のあらゆる理が収束する『創造の源泉』です」
忠臣ルナが冷徹なトーンで報告する。
その瞳には、恐怖ではなく、「我が君主」に対する絶対的な忠誠の色だけが宿っていた。
アルカディアの領土内では、全土から集められた魔力が一つの巨大な柱となり、天を突く勢いで渦巻いている。
「言うまでもない。奴らを野放しにしたままでは、俺が築いたこの国もいつかまた『初期化』の対象にされかねん」
アーロンは玉座から立ち上がり、手にした黄金の宝珠――かつて使徒から奪った権限の結晶を握り締めた。
もはや地上に敵はいない。残るは、この世界を作ったという「神」そのものを俺の支配下に引きずり下ろすことだけだ。
「全軍に告ぐ。これよりアルカディアの精鋭を率い、神域への侵攻を開始する!」
俺の号令と共に、空を覆っていたドす黒い亀裂が一斉に黄金の光へと塗り替えられた。
かつて世界を支配していたシステムが、今や俺のための「天への架け橋」へと姿を変える。
飛空艇の群れが、雲の海を突き破り、誰も足を踏み入れたことのない神々の領域へと進み出す。
前方の空間が歪み、純白の光に包まれた巨大な神殿が姿を現した。そここそが、世界の創造主が君臨する玉座の間だ。
「ふふふ。……。愚かな被検体よ。よくぞここまでたどり着いた。だが、神の領域に踏み込むことは、存在そのものの消滅を意味する」
仄暗い神殿の奥から、無数の声が重なり合ったような、圧倒的な創造主の思念波が響き渡る。
それは恐怖を誘うものではなく、ただ冷徹な「世界の設計者」としての宣告だった。
俺は冷笑を浮かべ、神殿の大扉へと一歩を踏み出す。
「聞け! お前たちが作ったルールの上で踊らされる時代は終わった。これからは、俺がこの世界すべてのルールを定義する」
すべての追放と屈辱の果てにたどり着いた最終決戦の舞台で、俺は右手を掲げ、神殺しの狼煙を上げた。
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