王都のギルドは治安が良い?
「ここです」
「ここかぁ…」
ウィーの案内の元に辿り着いたところは、煉瓦造りでかなりの大きさの建物だった。
なんと!ギルドです!
あ、知ってた?そう…。
奥行きがどれくらいあるのか分からないけど、建物の横幅は東京ドーム半個分くらいで、高さはビルの5階くらいかな?
目算だから正確じゃないけどね。
とまあ、それは良いとして…早速中に入ろうかな。
ちょっとドキドキしながらドアを開けて中に入る。
「いらっしゃいませ」
中に入ると目の前に、受付の様なカウンターがあった。と言うかこれは受付かな。
「どの様なご用件でしょうか?」
「えぇーと…冒険者になりたいのですが」
「…え?…え?」
「聞き間違いでは無いですよ」
まずは僕の顔を見て驚き、次にウィーの方に顔を向けて驚いた。
うん、まあ分かるよ。僕って11歳だからね。
僕みたいな子供がお供を連れてやってきたかと思えば、冒険者になりたいなんて言うとは思わないだろうね。
依頼する側なら分かるけどさ。
「ご年齢は?」
「11歳です」
「…分かりました。それでは、この先の1番奥のカウンターで登録の手続きができます。審査もあるので、必ずなれると言うわけではありません」
そうなんだ。
僕の知ってる冒険者って……ああそうか、あれは小説の中の物語だから当てはまらないや。
たしかに、命を懸けた仕事な訳だから、そこら辺の覚悟とか能力みたいな物を調べる必要はあるよね。
その国の人が死ぬってことは、国力の低下にも繋がるわけだし。
「本当に冒険者になるのですね」
「もうここまで来てるしね。ウィーはそう言うの興味ないの?」
「荒事には向かないので…。何よりも知識や体力などの基礎能力がありません」
そこは勉強とかトレーニング次第でどうとでもなるけど、早い話、興味が無いってことなのかも知れないね。
あ、あそこかな?
まあ1番奥のカウンターだから間違うことないと思うけどね。
「こんにちは」
「…ん?」
「こんにちは」
「すまないね、聞こえてはいたよ。状況が飲み込めなかっただけさ」
多分40から50代くらいだと思うおばさんが担当みたい。
ベテランの匂いを感じるけど、やっぱり僕みたいな子供が来るのは驚く事なんだね。
生前に良く読んでた、ファンタジー小説とかアニメなんかだと、(今の)僕くらいの年齢でも普通に冒険者登録してたりとか、もっと小さい子が色々やってるのもあるんだ。
だから、僕も平気だと勝手に思い込んでた見たい。
「ここに来ることの意味は…って聞いても、受付でここに案内されてるんだろうから聞くまでもないさね」
「あはは…まあそんな所」
「後ろのお姉さんも登録するのかい?」
「いえ、私は付き添いとして参っただけです」
「付き添い、参った…ねぇ。その言葉の言い回しからして、庶民とは違うと思うけど?」
うん、まあそうだろうね。
服装とかも全然違うわけだし。
例えば僕が、この世界でも忍者として活動するつもりでいたのならばこんな目立つことはしてなかったよ。
子供でギルド登録、高貴な出を彷彿とさせる出立ち、ルーとの公的な場でのダンスとか。
色々と専用の道具とかが必要になってくるけど、顔とか肌の色を変えたり、身長を高くしたり短くしたりは出来るんだよね。所謂変装。
だから、はっきり言って顔がバレたり噂が大きく広まった所で何の問題も無いんだ。
もちろん、リスクは高いわけだから地球ではそんな事してないけど。
「ちゃんと許可は取ってるから平気だよ」
「ふーん…なら良いさ。じゃあまずは冒険者ギルドについての説明からね」
「わかった」
「後ろのお姉さんもちゃんと聞いておいてよ。この子の保護者に説明して、それでやはりダメだとなれば資格の剥奪も出来るからね」
「分かりました」
「以上がギルドのルールみたいな物だよ」
「なるほど…」
聞いた内容は、どれも何となく想像していたのと変わりなかった。
まず、ギルドと名前の付く組織はいくつかあるんだって。
