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異世界戦記 ~ここで俺は最強に至る~  作者: かげ2500
第7章 影の五騎士編

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206話 リベンジ

 あの後、ガルスと俺はそれぞれ街へと足を進めた。


 ガルスは四日後に再びあの魔物と戦うらしい。それを聞いたとき、俺の心はすぐに決まった。


「別に来なくてもいいんだぜ」


 並んで歩いていたガルスが、面倒くさそうに言う。しかし、俺は迷うことなく首を横に振った。


「いいえ!俺は絶対に”仲間”の大切さを証明してみせます!」


 ガルスは舌打ちをし、眉間にしわを寄せた。


「チッ……めんどくせえガキだ」


 だが、その目はどこか期待しているようにも見えた。


 ガルスと別れた後、俺はすぐに行動を開始した。

 あの魔物を倒すために必要なもの――それを知るために向かったのは、ルミエラのもとだった。



 ―――。



「鉱石型の魔物の弱点?」


 俺の問いかけに、ルミエラは興味深げに目を細めた。彼女の赤紫の髪が、ゆらりと揺れる。


「そうなんです。洞窟の中にいた、光る鉱石みたいなやつなんですけど……めちゃくちゃ硬くて、魔法の効きが悪いんです」


「あらあら、硬い男なんて嫌われるよ?」


「今そんな話してないです。」


 おちゃらけたルミエラにツッコミを入れながら、俺は続けた。


「でも、あの魔物の触手……斬撃は効いてるみたいでした。でも、本体に攻撃を当てるのが難しくて……何か良い方法はありませんか?」


 ルミエラは頬に指を当て、しばし考え込んだ。そして、ふと何かを思い出したように微笑む。


「なるほどねぇ。それなら、”共鳴”を狙うのがいいかもね」


「共鳴?」


「そう。鉱石ってのは、一定の振動を受けると内部から砕けることがあるんだよ。硬いからって強いわけじゃない……むしろ、”硬すぎるが故に脆い”ってこともあるんだよねぇ」


