第19話:『お茶の間プロポーズと、誓いの甘い口づけ』
王宮とのゴタゴタも完全に片付き、お屋敷に再び訪れた平和な午後。
私はダイニングで、新しく収穫した大豆から作ったきな粉をたっぷりまぶした『きな粉餅』を並べ、ギルバート様と並んで温かい緑茶を飲んでいた。
「美味しいですね、ギルバート様」
「ああ、お前と飲む茶はいつも美味いが、今日は一段と身体に染み渡るな」
湯気の向こうで微笑むギルバート様。
その美しいサファイアの碧眼が、不意に真剣な光を帯びて私を真っ直ぐに見つめた。
彼は持っていた湯呑みを置くと、私の小さな両手を優しく、けれど包み込むように強く握りしめた。
「マドカ。……俺は、お前を二度と離したくない。ただの客人ではなく、生涯を共にする妻として、俺の隣にいてほしい」
「えっ……」
突然の、けれど真っ直ぐで嘘偽りのない本気のプロポーズ。
190cm近い彼が、私の前に膝をつくようにして目線を合わせ、愛おしさに碧眼を少し潤ませ見つめている。
28歳のアラサーの私だけど、この格好よくて超過保護なお兄さんのことが、もうどうしようもないくらい大好きなのだ。
心臓がブラック企業の繁忙期より激しく脈打つ中、私は顔を真っ赤にしながらも、今度は逃げ出さずに彼の碧眼をじっと見つめ返した。
「……はい。私、ただの『おまけ』として捨てられたはずなのに、ギルバート様に出会えて世界で一番幸せです。……ギルバート様の過保護すぎるおねだりなら、一生付き合う覚悟はできてます!」
私が満面の笑みでそう答えた、次の瞬間だった。
「――マドカ、愛している」
低く掠れた甘い声が響いたかと思うと、私の身体は一瞬でギルバート様の逞しい腕の中に引き寄せられていた。
気づいた時には、唇の上に、優しくて、熱い口づけが降ってきた。
「ん……っ、」
夕暮れの菜園の時のような不意打ちじゃない。お互いの想いが重なり合った、深くて、息が止まりそうなほど情熱的な口づけ。
ギルバート様は私の小さな腰に大きな手を回し、まるで世界一の宝物を独占するかのように強く抱き寄せた。
一度離れた唇が、名残惜しそうに、けれど何度も角度を変えて優しく重ねられる。
触れ合うたびに、彼の甘い香りと、大人の男の人ならではの熱い吐息が私の脳を心地よく溶かしていった 。
ようやく唇が離れたとき、私は彼の胸にカツンと額を預けたまま、ゆでダコのようにのぼせ上がっていた 。
ギルバート様は私の赤くなった頬を大きな手のひらで優しく包み込み、大人の色気が駄々漏れな、これ以上ないほど甘く蕩けた極上の笑みを浮かべている 。
「もう二度と、俺の腕から逃がさないからな。……一生、俺だけの可愛い聖女様だ」
(むぅ……、もう逃げませんけど、やっぱりこのお兄さん、一生過保護が限界突破してますね……!)
ギルバート様の胸の中で心地よい甘い束縛を感じながら、私はこれからの美味しい異世界新婚ライフに、最高に幸せな悲鳴を心の中で上げるのだった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
次回は【7月15日(水) 18時】に更新予定です。お楽しみに!
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