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第16話「深淵の覚醒」

第7部

エル・ゴルド要塞都市の

外周防衛網が瓦解し、

中枢が剥き出しとなった

その直後。


勝局が決したかに見えた

歪曲宙域の深奥より、

S-オムニスの

空間位相センサーが

狂暴なまでの

エネルギー増幅を検知した。


「……警告。

 要塞都市の地下深層より、

 未定義の巨大質量体が浮上。

 暗黒物質の過剰励起反応、

 既存の数値を全ラインで突破。」


吾郎軍・統合参謀本部の

『ITα-1』が、

警告色に染まる

ホログラム画面を凝視しながら

報告を吐き出す。


実務運用参謀部長の

『ASα-1』も、

光彩センサの明滅速度を

極限まで引き上げた。


「要塞都市そのものが

 単なる『器』に過ぎない。……

 皇帝ギガルがその奥底に封印し、

 牙を研がせていた

 超重力機動要塞都市主砲、

 ならびに旧宇宙の遺物たる

『絶対質量種(マナスター)』が

 起動。

かつてない脅威レベルと判定。」


前線の包囲宙域。

突如として空間が裂け、

要塞都市の直下から

姿を現したのは、

エル・ゴルドの真の牙——

これまでの「艦隊の盾」や

防壁など比較にもならぬ、

超広域破壊兵装を纏った

強大無比なる

巨大異形戦体であった。


その圧倒的な威容から発せられる

空間歪曲の衝撃波が、

前線の宙域全体を

激しく揺り動かす。


だが、

包囲網を敷く

3軍の司令官たちには、

動揺の欠片(かけら)すら存在しなかった。


「……なるほど。ギガルめ、

 土壇場で真の牙を

 隠し持っていたか。

 敵がさらなる強大さをもって

 立ちはだかるというのなら、

 答えは一つしかない。」


吾郎軍・

『超弩級戦艦アスガルドα』の

司令席にて、吾郎(α)は

戦略的眼光で

敵の構造を見据えた。


通信回線が直結され、

側衛宙域のシルヴィア(ε)、

そしてジュエダン(∞)の

顔容が映し出される。


「ジュエダン、シルヴィア。

 各軍の『ITS』を

 最大出力で連動させるぞ。

 敵が

 どれほどの巨威を振るおうとも、

 我が3軍の

 合体陣形をもって粉砕する。」


「了解いたしました、吾郎司令官。

 ε(エプシロン)の精密位相解析網は、

 すでに敵巨体の

 弱点構造の特定に入っています。」


シルヴィア(ε)の凛(りん)とした声が響く。


「ふっ……先に一撃を見舞ったが、

 ここからが本番というわけか。

 α・ε・∞、3軍の

 幾何学的完璧さをもって、

 あの異形(いぎょう)を

 歪(ゆが)みの渦(うず)へと沈めてやろう」


ジュエダン(∞)もまた、

静かなる闘志をたたえて応じた。



同刻、


後方監督権限を委任されている

覇王レグナの総旗艦。


「……レグナ様。

 エル・ゴルド深奥より出現した

 強大な敵体に対し、

 吾郎軍、

 シルヴィア軍、

 ジュエダン軍の3軍による

 同時迎撃シークエンスが

 開始されました。」


AI・rℓが

3軍連携の

緻密な幾何学戦術図を展開し、

AI・rrが、言葉を重ねる。


「3軍のITSパラメータ、

 S-オムニスを介して

 100%同期完了。

 完璧なる三位一体(トリニティ)の

 迎撃陣形が完成いたしました。」


戦術図を見下ろす

覇王レグナの眼光に、

絶対の確信が宿る。


「うむ。父上(アーロン様)が

 本国アルカディアにて

 盤石のAS防衛網を完成させ、

 後方フェニックス銀河団の

 憂いも皆無。……

 吾郎、

 シルヴィア、

 ジュエダンよ、

 その絶対の連携をもって、

 敵の悪あがきを

 根底から打ち砕(くだ)いてみせよ。」


最前線の宙域にて、

3軍の精鋭兵器群が

同時に光を放ち、

出現した未知の強敵を迎撃すべく、

完全無欠の合撃陣形を

組み上げるのだった——。


*


【セレスティア通信(1)】


エル・ゴルド深奥の

「真の脅威(絶対質量種)」について


本国聖宮の

総司令官セレスティアが、

本国のASシステム

および

S-オムニスを通じて解析した

最新敵情報の詳細は

以下の通りである。


要塞都市の真の姿


皇帝ギガル率いる首脳陣が

隠れ住んでいた要塞都市は、

単なる居住・指揮施設ではなく、

古代の超質量兵器を

封印・維持するための

巨大な外殻であったことが判明。


圧倒的破壊力と危険度


出現した超巨大異形体は、

暗黒物質を直接エネルギーへ変換し、

1光年宙域を

1度に消滅させるほどの崩壊波を

放射する能力を持つ。


従来の艦隊戦の常識を覆(くつがえ)す

強大な脅威といえる。



【セレスティア通信(2)】


——吾郎(α)・

シルヴィア(ε)・

ジュエダン(∞)

3軍合同迎撃ドクトリン


三位一体(トリニティ)位相干渉



シルヴィア軍(ε):


精密位相解析によって

敵の重力波攻撃を相殺・固定。



ジュエダン軍(∞):


空間折り畳みと

無限位相圧縮により、

敵の防衛磁界を無効化。



吾郎軍(α):


集中火力を誇る

絶対貫通攻撃(ITS α)を

敵の露出した核へ叩き込む。


完全なる前線統制


後方の聖王アーロンによる

絶対の治世網と、

レグナの厳格な前線監督のもと、

3軍の連携は

一分の隙もなく機能しており、

勝利へのロジックは

すでに完成している。

明朝 7:30 に投稿します。


【セレスティア通信(3)】


エル・ゴルド要塞都市の

防衛網無力化に伴う戦線影響



敵中枢の孤立化


『超質量崩壊防壁』の消滅により、

エル・ゴルド統括評議会が

隠れる深奥の要塞都市は、

物理的・空間的な保護層を完全に失い、

聖国遠征軍の全火力の直射射程内に

露出した。


最終平定シークエンスへの移行


前線全軍

(レグナ、吾郎、シルヴィア、ジュエダン)の

包囲網が完全完成。


後方の聖王アーロンによる

絶対の後詰体制と相まって、

作戦は最終段階である

「首脳陣の拘束および最終処分」

へと移行する。

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