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EP3 異質

桃愛の一人称は『もも』です!

ロゼアの一人称は『私』となります!

「死ぬ覚悟と言ったわね?復讐もできずにテストで死ぬなんてやめてよね」


桃愛が桜蘭家へ向かう最中に言った。


「俺は死なない。絶対にその適合者になってやる」


「そう頑張って」


桃愛は相変わらず冷たい。


「桃愛ー冷たいよー。零は今まで見たことのないような才能があると思うんだ、私」


「そう。じゃあ死なないわね」


「本当、桃愛は仲間以外には冷たいなー。いずれ仲間になるかもしれないよ?第壱戦闘隊1人欠けちゃって大変なんだからさ…」


ロゼアはその発言はよくなかったか?と思い、訂正をする。


「あ、ごめん。忘れて。……とにかく、零が合格しなきゃ、第壱戦闘隊の穴は埋まらないのよ」


ロゼアは零に無理やり作った笑顔を向ける。

桃愛は黙ったまんまだ。


「1人欠けた…?」


零は小さな声でポツリと呟く。


「そうよ。欠けた。死霊術師(ネクロマンサー)になったからって死なないわけじゃないのよ。むしろそこからが本番。戦場では死人が出る。私たちも割り切ってる。でも…」


桃愛が拳を握りしめる。


「今のは私が悪かった。ごめんなさい」


ロゼアは桃愛に謝る。


「別にいいよ、ももに謝ってもなんもなんないから…あれはももが悪い」


「…」「…」「…」


3人の間に沈黙が流れる。


「ほら見えたわよ、死霊術師(ネクロマンサー)待機場所とは違う、桜蘭家が桜蘭家の為にだけ作った場所、王宮よ」


そこに立つのは、地下の澱んだ空気を切り裂くように、血塗られた赤と、冷徹な銀が混ざり合う巨城がそびえ立つ。壁面からは無数の亡者の啜り泣きが地鳴りのように響き、一歩踏み出すごとに、魂が削り取られるような悪寒が走る巨大な城だ。


「これが王宮…」


零はポツリと呟く。


「おい。何だその袋は。汚らわしい!」


王宮の門の番人が零の持っている袋を指さして吐くように言った。


「おい、てめえ…今なんつった?」


零の発言を受け、あたりに沈黙が走る。


「汚らわしいと言ったのだ!」


番人はすかさず言った。


「お前死にてえのか?」


零が低く重い声で言った。桃愛とロゼアは感じ取った。全身が凍るような感覚を。


(天城零…恐ろしい男ね…)


桃愛がそう思った瞬間番人は倒れ込んでいた。


「え、なに?」


ロゼアは唖然とする。鼻血を垂らして白目を剥いて石畳に沈む番人を見たからだ。


「わりぃ…やっちまった」


零はロゼア達を見る。


(速いってレベルじゃない。これは人間離れしている。【ニーズヘッグ】と契約している私でさえ、避けるのは至難の業だわ)


「凄い…いきましょう桜蘭家へ」


ロゼアが歩き出した瞬間、カランカランという足音が聞こえた。


「ロゼア、くる」


桃愛がそう言った瞬間霧がかかった零達の正面から桜蘭家総帥、桜蘭(おうらん)炎帝(えんてい)が拍手をしながらやってくる。


「…無価値の番人よ…無様じゃ。しかもまだ死霊術師(ネクロマンサー)として霊と契約もしていない一般人になぁ」


渋い威圧感のある声がそこらに響く。零は足や指が震えそうになるのを必死に堪える。


「桜蘭炎帝様。こちら、死霊術師(ネクロマンサー)としての才能があるであろう少年でございます。適合者テストに参加させていただきたく思います」


ロゼアは跪き礼をしながら、零の紹介をする。桃愛も同様に跪いている。


「根拠は?」


「私の【ニーズヘッグ】を目視しました。そしてここの番人に自分の母を侮辱された為、倒した。そしてこの件については私から謝罪申し上げます。申し訳ございませんでした」


「謝罪はいらない。一般人にやられる番人など、いてもいなくても変わらない、ゴミだ」


そう一瞥して桜蘭炎帝は気絶してる番人を持ち上げ、近くにある不気味な色と気配を放つ池に投げた。


「なっ!?」


零は桜蘭を睨むように見る。


「やめろ」


桃愛がいつもとは違う口調で零を止める。

炎帝は零が掲げている袋に手を伸ばす。


「母さんに触るな」


零は炎帝の伸ばした手を払う。


「!?」


桃愛とロゼアは2人を見て驚愕する。そんなことしたら、零は炎帝により殺されると思ったからだ。


「ほう…わしの指を弾くのか…小僧。」


背の高い炎帝は零を見下して睨んだ後、ニヤリと笑っていた。


「いい。桃愛はこの男を、わしの息子の桜蘭宵(おうらんよい)がいる場所へ連れてけ。そこでテストを行う。ロゼアはこの男の母親の死体を灰になる前に第壱戦闘部隊、隊長浅見(あざみ)秋夜(しゅうや)に見せろ。わしは後から、宵の元へと向かう」


「「御意」」


桃愛とロゼアが口を揃えて言った。


「天城零。宵様の所にいくぞ」


桃愛は零の服の首元を引っ張る。


「お母様の袋、私に頂戴。何もしないで丁重に扱う。灰になるまで後残り少ない。だから、私は信頼できる仲間にお母様が灰になるのを防いでもらう。いい?」


「ありがとう、頼む」


零は、指がちぎれそうなほど握りしめていた袋を、ゆっくりと離した。


「母さん…」


「行くわよ。桜蘭家を怒らせたらどうなるかわかんないだからね」


桃愛は走った。それに零もついていくのであった。




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