一人の英雄
ウルトとエリスはベリター王国王都を目指していく道の途中、目の前で旅商人が魔獣に襲われていた。ウルトとエリスは旅商人を助けに入る。
<基礎術式・木〜樹木の育成〜>
エリスは術式を発動すると森の中から人影が現れる。その男は現れると同時に魔獣に立ち向かう。
<星の連撃>ウルトが一闇を纏った状態よりも早い速度の連撃で一体残らず瞬殺した。男はウルトの1.5倍くらいの身長で三節棍を武器として魔獣と戦っていた。
「そこの旅商人さん。一番近くの王都ってどこだ〜?」
ウルト「君は...アダンじゃないか!」
アダン「あ〜。誰だおま...ウルトじゃねーか!久しぶりだな〜おい!」
出会った男の名前はアダンという。ウルトとは昔旅の途中で出会い意気投合し少しの間一緒に旅をしていたらしい。一緒に魔獣討伐をしたり、一日中酒を飲み尽くしたり楽しい思い出がいっぱいだった。
アダン「なぁウルト。一緒にいるお嬢さんは誰なんだ?」
ウルト「彼女の名前はエリス。昔一緒に行ったマナ村の女の子さ。色々あって一緒に旅をしているんだよ。」
アダン「じゃ、自己紹介から済ませますか。はじめましてお嬢さん、アダンといいます。以後お見知り置きを。」
ウルト「アダン、君はそんな性格じゃないだろ。」
エリス「私はエリスといいます。3つの王国の戦争を終わらせるために禁断の果実を求めてウルトと一緒にベリター王国を目指しています。一番近くの王都に行きたいんですよね?よかったら一緒にどうですか?」
アダン「おいウルト〜めっちゃいいお嬢さんじゃねーか。そんじゃあご一緒させてもらうぜ〜。旅商人さんもどうだ〜?」
旅商人「あ私認識されてて良かった。」
ウルトたちは3人で旅商人の護衛をしながらベリター王国の王都にたどり着く。
旅商人「護衛ありがとうございます。この道を進んでいくと知り合いの旅館があるので良かったらご利用くださいね。」
旅商人を護衛したあとアダンはウルトとエリスの旅に同行することになった。まずは神器の回収をしなくては禁断の果実の祠の封印が解けない。ここベリター王国の神器は三節棍、真棍クレイジンクス。その神器に刻まれた術式は<不規則連撃>、神器の意思で白蝋棍が自動で増えたり減ったりする。神器の刺さった洞窟には自身を守るために術式がすごい速度で追撃してくる。それを掻い潜り神器に触れなくてはならない上に触れたとしても神器が所有者として認めない限り所有者になれないため今まで所有者が現れたことはない。
ウルト「アダン、僕の固有術式だと真棍クレイジンクスの所有者として認められることができない。そう言えば君の固有術式は解放してるのかい?」
アダン「おいウルト〜テメェの固有術式使えばそのくらいわかんだろ。もう解放してるぜ♪」
ウルト「どれどれ?<固有術式・心眼〜能力観察〜>。アダンの固有術式は...
<完全適応>あらゆる事象に適応することができる。しかも武器なら使うたびにその能力を際限なく引き出すことができる。おいアダンなんだこの固有術式。君にピッタリじゃないか。」
アダン「実はウルトの心眼より優れた目を持つ老人に解放前から内容を教えてもらってな頑張って固有術式解放したんだ〜。この固有術式なら俺が神器の所有者になれるはずだ。神器の持ち主は俺だからな禁断の果実も俺が食べるでもいいよな〜?大丈夫、エリスさんの目的には付き合うから安心しろよな。」
エリス「アダンさんありがとうございます!」
ウルト「ここからは二手に別れよう。アダン、君は神器を確保するために試練の洞窟に向かってくれ。そしてエリスここからは危険だし申し訳ないがここに残っててくれないか。」
エリス「どうしてですか?私にも戦わせてください。」
ウルト「悪いがそれはできない。この前戦った騎士団長ベイスよりも強いのが何人いるかわからない。君は固有術式の未解放なんだ。相手に大勢で来られると流石にかばいきれない。」
エリス「っ...。わかったわ。2人がいない間私は魔力訓練を続けます。」
ウルト「ごめんエリス君のためでもあるんだ。今後旅が続く場合君の力が必要になってくるはずだ。あまり拗ねないで今回はお留守番していてくれ。もし騎士団が来たら術式使って拘束しちゃっていいからさ。よし作戦決行は明日の日の出だ頼んだよエリス、アダン。」
その日の夜〜
ウルトは一人で旅館を飛び出し王都を出る。近くの泉に行き、闇の固有術式を発動する。泉には闇のゲートのようなものが開き中から一匹の巨大な魔獣が現れる。ウルトはその魔獣を目にも止まらぬ早さと正確さで倒しその魔獣から爪と牙、骨を採取した。残りの物はゲートの方に返してウルトはアクト村で鍛冶師に教わった短剣のレシピを持って世界一と名高いベリター王国の鍛冶師ラグリーのところへ行く。誰もいない鍛冶屋。手紙と素材、作り方をすべて一つの入れ物に入れ一生遊んで暮らせるだけのお金を添え鍛冶屋をあとにした。
夜が明け日が昇ろうとしていた。ウルトとアダンは旅館の外に出て二手に分かれる。
ウルト「アダン!神器をものにしたら速攻で城の地下に来てくれ!橋の下に入口がある。そっちは任せたよ!」
アダン「ウルト、テメェなんでそんなこと...いや考えるだけ無駄か〜。わーったこっちは任せろ速攻で神器をものにしてそっちに加勢してやんよ。ヘマして捕まったりすんなよ〜。」