冒険者ギルド、商業ギルド、傭兵ギルド、馬車ギルド、賞金稼ぎギルドなどなど。
冒険者ギルドは言わずもがな、討伐・捕獲・採取・護衛などが仕事で、他にも街の困り事を解決したり、モンスターが攻めてきたら都市防衛の緊急強制召集なんかもあるみたい。
盗賊の討伐や、街道の警邏もするんだとか。
商業ギルドは、旅商人や中小商会が加入する事が多いギルドで、販路や仕入れ、大商会との繋ぎをしてくれる役割を持っているそう。
あと、露天商とかお祭りの時の屋台設営場所の提供もしていたり、新人商人には修行先の斡旋とかもするんだって。
傭兵ギルドはもうそのままだよね。個人登録してフリー活動するか、どこかの団に入ったり立ち上げたりして群で行動するかの2択。
盗賊の討伐、護衛、身辺警護、人探しなどなど。
あと、もちろん戦争にも参加するんだと。
対人戦がメインなんだけど、もちろん状況に応じて対獣戦もするそうな。ご飯とか現地調達だろうし当たり前だよね。
馬車ギルドは簡単に言っちゃえば、地球でのバス・タクシー会社だね。
決まった経路を往復する乗り合い馬車、ギルドや待機所に止まってる小型馬車で行先指定馬車、街と街を定期運送する大型馬車団。
こんな感じで大まかに分かれてるらしいけど、まだ細かいものはいくつかあるんだって。
流石に、飛空船みたいなのは無いみたい。
騎乗出来る飛行生物は、ワイバーン、グリフォン、ペガサスが主流らしいけど、どれも飼い慣らすのがとても大変だからコストと合わないんだそうです。そこが問題なんだ…って思ったけどね。
賞金稼ぎギルドも、言わずもがなでしょ。
(地球の日本)国外だと割とメジャーだったりするみたいだし、海外ドラマとかに度々賞金稼ぎが登場するし。
簡単に説明すると、世界的や国、街や村などで犯罪を犯したりして逃亡した場合、賞金が懸けられる事があるんだ。
良く耳にする単語の『dead or alive』ってあるけど、直訳すると『生か死か』になるんだよね。
2択を選べる様に聞こえるけど、実際の意味は『生死を問わず』なんだ。
現在のアメリカでは『only alive』、つまりは殺しちゃダメってなってるんだ。
この世界の賞金首は、大半が『dead or alive』何だそう。
スキルがある分危ないもんね。やられる前にやれじゃないけどさ。
その分、捕縛して連行した場合には報酬に1〜2割くらいの上乗せがあるみたい。
「それで、本当に冒険者ギルドに加入するのかい?」
「うん。もう決めてるからさ」
「そう」
ギルドにはお決まりのランクがあるんだ。
1番下はJ級で、1番上がA級。そのさらに上にはWXYZって並んでて、Wは各ギルド支部のマスターが、Xはエリア毎の責任者、Yは国毎の最高責任者、Zは冒険者ギルドの最高責任者のみが名乗れる称号何だとさ。
で、僕はJ級から始まるわけ何だけど、受けれるクエストはお使いとか雑草刈りとか。
一つランクが上がると、下水道とかに出現する小型のネズミの魔獣狩り補佐を受けれる様になるんだって。
小型って言っても、大型犬の成体位はあるんだ。
実物は見た事ないけど、本の知識で知ってはいるよ。予備知識は大事だから。
「街の外に出るクエストが受けれる様になるには、最低でもG級にはならないと無理だよ」
「うん」
「…本当になるのかい?」
「向いてないとか嫌になったら辞めればいいだけの話だからね。本当にやるよ」
冒険者稼業一本で食べていくには、外に出る依頼が受けられる様になるG級が最低ラインなんだってさ。
それまでに、下積みに耐えられなくて蒸発しちゃう人が結構居るんだって。
そう言う人たちが落ち着く所が裏路地やスラム、留置所とか。
「そ。なら、必要な情報をこの紙に書いてちょうだい。文字は?」
「書けるし読める。自分で出来るよ」
「色んな意味で普通じゃ無いね…」
ええ、多分その事を僕が1番理解してると思いますよ。
元異世界人ですから。
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