↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
121/152

第5話「重層陣形(ダブル・バリア)

第7部 vs EL GORDO 編

「了解。

 ASε・ITε部、

 回線同期

 シークエンスを開始」


無機質な

AI副官の応答とともに、

吾郎軍とシルヴィア軍の

全艦艇データが

S-オムニスの

超量子並列演算のもとで

完全に一元化された。


セクター・アルファ- 9 前線。


12,000隻を超え、

いまなお増殖を続ける

El Gordo(エル・ゴルド)の

巨大艦隊は、

圧倒的な物理質量をもって

吾郎軍の

前線遮断網を圧迫していた。


「敵艦隊の総数、

 15,000を突破。

 推進重力波の

 干渉により、

 第一線格子網の

 相殺率が82%まで低下」


吾郎軍・前線実行艦隊

(FLα部)の『FLα-1』が、

無機質な明滅とともに

ログを送信する。


「……追記。

 シルヴィア軍

 先鋒部隊(FLε部)の

 到着を確認。

 S-オムニスによる

 新陣形アルゴリズム

『二重格子遮断陣

(ダブル・グリッド)』へ移行」



吾郎軍・旗艦

『アスガルドα』司令室。


「司令官!

 後詰として到着した

 シルヴィア軍との

 回線同期が

 完了いたしました」


専属副官が

ホログラム上の

戦術図を更新する。


吾郎軍の

青い格子網の外側に、

シルヴィア軍の

銀白の重層防衛格子が重なり、

より強固な

二重構造へと塗り替えられた。


吾郎は腕を組んだままだ。


「レグナ総帥(そうし)の手配、

 感謝する。……

 シルヴィア軍の

 側衛が入ったことで、

 こちらの

 格子演算の

 負荷は半減したな」


吾郎は落ち着いた、

確かな響きのある声で命じた。


「ITα部およびASα部。

 シルヴィア軍の

 参謀部と密に連携し、

 敵の力押しを

 二段階で

 散逸させなさい。

 第一線で

 敵の推進力を半減させ、

 第二線で

 完全に自爆へと誘導する」


「了解いたしました!」



その頃、

覇王レグナの総旗艦。


「……レグナ様。

 シルヴィア軍の展開

 および吾郎軍との

 回線同期が完了。

 S-オムニス経由の

 最新ログが入りました」


左副官役のAI・rℓが、

可視化された

高精度重層陣形の

立体ログを美しく提示し、

右副官役のAI・rrが

続いて言葉を重ねる。


「両軍の連携により、

 敵15,000隻の

 物理質量圧迫に対する

 相殺率は100%へ回復。

 我が方の防衛ラインは

 完全に安定しております」


レグナ総帥は

眼前で青く光る

重層陣形のログを見つめ、

重みのある声音で頷(うなず)いた。


「うむ。

 吾郎とシルヴィアの連携、

 一分の隙もない。

 敵が数を頼みに

 押し潰そうと企てようが、

 我が軍の

 重層なる機能美の

 前には徒労に終わる」


聖王アーロンが鎮座する

フェニックス銀河団、

そして

セレスティアが守護する

アルカディア本国・聖宮。


後方絶対拠点の

揺るぎない平穏のもと、

前線のレグナ総帥と

二大軍勢は、

El Gordoの巨万の群れを

完璧な合理性をもって

完封しつつあった——。



セクター・アルファ-9。


東方・西方・中央の

全宙域を覆い尽くす

El Gordo(エル・ゴルド)

本隊の15,000隻を超える

巨万の艦列。


空間を

物理的質量で埋め尽くす

力押しに対し、

吾郎軍(α系列)の

『超弩級戦艦アスガルドα』

および

『ITS α』と、

シルヴィア軍(ε系列)の

『超弩級戦艦アスガルドε』

および

『ITS ε』が張り巡らした

『二重格子遮断陣』が

完璧な機能美を発揮していた。


「……敵

 先鋒集団の重力推進波、

 第1線格子(α網)にて

 推進力の50%を減衰。

 直後、

 第2線格子(ε網)への

 干渉に伴い、

 運動ベクトルの反転が発生」


シルヴィア軍・参謀部の

『ITε-1』が、

無機質かつ正確な

シード値を0.0001秒単位で

更新する。


第一線で

運動エネルギーを奪われた

El Gordoの大型戦艦群は、

次々と制御を失い、

自らが放つ慣性力によって

歪(ゆが)みの隙間(すきま)へと

引きずり込まれていった。


閃光も音もない。


ただ

空間のひずみの中へと

巨艦が沈み込み、

構造体ごと圧壊・自爆していく。



El Gordo中央本陣・要塞旗艦。


「……バカな!

 15,000隻の全方位圧迫すら

 破砕(はさい)されたというのか!?」


本隊司令官ギガルの

眼前に浮かぶ

戦術ホログラムは、

自軍の識別信号が

次々と群れをなして

消滅していく惨状を

映し出していた。


「敵の空間格子が

 二重構造に

 変化しています!

 推進力を

 力任せに

 押し込もうと

 すればするほど、

 そのエネルギーが

 自陣の艦体を

 内側から破壊する構造に……!」


参謀将校の

悲鳴に似た報告を聞き、

ギガルは

拳を固く握りしめた。


「前線の

 歪曲制御だけではない

 ……後方に控えし

 もう一基の

 同型基幹システムが

 完璧に同調している。

 ……チクショウめ!

 これほど広範な

 空間歪曲を

 破綻(はたん)なく

 並列処理するなど、

 人間の能力を超えている!」


「ギガル閣下、

 このままでは

 後続の

 第2・第3陣形まで

 干渉に巻き込まれます!」

本日 19:30 に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。