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第11話「フェニックスのアーロン・サテライト」

第7部 vs EL GORDO編

セクター・アルファ- 9 の

平定が完了し、

前線が次なる深遠宙域への

探索シークエンスへ移行した

その同時刻。


3,500万光年の彼方に位置する

後方絶対拠点・

フェニックス銀河団。


比類なき広大さと

厳(おごそ)かな静寂に包まれた

銀河団の中枢にて、

聖王アーロンは

銀河団の経営基盤を刷新する

新たな国家事業——

「全属性変換

(オムニ・トランスミュート)」の

巨大プラント群の

稼働を宣言していた。


「……フェニックス銀河団の

 全星系エネルギー網、

 超量子知能S-オムニスと

 完全同調。

 質量・エネルギーの

 相互変換効率、

 理論値の限界点に到達しました。」


統括AIが告げる中、

アーロンは

玉座より静かに立ち上がり、

眼前に広がる

圧倒的な星間物質の海を

見据えた。


「宇宙のあらゆる構造体は、

 突き詰めれば

 純粋なエネルギーの

 位相に過ぎぬ。

 我が銀河団の経営基盤を

 強固なものとするため、

 物質の根源たる

『ダークマター』および

『反物質』の双方向かつ無制限の

 全属性変換を執行する。」


素材の選定において、

アーロンは

一片の迷いもなく決定を下した。


「ダークマターと反物質、

 その両方を対等に用いる。

 重力制御の基盤には

 無限の引力を生み出す

『ダークマター』を配し、

 推進および破壊エネルギーの

 極限効率化には

『反物質』の

 完全対消滅サイクルを充てる。

 偏(かたよ)りなど不要だ。

 双方が相補的に循環する

 完全無欠の

 物質変換ラインを構築せよ。」


「了解。

 S-オムニスの

 超量子並列演算により、

 ダークマターと反物質の

 相互変換プラント群を

 フェニックス銀河団

 全域に展開します。」


ダークマターの持つ

莫大な重力場が

銀河団の絶対的な安定

(後顧の憂いなき絶対防衛網)を

支え、

反物質の純粋な

対消滅エネルギーが

聖国の経済・軍事の

無限の原動力へと直結していく。


その高次元の経営データは、

瞬時に

S-オムニスの超量子回線を介して、

アルカディア本国の聖宮にいる

総司令官セレスティアへと共有された。


『アーロン様。

 フェニックス銀河団における

 ダークマターと反物質の

「全属性変換」網の構築、

 完璧に把握いたしました。

 本国側の聖宮においても、

 この無限の資源循環基盤を

 受け入れる防衛パラメータの

 最適化を完了しております。』


セレスティアの

澄んだ声による報告を受け、

アーロンは満足げに頷いた。


「うむ。

 後方の絶対拠点である

 我がフェニックス銀河団が

 無限の

 生産・変換能力を得たことで、

 前線で戦うレグナ、吾郎、

 シルヴィア、

 そしてジュエダンに至るまで、

 物質的・エネルギー的

 枯渇(こかつ)の懸念は永久に消滅した。」


後方のアーロンが執り行う

完璧なる国家経営と

資源の全属性変換。


本国のセレスティアによる

揺るぎない聖宮の守護。


その絶対的な

バックアップがあるからこそ、

前線のレグナ総帥率いる聖国軍は、

いかなる深淵の脅威をも

圧倒的な機能美をもって

蹂躙(じゅうりん)する

準備を整えていくのだった——。


*


フェニックス銀河団。


聖王アーロンは

「全属性変換」による

無限の資源循環基盤の

確立に続き、

銀河団全域の民の安全を

揺るぎないものとし、

さらには

前線への絶対的な

後詰体制を完了させるべく、

多層防衛・統治システムの

構築に着手した。


これまで

アーロンや

覇王レグナたちが

刈り取ってきた

あまりにも巨大な全宙域

——そのすべては、

アルカディア帝国本国の

聖宮に座す

総司令官セレスティアによって

統治され、支配されている。


セレスティアが

その広大な帝国の管理と

絶対的な本国防衛に

100%専念できるよう、

アーロンは

このフェニックス銀河団

において

「後顧の憂い」を根底から潰(つぶ)し、

同時に

前線部隊の背後を

完封せねばならないのだ。


「フェニックス銀河団

 全域を網羅する

 全恒星系多層配備計画、

 シークエンス1を開始」


銀河団中枢に座する

アーロンの眼前で、

超量子知能S-オムニスの

ホログラムが

青く澄んだ光を放ち、

広大な銀河地図を

多層構造へと塗り替えていく。


アーロンが

配置を開始したのは、

自らの姿を象(かたど)った

巨大人工衛星群——通称

『アーロン衛星(AS)』であった。


その威厳に満ちた外容は、

まさに

聖王アーロンそのものである。


AS-1(銀河級アーロン衛星):

フェニックス銀河団を構成する

個々の「各銀河」の

中心宙域に配置された統括衛星。


AS-2(恒星級アーロン衛星):

各銀河内に存在する

「すべての恒星(星々)」の

周回軌道上に

漏れなく配備された

中継・観測衛星。


AS-3(惑星級アーロン衛星):

各恒星に属する

「すべての惑星」の天空を

覆(おお)うように配備された、

末端防衛・保護衛星。


これにより、

フェニックス銀河団の民は、

どの銀河の、どの恒星の、

どの惑星に住んでいようとも、

その空を見上げれば

常にアーロンの

凛(りん)とした威厳ある姿が

そこにあった。


しかも、

この絶対の安心感をもたらす

アーロン衛星群の背後には、

徹底された機能美と

ミリタリー的厳密さが

隠(かく)されていた。


民の眼には見えない

静止軌道の背後、

高次元位相の影に、

AS-3を守護するように

主力戦艦数十隻が

常時展開を完了している。


さらに各主力戦艦には、

1隻あたり100隻の

高速駆逐艦が微細な寸隙もなく

付き従っていた。


そして、

全銀河のAS-1、

全恒星のAS-2、

全惑星のAS-3、

さらには

末端の駆逐艦1隻に至るまで、

すべての機体に

『S-オムニス』端末が

標準装備されている。


これらの末端S-オムニスは、

銀河団中枢の玉座にて

アーロンの手元にある

大元(グランドマスター)の

S-オムニスと

0.00001秒の遅延もなく

完全同期されていた。


——異常の検知、

防衛パラメータの最適化、

全属性変換による

エネルギー供給。


すべての事象が

即時に処理され、

隙という概念そのものが

完全に排除された。

本日 19:30 に投稿します。

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