第3話:辺境の理不尽と正義の継承
第8部
「……まったく。
AIの裁定をすり抜けて、
旧時代の利権やら
身勝手な欲望にしがみつく
愚か者どもが、まだ
こんな辺境に
のさばっていたとはな。」
吾郎(α)は
『超弩級戦艦アスガルドα』の
司令席で、
憤りの眼差しを
前面モニターへ向けていた。
そこには、
聖国のASシステムによる
公正な資源分配を拒み、
周辺の開拓惑星から不当に
エネルギーを搾取していた
旧体制の局地海賊連合の
基地が映し出されていた。
かつては
覇王レグナ自身が
その圧倒的な威力をもって
全宇宙の不条理を粉砕し、
刈り取ってきた領域である。
「レグナ様が
これまで引き受けてこられた
『理不尽の刈り取り』……
今やこの吾郎が引き継いだ。
我が α 軍の
絶対貫通火力を前に、
貴様らの身勝手な
理屈など微塵も通じぬ!」
吾郎の鋭い下命とともに、
α 軍の主砲が
一斉に火を吹いた。
不当な搾取を行う施設のみが
寸分の狂いもなく蒸発し、
虐げられていた開拓民たちの
天空には、即座に
新たなAS-3(惑星級)
サテライトが配備されていく。
「……これより、
この宙域の全行政権を
ASシステムへ移管する。
民よ、安心するがいい。
我が聖国
アルカディアのもとで、
不条理な苦痛は
永遠に過去のものとなった。」
吾郎の手によって見事に
つみ取られた辺境の理不尽。
その平定の報は、
S-オムニスを通じて即座に
本国のセレスティア、
そしてフェニックス銀河団の
レグナのもとへと
届けられるのだった——。
◇
アルカディア本国・
聖宮の中枢指令室。
青白く輝くS-オムニスの
大元
ホログラムの前には、
総司令官セレスティアを筆頭に、
彼女を絶対の忠誠と
極限の能理で支える二人の
女性副官の姿があった。
第一副官、ルナ。
冷静沈着なる洞察力と
超高精度なデータ分析力を
誇る彼女は、
セレスティアの意思を
寸分の狂いもなく数値化し、
全軍の戦略計算を司る
知性の刃であった。
第二副官、エレーナ。
情熱的かつ苛烈なまでの
機動統制力を備えた彼女は、
現場への指令伝達と
直属部隊の即応体制を
完全掌握する
現場統括の要であった。
「……セレスティア様。
α 銀河団における吾郎司令官の
『辺境の理不尽刈り取り』作戦、
完了ログが到着いたしました。
作戦成功率、予定通り100%です。」
ルナが
透明な情報端末を
優美な手つきで操作し、
涼やかな声音で
報告を読み上げる。
「見事ですね、吾郎も。……
ですが、セレスティア様。」
エレーナが
凛とした眼差しを
セレスティアに向け、
一歩前へ進み出た。
「吾郎が
外縁の塵を払った今こそ、
本国が誇る『真の華』を
咲かせる時です。
シルヴィア軍および
ジュエダン軍による、
未開宙域の基盤再整備および
ルネッサンス建設の直命……
いつでも発令可能です。」
セレスティアは
二人の優秀な副官を一瞥し、
優美な笑みを湛えた。
「うむ、ルナ、エレーナ。
ふたりの迅速な手配に
感謝します。……我が
聖国アルカディアの強さは、
単なる武力や
自動化されたシステムに
留まりません。
それを美しく、気高く、
かつ完璧に運用する
『女性たちの美徳と秩序』
にこそ真価があるのです。」
セレスティアの言葉に、
ルナとエレーナは
深々と一礼した。
「ルナ、
ジュエダン軍への
目標空間座標の
送受信プロトコルを
固定しなさい。
エレーナ、
シルヴィア軍の
ε 位相網と直結させ、
現場の全指揮権を
シルヴィアへと委ねるのです。」
「御意!」
二人の副官が即座に
コンソールを打ち込み、
本国聖宮からの絶対直命
(グランド・コマンド)が
全宙域へと解き放たれた。
通信スクリーンには、
ε 銀河団の旗艦で
優雅に指揮を執る
女性司令官シルヴィアの姿が
映し出される。
『セレスティア総司令官、
そしてルナ副官、エレーナ副官。
完璧なる作戦データの共有、
感謝いたします。……
我が ε 軍の
幾何学的美学をもって、
この宙域に
新たなるルネッサンスの
礎を築いてみせます。』
「頼みますよ、シルヴィア。」
本日 19:30 に投稿します。
【セレスティア通信(1)】
フェニックス銀河団における
覇王レグナの統治状況
本国聖宮の総司令官
セレスティアが
全帝国へ報告する、
フェニックス銀河団の
最新統制状況は以下の通りである。
聖王の型の完璧な継承
聖王アーロン様から
フェニックス銀河団の
統制権を託された覇王レグナは、
ASサテライト網を極限まで活用し、
治安・民生・資源循環の
100%自動保全を達成している。
各銀河団への後方指導
レグナは
自らの治世に万全を期すのみならず、
S-オムニスを通じて
吾郎、シルヴィア、ジュエダンの
難問相談に常時対応しており、
帝国全体の治世品質の
底上げに大きく寄与している。
【セレスティア通信(2)】
吾郎(α銀河団)による
「辺境の理不尽刈り取り」の継承
任務の移管と即応
これまで
覇王レグナが主導してきた
「新秩序に馴染まぬ辺境の
不条理・不正の摘発と破砕」の
任務は、
吾郎率いるα軍へと
正式に引き継がれた。
圧倒的貫通力による迅速平定
吾郎軍は
持ち前の絶対貫通火力(ITS α)と
厳格な正義感をもって、
最外縁部に残存していた
局地的な搾取構造を
即座に破砕。
平定後は
直ちにASシステムを導入し、
辺境民の平穏と
「独自ルネッサンス」への
参加基盤を確立した。




