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野良試合



「みんなガッツリ食べたから、まだまだお腹空くまでに時間あるよね?」

「そうですなぁ。知らない料理を食べてみたいと言うのはありますが、お腹がいっぱいなのに頼んで残すのは違いますから」

「うん。僕もそう思う。食べれる量じゃなさそうなら、はじめにそういえば良いのに」

「私も、おそらく同性の中では食べる方ではありますが、今はお腹が…」


 んーそうだよねぇ……。


「イチゴを食べて少しは落ち着いたと思うから、ブラブラと街歩きをしてみない?」

「そうですね。食後の運動にもなりますので良いかと」


 ん?ダイエットとか意識してるのかなぁ?

 ウィーは別に太って無いと思うけどぉ…。


「それじゃあ適当に歩くけど、何か興味が惹かれるものとかお店を見つけたら言ってね?護衛の皆さんも含めて」

「そうですね。当てもなく歩いてるだけなので、何かあればそちらに寄っていけば楽しいと思います」


 うんうん。その通り!

 目的がない街歩きの醍醐味って言ったら、やっぱり冷やかしだと思うんだよね。

 その過程で面白いものとか見つかれば御の字。


「ふはははは!!俺に勝てる者など、世界広しといえどそうはおらんよ!」

「くっそーー!!」


 ほらこんな風に。

 ………些か、都合良すぎませんか?


「あそこに人が集まってるけど、アレは何してるんだろう」

「自分が見て参ります」

「あ、お願い」


 護衛のお兄さんが向かって行ったけど…あー顔真っ青にしてるよ。

 そりゃ、こんな場所に剣を腰に差した人が現れれば顔も青くなるよ。


 ここじゃなくて冒険者通りの方ならそんなこともないんだろうけど、ここは宿屋通りじゃない都民区通りだもんね。


「なにやら、将棋の試合を行なっているそうです」

「将棋の試合?へぇ。行ってみよっか!」

「あ、シヴィ様!」


 ふんふん。盤と駒が1セットね。で、野良試合をやってると。


「ぼ、坊ちゃんはどうしたんだい?」

「ん?ああごめんね!ちょっと興味があって」

「へぇ……やってみるかい?」

「いいの!?」

「ああ!ただし!参加料を払ってもらうんだけど…俺の子供より少し小さい位の子に、銅貨5枚を払わせるわけにはいかないよな。1枚で参加しても良いぞ!」


 ああ、なるほど。この人に勝てば賞金が貰えるってシステムね?

 要するに、野良流道場破り試合って事だ。


「それじゃあ……はい銅貨1枚」

「おう。ちゃんと受け取った。ルールは知ってるか?」

「知らなーい」

「そうか。じゃあ説明してやる」


 ごめんね、おじさん。僕知ってるんだけど。

 この盤戯、私が作りました(顔写真付き)。


「ぺちゃらぺちゃらぺちゃらぺちゃら……ってな感じな?わかったかな、坊ちゃん」

「うん!わかった!」


 基本的な部分は僕の知ってるルールと同じだね。

 禁じ手の説明とかがないってことは、知らないかその都度教えてくれるのか…。

 んー…半分くらいは理解出来たけど、もう半分はオリジナリティがあってよくわからなかったな。やりながら理解するしか無いね。


「先手は君に譲ってあげよう。さあ、どこからでも打って来なさい!」


 ごめんなさい、将棋は指す物です。

 たしかに、パチンってやるから打ってるも間違いではなさそうに思うんだけどね。公式戦とかじゃないし、お好きなようにして下さい。

 それでもっと発展したり知名度が上がれば、他にもローカルルールみたいのが作られることになると思うからさ。


「ほいさ」

「それよっと」

「はいここ」

「あそりゃ」

「いよっ」

「そいやっさ」


 なんか指す時の声が、お餅つきみたいになってると思うのは僕だけかな?

 いや、おじさんの掛け声おかしくないかな?

 それとかそりゃならまだ分かるけどさ、何?そいやっさって…。お祭りじゃんか。


「あーらよっと」

「どっせぇい!」

「ふんがぁ!!」

「ちょっと待って。おじさんうるさい」

「あ、すまんな。気合いが入るとこうなるんだ」


 あ、そうですか…。難儀なご性格をしてらっしゃるようで…。

 その割には駒を指すのはソフトだから、豪快なのか繊細なのかわからないね…。


「角飛車取り」

「ぐぬぬ…すまん!ツノよ!」

「いやそれかく…」

「逃げろ!飛車!」


 なんだかこのおじさんと対局してると調子が狂うなぁ。

 あと、感情こもりすぎだと思うよ。結構面白いから僕は好きだけど…。


「お、と金が1番奥まで進んだな!プロモーションして…ツノさんにしよう」

「ん?んんん?」


 え?まって?ぼくそのるーるしらない。

 それってチェスのルールでしょ!?ポーンが1番奥に行った時に使える奥義!あとそれは角と言います。角さんです。


 ま、まあ良いや。ローカルルールだね。


「王手」

「んなぁに!?いつの間に!?」


 ふふふ!逃げれる場所は一箇所だけぞ?

 だがしかぁし!次の一手でツノさんを召喚して詰みにするのだぁ!!ふははは!


「むむむむむ。ぬぬぬぬぬ!とりゃ!」

「キャスリングぅ!?」


 え?いや、確かにルークと香車は似てますけれども…あの、これ将棋……。

 だぁあれぇえ!?この将棋のルールを広めた人はぁ!?

 僕の全く知らない新しい将棋の形になってるんですけどぉ!?

 チェスと将棋でしょす!?


 …いやそれはダメだね。恐ろしい言葉になっちゃうから。なら……ちぇぎ?

 これもなんか写真みたい…。

 シンプルに将棋チェスでいいかな。


「ほいさ。ん?おお!詰みだぞ!」

「ふえ?ありゃま、ほんとだ…」


 全く気が付かなかったよ。と言うか新ルールに全く馴染めないんだけどぉ?

 僕の知る将棋とあまりにも乖離してるから、頭が受け付けてくれないんだよぉ。


 なんかお腹空いて来ちゃった。


「ありがとう。楽しかったよ、おじさん」

「おう!俺も楽しかったぞ!また遊びにこいよ!その時は違う遊び方を教えてやる!」


 え?もうお腹いっぱいなんですが?

 お腹空いてますけど。


「あ、あはは〜…。じゃあね!」



 はあ、なんか疲れた。

 けど!新鮮と言うか斬新と言うか、面白かったのも確か!また遊びに行ってみよっと!


「面白いことを考えつかれますね」

「うん。僕もそう思う。コレって言うルールを最初に知っちゃうと、なかなか新しいルールというか遊び方って言うのを思いつくのは大変だよ」


 僕だって、地球という土台があるからこうして色々と作っているけれど、それが無かったら『量産』ってスキルに振り回されるだけの人生で終わってたと思うな。

 忍者の前世に、そして、善行を重ね過ぎてしまったもっと前の前世にも感謝をしよう。

 ありがとう、僕じゃ無い僕。


「さぁーて!何を食べようかなぁ!」

「意外と見てるだけというのも頭を使う物で、そうするとお腹も減るんですなぁ」

「私も小腹が空いてますね」


 やっぱり考える遊びって、すぐにお腹空いちゃうよね?お屋敷でもそうだしさ。

 護衛の人たちも少し空腹を感じるみたいだし、どこか良いとこを探して入りたいなぁ。




 お読みいただきありがとうございます!


 次回は12日の1時です!

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