 俺は思わず前のめりになった。


「じゃあ、振動を起こせるような魔法を使えば……!」


「あぁ、うまくやれば、内部崩壊を狙えるってわけ。でも、問題はどの周波数がその魔物に効くか……」


 ルミエラが指をトントンと机に打ちつける。その様子を見ながら、俺は頭をフル回転させた。


「……それなら、試してみるしかないですね」


「ふふ、そうねぇ。でも、無駄撃ちばかりしてると無駄に魔力を消耗するよ?」


「はい、だから……可能な限り準備して、絶対に成功させます!」


 俺の真剣な眼差しに、ルミエラはくすりと笑った。


「じゃあ……音を利用する魔法を調べるといいかもねぇ?」


「音……」


 確かに、音は振動そのものだ。もし音を魔法で操ることができれば、より精密に共鳴を起こせるかもしれない。


「ありがとうございます、ルミエラさん!絶対に役立てます!」


「ふふ、いいよ。期待してるわ、カイル君?」


 こうして俺は、鉱石魔物を倒すための新たな作戦を手に入れた。

 四日後――俺は、ガルスとの戦いで”仲間の力”を証明してみせる。


 ルミエラの助言を受けた俺は、すぐに行動を開始した。


 ”共鳴”を利用した魔法攻撃――それが、鉱石魔物を倒す鍵になる。

 しかし、そのためには二つの問題を解決しなければならなかった。


 一つ目は、適切な振動を生み出す手段。


 音を利用する魔法――つまり、”音波”を操る魔法を使えば、鉱石の硬さを逆に利用して破壊することができるかもしれない。だが、俺はまだその手の魔法を扱ったことがない。


「まずは基礎から試すしかないな……」


 俺は街の図書館に向かい、”音波の魔法”について書かれた本を探した。



 ―――。



「音の魔法は、魔力を一定の波長で振動させ、空気を介して力を伝達する魔法――つまり空気元素魔法である。」


 古びた魔導書を読みながら、俺は自分の魔法の使い方を見直す。


「空気元素魔法……ノアの適正魔法だってやつか。それに、通常の攻撃魔法とは違って、”破壊”じゃなく”影響”を与えるのが目的なのか……」


 これは、俺にとっても新しい魔法の形だった。しかし、試す価値はある。


 ――俺は杖を構え、まずは基本的な音波を放つ練習を始めた。


「サウンド・ウェーブ。」


 魔力を込め、空気を震えさせると、小さな音の波が広がる。


 だが、それだけだった。


「……これじゃ、全然威力が足りないな。やっぱりまだ空気元素魔法の”イメージ”を掴めていない……。」


 音波の性質を理解し、より強い振動を生み出す方法を見つけなければならない。


「練習あるのみだな……。」



 ―――。



 二つ目の問題は、ガルスをどう説得するかだ。


 ガルスは頑固だ。


「最強は群れねェ」


 彼の信念を覆さなければ、俺と共闘する気にはならないだろう。

 だが、一度戦ってわかった。


 あの魔物は、ガルス一人では倒せない。

 それを理解させるには、言葉だけじゃダメだ。俺が証明しなければならない――。


 四日間、俺はひたすら訓練を続けた。


 そして――ついに、リベンジの日がやってきた。


 俺が洞窟へ向かうと、すでにガルスは入り口で待っていた。


「……チッ、来やがったか」


 相変わらず不機嫌そうな顔だが、どこか俺を試すような視線を感じる。


「ええ、当然です。俺が来ないなんて、思ってました?」


「チッ、どうせすぐ逃げ出すことになるぜ」


 ガルスはそう言いながら、大剣を肩に担ぐ。そして、洞窟の奥を睨みつけた。


 光る鉱石の魔物――あいつが、またそこにいる。


「ガルスさん、一つだけ言わせてください」


「……あァ?」


 俺は杖を握りしめ、真剣な眼差しでガルスを見つめた。


「俺が”仲間の力”を証明します。だから……もし俺の魔法が効いたら、その時は”一人”じゃなく、一緒に戦ってください」


 ガルスはしばらく俺を睨みつけた後、鼻で笑った。


「フン……てめぇの戯言なんざ、聞くつもりはねェ」


「それでも、やってみせます」


「……面白れェ。なら見せてみろや」


 俺たちは、ついに洞窟の奥へと足を踏み入れた。


 洞窟の奥へと進むと、静寂を切り裂くように不気味な振動が響いていた。


(この先に……いる。)


 俺はゴクリと息を飲み、さらに奥へと進んだ。


 広場に出ると、まるで地鳴りのような音とともに、鉱石の壁が揺れ、巨大な影が動き出す。

 それはまるで生きた鉱石の塊だった。全身に埋め込まれた鉱石が淡く輝き、光が脈打つように周囲に放たれる。


「……俺様1人でやらせろォ!」


 ガルスが低く呟くと同時に、大剣を肩に担ぎ、地を蹴った。凄まじい速度で間合いを詰め、


「オラァァァ!!」


 全力の一撃を振り下ろす。


 しかし、その剣撃は魔物の硬質な身体に弾かれ、凄まじい火花が散る。


「チッ……やっぱりテメェは一筋縄じゃいかねェか!」


 ガルスは一歩も退かず、大剣を振り抜きながら体勢を立て直す。すぐさま横薙ぎの一閃を繰り出すが――


 またしても刃は弾かれた。


「チッ……クソ硬ェ!」


 魔物がゆっくりと動き出す。

 巨大な触手状の腕がしなり、ガルスへ向かって振り下ろされる。


「……チンタラしてられっかよ!」


 ガルスは咄嗟に後方へ跳び、回避。

 だが、魔物は間髪入れずに次の攻撃を繰り出してくる。触手がしなり、鞭のようにガルスの腹部を狙った。


「ぐッ……!!」


 ガルスは大剣を盾のように構え、攻撃を受け流そうとするが、その衝撃は想像以上だった。


 衝撃が全身に響き、ガルスの足元の岩が砕ける。

 身体が少しだけ浮き上がり、後退した。


「くそ……! こんなモンじゃねェ!」


 息を荒げながらも、ガルスはすぐに立ち上がる。

 しかし、彼の足取りは先ほどよりも鈍い。


 ――それもそのはずだ。


 ガルスが初めてこの魔物と戦った時に負った傷は、まだ完全には癒えていない。

 痛みが体を蝕み、無意識のうちに動きが鈍くなっていた。


 だが、それでもガルスは前へ進む。


「最強は……群れねェ……!」


 彼の言葉通り、ただ一人で戦い続ける。

 だが、その強靭な意志とは裏腹に、彼の身体は徐々に限界を迎えつつあった。


 魔物の触手が再び振り上げられる。


「……ッ!」


 ガルスが剣を構え直し、攻撃を迎え撃とうとしたその瞬間――


 足がもつれた。体が思うように動かない様子だ。


「……クソが!!」


 その隙を逃すはずもなく、魔物の触手が一気にガルスを襲う。


「危ない!!」


 俺は即座に魔力を練り、杖を振る。


「ウィンド・ブラスト!!」


 強烈な風の魔法が発動し、ガルスの身体を吹き飛ばすように押し出した。


 次の瞬間、魔物の触手が振り下ろされ、ガルスが立っていた場所の地面が、粉々に砕け散る。


「ガルスさん、大丈夫ですか!?」


 俺は素早く駆け寄る。


 ガルスは地面に膝をついていた。


「……チッ、雑魚に助けられるとはな……」


 唇を噛み締めながら、悔しそうに拳を握る。


 俺は杖を強く握りしめた。


「ガルスさん、その傷じゃ戦えません。ここからは――俺が戦います!」


 魔物が再び動き出す。


 俺は決意を込めて、前に出た。


 この戦い、絶対に勝たなければ――。

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