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6-40

 順調に街道を進むラディッシュ達――

 

 フルール国国境が次第に近くなり、手綱を引くラディッシュは周囲を窺いながら、

「今の時間からだと着いた頃には関所が閉まってると思うから、今日はこの辺でどうかな? 少し早いけど」

 野営に対する反対意見が無いか尋ねると、ニプルウォートはニッと笑って、


「イイんじゃないかぁ? そろそろ尻も痛いしねぇ~」


 ラディッシュは笑い返しながら、

「ドロプは?」

 振り返ると、

「…………」

 彼女は耳に届いていない様子で、虚空を見つめて呆けていて、


「ドロプ?」


 再び声を掛けると、ハッと我に返って笑顔で振り向き、


「どうかしましてぇラディ?」

「……どうかしたの?」

「何がですの?」


 一見、自然に見える笑顔に、


「いや、その……何でも無ければイイんだけど、今日はこの辺で野営をしようと思って……」

「宜しいのではなくてぇ? このままですと関所に着いた頃には閉まっていますわ♪」

「う、うん。そう、だよね」


 笑顔で頷きながらも彼女の異変に、

(僕が言った事をそのまま……どぅしちゃったんだろ?)

 ラディッシュも一抹の不安を抱いた。

 しかしその危惧は「彼女の近くに居た二人」に限った話ではなく、荷台でチィックウィードのお昼寝に付き合い、寝息を立てる仲間たちの中、

「…………」

 共に寝ているように見えたイリスも。薄眼を開けて会話に聞き耳を立て、それとなく彼女の様子を窺っていた。


 やがて、街道から少し外れた森の中に馬車を止めると、ゆりカゴ代わりの荷台が動きを止めたのに合わせ、


「ふぅあぁ~~~……もぅ着いたんスかぁ、ラディの兄貴ぃ~~~」

「いつの間にかぁ~寝てぇいたのでぇすぅ~」

「少々寝過ぎにぃありんすなぁ~」

「ちぃはぁ、まだぁネムネム……なぉ……」


 のっそり起き上がるターナップ達。

 初めから寝たふりをしていたイリスは「それっぽい仕草」で起き上がり、眠気眼を擦る仲間たちの様子にラディッシュは笑顔を交え、


「少し早いけど、今日はここで野営するよぉ」

「「「「「ふぁ~い」」」」」


 各々荷物を手に、おぼつかない足取りで馬車から降り始めると、


『シャキッとしなさいですわぁ!』

『アンタ達ぃ、んなこっちゃぁ怪我するよ!』


 ドロプウォートとニプルウォートが発破をかけたが、未だ半分夢の中に居る仲間たちは、

「「「「「ふぁ~~~い」」」」」

 再び気の抜けた返事を返し、


(((本当に大丈夫なの(かなぁ・ですのぉ・かぁい)……)))


 御者台担当だった三人は、合成獣の襲撃が無い事を祈るばかりであった。


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