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しゅしゅしゅ



 今回はいつもより短めです。



 僕の家は少し…いやいや、かなり…そう、かなり変わってたんだ。

 僕の家って言っても、この世界の家族のことを言ってるんじゃなくて、地球での家族の事ね?

 この世界の家族も少し変わってる所はあるのは認めるけど。


 僕の地球での名前は『雲隠陽陰』。

 僕が中学生くらいの時から、戦国時代に興味を持ち始めたんだけど、そこで初めて霧隠才蔵って言う忍者を知ったんだ。


 雲隠と霧隠。僕は思ったよ、我が家のご先祖さまも忍者なのでは?ってね。

 伊賀と甲賀みたいに。


 事実は小説よりも奇なりって言葉を、僕は結構多用する癖があるんだけど、今回に限ってはまさにその通りだった。


 我が家のご先祖様は、雲隠衆って言う忍者集団だったんだよ!冗談抜きでひっくり返ったね。

 そのおかげで頭を打って、病院で検査してもらうことになったんだけど…。


 雲隠衆の起因は、伊賀や甲賀、軒猿とか風魔とか雑賀とかなんとかかんとかの色々が集まって出来たらしくて、それぞれからの抜け忍たちの寄り合いで出来た根無草(ねなしぐさ)の団体だとか…。

 さっき言った霧隠才蔵って人は忍者じゃないみたいだし、存在したのかあやふやな衆の出身もいたらしいけど、少なくとも真田十勇士に霧隠って人がいたのは事実らしい。ひいじいちゃんに聞かされた時は、人間不信ならぬ忍者不信に陥ったよ。


 まあ、そんな僕も忍者の教育は受けたんだけどね?

 嘘か本当か知らないけど、ひいじいちゃんの年齢は150を超えるとか、遅老長寿の秘訣は異性とのお遊びとか…。ひいばあちゃんに引っ叩かれてたけど、確かにひいばあちゃんが5人居たのは普通じゃないよね?

 ばあちゃんも5人いたし。

 マミィは1人だったけど。



 何で急にこんな話をし出したかと言うと、僕は今手裏剣を作ってるからなんだ。

 華道や茶道とか歌道とかの、文化的教養を教わる前にこの世界には来ちゃったけど、それ以外のことなら口伝も含めて全て教わってるんだ。もちろん手裏剣の作り方もね?

 でもひいじいよ、火縄銃の製法を教えてくれたところで時代にそぐわないとは思わんのかね?

 玉薬(黒色火薬)の製法は知ってて損はないと思うけどさ。


「出来た!」

「それが手裏剣?飛び道具なの?」

「そうだよ!かっこいいでしょ?」

「うぅん…それで相手を倒せるのか疑問なんだけど?」

「え?ああ!これじゃあ無理だよ!だって紙で出来てる紙手裏剣なんだから!」


 そう、僕は今、折り紙をやってます。

 本物の手裏剣なんて造らないよ!子供の服じゃ隠すのに不自由するからね。

 苦無なら袖に隠せるけどね?


 それに、地球での身体ならともかく、この世界のこの身体じゃあ前より思うようにいかないと思うしね?

 一応、この身体でも修練はしてるけど…成長途中だし体に負担がかからない程度だからさ、ルーの気配とかに気が付かない事もままあるんだ。


「そもそも、何でナイフとかを使って無いのに綺麗に切れるの?」

「折り目をしっかりと付けることで、それに沿って切れてくれるんだよ」


 役割としては、ミシン目みたいなものだと僕は思ってる。


 いやぁ、それにしても折り紙は楽しいなぁ。

 ちなみに、ルーは紙飛行機が気に入った模様。

 試行錯誤していろんな形を作って飛ばしてる。


「いて」

「ごめん。制御不能」


 ルーの飛ばした紙飛行機が、風に流されて僕の後頭部に当たったんだ。痛くなくても痛いって口から出ちゃう時ない?僕もついつい出ちゃった。


「これは面白い。準備するのが紙だけってのも評価が高い」

「手放しに褒めるね。気に入ったの?」

「うん。率直に言って、オセロより好き」


 決まった形なんてないからね。一応、こう折ればコレが作れますよーってのはあるけど、発想次第で何でも作れちゃうと思うし。


「姫様!見てください!」

「何それ?」

「えぇ!?どこからどうみても姫様ですよ!」

「どこからどうみても悪魔にしか見えない」


 ごめんなさいルミルさん。僕もルー王女様に大賛成です。

 ルーに角?なんて生えてないし、そもそもの話として絵が下手だよ…。素人が芸術家の真似をしてぐちゃぐちゃに描いた…みたいな絵だよ?


