15.5. そんな権限があるわけない
夜。拘留所の廊下は細長く、蛍光灯が微かなブーンという音を立て、壁を惨白に塗っていた。ヴィオレット・硝石は鉄格子の後ろに座り、囚服はオレンジ色、髪は乱れていたが、彼女の目は不自然に輝いていた。
足音。彼女ははっと床から立ち上がり、両手で鉄格子を握り、指節は白くなった。「来た」彼女の唇は震え始めた:高ぶり。
「仙人仙人仙人!!! 来てくださった!!! 本当に来てくださった!!! そうだと思ってた!!! あなたが私を見捨てないって!!! 」
黒いフードの人型が鉄格子の前に止まった。文森特は彼の半歩後ろに立ち、微かに眉をひそめた。
「平身―― 」
「弟子、経済学大仙人にお目通りを拝みます!!! 」
「お前はよくやった。見事で、無駄がなかった。ただし――あの異邦人 は別だが」
「仙人……あの探偵 ……彼は……彼は…… 」
「いつもあの異邦人が邪魔をする。おそらくルシフィット が気づいたのだろう」
ヴィオレットの呼吸は荒くなり、指は鉄格子を握りしめ、爪は掌に食い込んだ。
「問う。修行を続けるか?」
「はい」一字、まるで引き金を引くように潔かった。彼女の目には炎が燃えていた。
怪しい人物は横を向き、フードの影を文森特に向けた。「お前の権限を使え。彼女をここから引き上げろ」
文森特は硬直した。彼の眉はさらに深くひそめられ、顎は微かに引っ込んだ。
「俺はただのインターン だ。そんな権限があるわけない」
沈黙。
三人が鉄格子の両側に立っていた。惨白の灯りが頭頂から注ぎ、ヴィオレットの高ぶった顔、文森トの緊く眉、そしてフードの下の何もない黒を照らしていた。大眼と小眼が見つめ合う。




