相手は一流。僕は超一流。
さて、こっからどうしようかね。
相手のナイフで少しでも切られれば、刃に付着してる毒が身体を蝕んで来る。
既存の毒なら、全部じゃないけどメジャーなのなら効かない様に訓練済み。
いやぁ…大変だったなぁ。
前世でも勿論やったけど、修行で一番きついのは?って聞かれたら、間違いなく即答で『対毒訓練』って答えるね。
だからキツかったよ。
そんな僕でも、オリジナルの毒はちょっとやだね。
忍びの得物は戦う為に非ず、逃走・撤退を容易にする為のもの。
忍者は敵から逃げる為なら、針や手裏剣、落ちてる石や砂なんかも投げて錯乱させてたんだ。
何が言いたいかって言うと、爺ちゃんは棒手裏剣で近接戦が出来るみたいだけど、僕にはまあ無理って話だね。
一応戦闘術に有るけど、それは多対一の場合の話。基本はまず逃げろ。
「ぎゃあ!!」
悲鳴がした方をチラリと見ると、爺ちゃんが1人を倒してた。
当然、視線を目の前から外してるわけだから攻めてくるわけです。
普通なら裏の人間があんな悲鳴をあげるのはあり得ないんだ。こう言う場面では薬を使って恐怖心や痛覚を麻痺させてる筈だから。
だから、悲鳴を上げたのはわざと。自分が大きなリアクションで視線を取って、その間に別の人が標的を討つ。
だけどごめんね?僕が視線を外したのはわざとなんだ。
最短距離を最速で突いて来る。読み易い。
「っ!?」
「おやすみ」
靴底の中にあるスイッチを特殊な体重移動で押す。
すると、靴の先端から出てた仕込みナイフが射出され、相手の爪先部分に突き刺さる。
例え痛みを感じてなかったとしても、身体機能に影響があるわけだからナイフの軌道が変わるんだよ。
そのまま体重移動した方に身体を持っていって、ナイフを避けて一瞬で絞め落とす。
「ふう」
「『瞬歩』」
爺ちゃんの方も終わった様子だね。
相手に飛ばしたナイフや、スプリングを回収しておかなきゃ。
相手は一流だったかもしれないけど、僕は超一流の忍者です。そう簡単に負けてあげられませんよ。はは!
「やぁドゥ、今まで何処行ってたの?」
全部が終わってから来ても遅いよ?
後片付けとか情報絞ったりとか有るだろうけど、一体何してたのかな?
「色々とな」
「なんでまた侵入されてんの?」
以前、僕のお屋敷の方に侵入されてるのに、今度はお城に侵入されてるじゃん。
この国大丈夫?
「調査以上に厄介な事案だった…と言う事だ。それ以上は言えん」
「…まあいいや。みんな怪我はないかな?」
「それをシヴィ殿が言うか…。儂らはなんともありゃせんぞ…ほっほ」
ルーもルミルさんも平気そうだし、爺ちゃんは勿論平気。お婆さんも何ともなさそう。
「取り敢えず一件落着かな?あとは裏の人に任せて、僕らは部屋を移動しようか」
「それなら、儂らに用意された部屋へ行きましょう。姫様もそれで宜しいですかな?」
「うん、問題ない」
「うまうま」
「……逞しい姫様だ」
場所は移って爺ちゃんたちの控室。
爺ちゃんは愛用の剣を腰に佩き、棒手裏剣を返そうとしてくれた。
けど、量産で増やしちゃった分もあるから、爺ちゃんとお婆さん、ルミルさんとルーにそれぞれ1本ずつあげることにしたんだ。
短刀は返して貰ったよ?
靴のナイフはまた仕込んだ。
「そんなことが起こっていたなんて…」
「ウィーが危険に巻き込まれなくて良かったよ」
ウィーはその時、久々の王城と言う事でメイドのお友達に挨拶に行ってたんだ。
ダンス会場に居た時は側に控えてくれてたけど、パーティーから離れるなら別にいいかな?と思ってさ。久々に挨拶してくれば?って言ったんだ。
今、この部屋のドアの前には近衛の兵士さんが立哨してくれてるんだ。
天井裏にも8人くらいが居るみたいだね。
まぁ、爺ちゃんが居るから安心だけどさ。
「確かに、私がその場にいても何も出来なかったでしょうね。むしろ足を引っ張っていた可能性もありますから、その場にいなくて良かったのかもしれません」
「何より危なくない場所にいてくれて良かったよ」
ウィーがあの場に居たら確実に一番最初に狙われてたと思う。
ルーはなんだかんだで、1人でも逃げる事は出来ると思うから心配はしてなかった。
なにより、爺ちゃんとお婆さんがチート級に強かったのもあるね。
特に爺ちゃん。
あのスキルなら、確かに最前線でバリバリ働くわけだよ。
「失礼致します。城内の安全確保並びに、警備強化が完了いたしました」
「ほっほ。黒幕は誰かも突き止めたのかの?」
「はっ!」
近衛兵さんの言う通りなら、この短時間で口を割らせたって事だよね?やるなぁ。
「機密情報により開示はできませんが、現在、関与したものも含めて拘束に動いております。被害の方は無しとの事であります」
それは嘘だ。
少なくても、裏で警備してくれてた暗部の人は何人か殺されてると思う。でなければ、こんな懐深くに入って来れるわけないから。
機密情報の非公開って部分に当たるんだろうから何も言わないけど。
「皆様におかれましては、自由に行動することが可能となりました。シヴィ様はお屋敷にお戻り頂く事も可能です」
「分かりました。そうしたいと思います」
「儂もついて行って、また対局しようかのぉ」
望むところですぜ?じっちゃん。
最近、アラン爺ちゃんとか爺ちゃんとか、本物のご隠居様レベルの人と知り合いになる機会が増えてる気がするの…気のせいじゃないよね。
と言うか、アラン爺ちゃんもよくオセロやりにくるし、アラン爺ちゃんの場合はご隠居だし。
どっちも爺ちゃんだと分かりにくいなぁ。
アラン爺とエレイン爺にしようかな。今後増えた時にも楽だし。
「ただいまー」
「お怪我は有りませんでしたか!?」
「何処にも異常は無さそうですね」
「少し身長伸びましたか?」
「俺の料理はどうでしたか?」
「お帰りなさいませ」
ごめんみんな、僕は聖徳太子じゃないからいっぺんに喋らないで?
あと、お帰りって言ってくれたのは1人だけじゃん。
朝行って夕方帰ってきたんだよ?身長伸びてたら怖いよね?
料理は美味しかったよ!他の出席者の人も美味しいって言ってるのが聞こえたよ!
怪我も異常も有りません!健康体です!
「では、改めて」
『お帰りなさいませ!』
「うん、ただいま!」
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次回は30日の23時です!