 お転婆姫様の護衛兼メイドさんとしては申し分ない程の凄腕だけど、芸術に関しては壊滅的なんだね。

 楽器も下手だったし。


 あ、ダンスは上手だった!身体能力がすごいからかも知れないけど、ダンスは見入っちゃった。


「はい、これ」

「えぇ!?これ私ですか!?」

「そう」


 10分掛かって描いてたルミルの絵より、1分足らずでササっと描いたルーの絵の方が100倍上手いんだけど……。

 ま、まあ、人には得手不得手がありますからね?


「ありがとうございます!家宝にします!」

「うむ。命に変えても守るように」

「はっ!」


 いや、あのですね?家臣に下賜した風になってますけど、ただのプレゼントですよね?子々孫々に渡って代々守るようなものでもない気も…。


 でもその基準は人によるし国によるし、時代によっても変わってくるからなぁ。

 昔の時代の手紙が、今代では歴史的価値を持つなんて事はよくある事だし、事実、地球でもそうだったし。

 我が家にも一族の家宝もあったし、代々当主の座を継ぐ者には秘宝も教えられたし。


 ちなみに、家宝は太刀と巻物で、秘宝は初代様のミイラだったりもした…。お墓に入れてあげてよって思ったし、今まで死体と一つ屋根の下で暮らしてたのかと思うと…うん。


「…はぁ。はい、コレ」

「ありがとうございます!!死ぬまで肌身離さず持っています!」

「それは辞めようね?」


 うずうずしてたウィーに、さっき作った紙手裏剣をあげたんだけど…喜びすぎじゃない?

 喜んでくれるのはこちらとしても嬉しいけど、反応が良すぎるとちょっと引く。


 それに、肌身離さずってさぁ、それ紙で出来てるんだからボロボロになっちゃうよ。


「いえいえ、メイドの身で主人から物を賜る事など早々ないので。名誉な事なのです」

「そうなんだ…。僕は身近な人には贈り物を良くするタイプだから、毎回大袈裟に有り難がられるのもなんだか…」

「シヴィは変わってる」


 貴女にだけは言われたくありませんよ、姫様。

 知らない男の屋敷に単身乗り込んできては背後を取ったり、いつの間にか居たり、護衛を巻いたり。お転婆じゃなくてじゃじゃ馬ですね?


 それに、僕はお貴族様じゃないからね?商人の息子なんだから、お得意様とか大口の顧客に贈り物をするのは良くある事だし、我が家で雇ってたメイドさんにも贈り物とかはしてたよ?

 商人って言うのは、信用第一だからそう言うのは欠かさないんだよ。


「ルーも変わってるよね?」

「……」

「……」

「変わってないって」

「権力者め!」


 メイド's()に聞いたのに、そっぽをむかれた!権力による言論の自由の妨害だ!

 なんてね?


「そろそろお茶にする?」

「うん。よく冷えた緑茶が飲みたい」


 それ、よくわかります。


 最近は夏が近くなって来てるから気温が上がって来てるんだよなぁ。

 不思議なことに、1年の日数と1日の時間、季節の変わり方や春夏秋冬がある所まで、日本と殆ど変わりないんだよ。

 違うことと言えば、この国は夏でも比較的涼しいってことくらいかな?平均最高気温は…35度くらいだと思う。

 冬の平均最低気温は氷点下5度くらいかな?雪はそこそこ降る。住みやすい国だよ。


「最近は日も伸びてきて、すぐに洗濯物も乾くので有難いです。もう少ししたら雨季に入るのは憂鬱ですが」

「そしたら、ドライヤーを使えばいいと思うよ」

「ドライヤー…ですか?」


 あれ?ドライヤーって無いの?構造としては簡単だと思うんだけど。


 確か、ファンで風を起こして熱源を通過させる際に、冷風が熱を奪うことで温風として送風されるって仕組みだった気がする。

 この世界の冷蔵庫と似たような仕組みだし、直ぐにでもできるんじゃ無いのかな?


 そう言えば、マミィが使ってる姿を見たことなかったわ。うん。


「それを使えば洗濯物が乾くと?」

「お風呂上がりの髪を乾かしたり、髪型のセットにも活躍する優れものだよ?」

「すぐに造らせて」

「はっ!」


 おおぅ、女性陣の目の色が変わりましたぞ。


「シヴィは技術者か開発者になるべき」

「姫さま、シヴィ様は半ば開発者になっているのでは無いでしょうか?この庭も、鹿威しも、緑茶も開発しましたので」

「確かに。今後もよろしく」


 ねえ、オセロが抜けてるけど?

 まあいいけど、今後も僕が開発する…と言うか、地球の技術を真似するのは必要とか欲しいと思ったものだけだよ?

 頼まれればそれ以外も開発したりするかも知れないけど…。


 見返りってあるのかな?


「しゅっ」

「いて」

「ごめん。制御不能」


 せっかく教えてあげた手裏剣で、僕を攻撃しないで欲しいんだけど?

 というか、紙飛行機と違って制御不能なんてならないけど?ブーメランじゃあるまいし。



 次回は10日の21時です。

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