数分後、アダンはすぐに試練の洞窟にたどり着く。
アダン「さ〜てと〜。周りの騎士共どうしてやろうか。さっさと殲滅しちゃってウルトの方の注意を引いてやるかな〜。」
ベリター王国騎士「おい!城の方に侵入者が来たぞ!ここにいる騎士も全員召集だ行くぞ。」
アダン「おいウルトのやつ早すぎるだろ。俺の分の敵残しといてくれよな〜。」
洞窟の内部に入って行くと魔獣が一匹も見当たらない。ベリター王国の兵士たちが先に倒していたようだ。神器の所有者がいつ現れてもいいようにだ。さきに進んでいくと少し開けたところに出てきた。洞窟の中だが埋まっている鉱物が水色に発光し薄暗くも全体が見渡せる様になっている。奥の方を見てみると人の形をした魔獣が王座に座っていた。神器の部屋を守るガーディアンだ。この試練の洞窟の神器真棍クレイジンクスと同じく魔獣は三節棍を所持している。アダンはガーディアンの体中から溢れ出す魔力が体を突き刺しているような感覚に襲われる。魔獣はとてつもないプレッシャーを放っている。過去に一度だけ感じたウルトと出会ったときにアダンが本気を出してウルトと戦った時にウルトから感じたものと同等のものだ。
アダン「よ〜ガーディアン。はじめましてだな。俺の名はアダン。テメェの守る神器を貰い受けに来た。道を開けてもらうぜ!」
アダンは自身の固有術式を解放するためにあらゆる武器を試していた。近くの神器が三節棍とわかった時点でいち早く適応するため凄腕の鍛冶師に三節棍を作ってもらっていた。三節棍同士のぶつかり合い、ガーディアンをしているだけあって<固有術式・完全適応>を発動しているアダンに対して優勢である。攻撃に段々と適応していくアダンだがそれを知っているかのようにガーディアンの攻撃も適応が進むたびに速度と威力が増す。三節棍には似合わない、ぶつかるたびに広がる火花が2人に戦いをさらに熱くし戦闘をさらなる段階へと上げていく。
アダン「なんだコイツ。速度が上がり続けやがる。それにこの連撃、完全に不規則だから適応が追いつかない。ほぼ山勘だけで攻撃を捌かないといけねぇ状況だ。これは...まずい!」
アダンは攻撃を受けながら反撃に転じたい状況だが<固有術式・完全適応>が間に合わずついにガーディアンの攻撃がアダンの鳩尾に突き刺さり吹き飛ばされる。壁に激突し体のいたるところから血が流れ始める。
アダン「あー、ウルトにあんなでけー口叩いておきながらヒデーざまだな。あと少しで適応できそうなんだけど、でもあいつがどれだけ硬いかもわかんねーし俺には決定打がない。じゃあどうする。あいつなら...。やってやるか。」
アダンは自身の魔力を全開放する。
<固有術式・完全適応〜星の連撃〜>
ガーディアンの高速の三節棍による防御に速攻で適応しながら自身の魔力で威力を上乗せしたアダン自身の最高の連撃。ガーディアンはすごいスピードで防御するがアダンの魔力が上乗せされた攻撃には耐えられずガーディアンの三節棍を破壊しそのままガーディアンを吹き飛ばす。
アダン「ようやくその硬ぇ三節棍を壊せたな。でもガーディアン自体も破壊するつもりだったんだがな。これはまじぃなあと神器の部屋用の魔力しか残ってねーぞ。」
武器を破壊されたガーディアンが動き出す。しかしアダンの想定とは裏腹にガーディアンははじめに座っていた王座に腰を下ろす。
アダン「何だ〜?試練合格か?あぶねー城にたどり着く前に死んじまうところだったぜ。ウルトと別れてから大体2時間くらいか?早くしねーとウルトのほうが心配だ。」
ガーディアンが座ったあと眼の前の大きな扉が開く。部屋の中央には神器が刺さった岩がある。神器の部屋だ。神器から魔力がそこら中に溢れ神器がその魔力をどんどん吸っている。アダンは部屋に入ろうとすると無数の白蝋棍による打撃が襲いかかろうとする。一歩でも部屋に足を踏み入れると入ってきたものをあたかたもなく潰してしまう。これが神器に刻まれた術式<不規則連撃>神器の思考つまり所持者にふさわしいかを見定める試練となる。
アダン「よし行くか。<全開放固有術式・完全適応>」
アダンは先程の戦闘、そしてそれを応用、ここからの適応をすべて使い部屋の打撃をすべて避け数分かけてようやく神器の元にたどり着く。アダンが神器に触れると神器が光りだす。その時周りの打撃が止んだ。魔力は全回復、総量も増えて傷も綺麗になくなった。この瞬間からアダンはこの世界で唯一の神器の所有者、英雄となった。
アダン「まさか神器による副産物がこんなにもらえるなんてな〜最高だぜ♪そしたら早速ウルトのとこに行くか。」
その頃ウルトは禁断の果実のある祠の手前でベリター王国騎士団トップの四騎士と戦い、体中傷だらけになっていた。
ウルト「流石に四人相手に武器なしじゃ勝てないか。<固有術式・闇〜2nd〜>。<固有術式・空変換>
ウルトの両方の瞳が青黒い瞳に変わり、闇の力で傷口から煙出て傷が完全に修復される。そして亜空間から一つの短剣が現れる。
四騎士「貴様!固有術式の2個持ちだと!?古の時代にしかそんな人間いなかったぞ。あいつは危険だ始末しなくては」
ウルト「うっかり殺しちゃうかもしれねぇからな。四人同時でいい全力ででかかってこいよ。」




