表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/44

波に揺られて2

匠たちは荒波の中、海の上にいた。

「ウッ!」

匠は青ざめた顔で甲板に出ると、海に向かって盛大に吐いた。

「進藤君!君はだらしないな!男だろう!」

タンクトップにねじり鉢巻、肌は茶色く焼けた大男が言った。

「いや、そんなこと言っても。ウッ!」

第二波だ。


「何でこうなったんだ……」

匠は船から身を乗り出しながら言った。



『おーい、たくみー、起きてるかい?』

匠は早朝5時に琴音からの電話で起こされた。匠は時計を確認し、朝の5時であることを認識する。

『おい、琴音、今何時だと思ってやがる?』

『ふぇ?5時だよ?』

『集合は何時だ?』

『8時に駅前だね』

『そうだよな。ってことは?』

『んー……ん?』

『こんな時間に電話かけてくんなー!』匠は大声と共に電話を切った。


「ったく、目が覚めちまったよ。風呂でも入るか。」

匠はベッドから降りると、1階へと降りて脱衣所へ向かった。


「あらら、匠怒っちゃったかな?後で謝らないと。取り敢えず、お風呂でも入ろうかな。」

琴音もまたベッドから降りると、脱衣所へ向かった。



8月20日AM8:00 駅前


古川が駅前に行くと、既に匠と琴音がいた。しかし、何か様子がおかしい。二人は背を向け合い、そこには何やら近づき難いオーラを感じる。

古川は恐る恐る近づいた。


「あのー……」

古川が声を掛けると、匠と琴音は古川に気付いた。

「よう、古川!」

「あっ、莉子ちゃん!」

二人の声が重なると、匠と琴音はお互いの顔を見るや否や、顔を背けた。


「いや、あんたら何があったのよ……」

「聞いてよ莉子ちゃん!匠がね。」

「あれは不可抗力だ。そんなことくらいで怒るなよ。」

「そんなことって」

「わかったわかった。話聞くから落ち着きなさい。」

古川は言い争う二人を見かねて仲裁に入った。

古川が仲裁に入ると、二人はまた顔を背けた。

「で、匠、あんたは何をしたの?」

「俺は別に、ただ……」



AM8時前 駅前にて


「おーい、たくみー、こっちこっち。」

琴音は嬉しそうに手招きをしている。今日の琴音のファッションは、花柄が少し入った白色シャツに水色のロングスカート、麦わら帽子となんとも夏らしい服装だ。


「よっ!」

匠が琴音の方に近づくと、急に茶色い猫が飛び出してきた。

「わっ!」

匠は咄嗟に猫を飛び越え、前のめりになり、琴音に衝突した。

「いてて……」

目を開けると、匠は琴音の上に馬乗りになっていた。琴音は恥ずかしさから顔を赤くし、涙ぐんでいる。

「あっ、わりぃ……」



「まぁ、こんなところだ。」

「はぁ、全くあんたらは……取り敢えず、匠はちゃんと謝ること。琴音も、わざとじゃないんだから、許してあげなよ。」

古川は溜息をついた。

古川は実に大人である。匠と琴音がくだらないことで喧嘩をすると、決まって古川が仲裁に入りその場をまとめるのだ。


「ごめんな、琴音」

「私も、こんな事で怒ってごめん。」

匠と琴音は顔を向けあうと、少し微笑んだ。

「偉い偉い。」

古川は琴音の頭を撫でた。


「おーい、遅れてごめん。って、お前ら何してんだ?」

鈴木は、古川が琴音の頭を撫でている状況を不思議そうに見ている。

「遅い!罰として荷物持って!」

古川は自分のキャリーケースを鈴木に差し出した。

「まじかよー!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