波に揺られて
千里の転校によって、滝嶋高校科学研究部は活動を休止する事になった。
吹奏楽部も関東大会で敗れ、全国大会への出場は叶わなかった。
「あー、あちぃー。」
匠と鈴木は古川に呼び出され、ファミレスにいた。あれ以降、匠は古川と分け隔てなく話せる程にはなっていた。
「やぁー、無職ども。おまたせ。」
匠と鈴木は怠そうな体を起こすと、声のする方を見た。Tシャツ短パンと何ともラフな格好の古川の後ろには、白色のワンピースを着た琴音もいた。
「無職じゃねぇ。一応これでも学生だ。おい、莉子。篠崎まで呼んで一体何の用だ?」
「やっほー。それは今から話すよ。」
琴音は何ともテンションが高めだ。
「琴音は知ってるのか?」
「まぁね!」
「では、部活が休止になって暇を持て余している君達にやって欲しいことがあります。」
「やって欲しいこと?」
匠と鈴木は首を傾げる。
「これよ!」
古川はチラシを机に叩きつけた。
古川漁港バイト募集!
1.年齢 高校生以上
2.期間 8月20日から1週間
3.場所 南房総
4.時給 1000円
ご不明な点があれば下記の連絡先まで
080-××××-○○○○
「何だこれ?」匠はチラシを手に取り、古川に問いかける。
「匠、分かる?あんたらにはね、労働が必要なの。その持て余してる体力を世のため人の為に使ったほうがいいと思うのよ。だからね、」
「つまり、このバイトに応募しろと?」
「あら、話が早いじゃん。ここ、私の叔父さんがやってる漁港なの。でね、人手不足というやつでして、この4人で手伝いしようって事になって。」
古川はもう既にやる気だ。
「いや、いつだよ?俺ら、今初めて聞いたんだが……」
匠は食い気味にツッコミを入れる。
「いいじゃん!暇でしょ?」
「莉子、お前失礼だぞ!俺らにだって……」
「あるの?」
「えっと……」
「予定、あるの?」
古川は鈴木に顔を近づけた。
「……」
「じゃあ、決まりね。因みに3日後だから早急に準備をしてきてね。」
古川の勢いに押され、良いように言いくるめられてしまった。
「琴音、駅前のシュークリーム食いに行くか?」
帰り道、匠は唐突に言い出した。
「どったの?急に」
琴音は少し驚いた様に言った。
「いや、この前まで色々なことがあったし……だめか?」
「プッ、いいよ。」
琴音は少し笑うと、微笑んだ。
「私2個ね、早く行こ。」




