あの時の裏のお話
登校登校♪
はい、というわけで投稿しまーキーンコーンカーン
遅刻ぅうう!!!
ルミルさんに将棋を貸してから1週間が経った頃に、ルミルさんとお転婆姫、それとカランさんがやってきた。
「どうもどうも、この所は寒さが一段と増しましたね」
「どうもカランさん。今、あったかい緑茶を淹れて貰ってるから、それでも飲んで先ずはあったまって下さいな」
「ん?」
「貴女達のもありますよ、お転婆姫」
「ん」
いつまでも廊下で話していたら、余計に身体が冷えちゃう。
早く炬燵に入ってぬくぬくしよう!
はぁ〜!あったかぁ〜。
「お?おお!?おおおお!?コレはなんですか!?」
「え?あ、炬燵というものです」
「ぬくぬく、ぬくぬく」
「ふあぁぁ〜」
日本によくある正方形の形をした炬燵だから、入れるのは4人までなのだ!
という事で、お茶を持ってきてくれたウィーが溢れちゃった。
んー……。うん。
「ん?」
「ちょっと詰めて」
「いいけど…なんで?」
「ウィーも入れてあげようと思ってさ。僕とルーは子供だから、2人で一ヶ所に入っても窮屈じゃ無いでしょ?」
「ん、確かに」
「あ、ありがとうございます!」
ウィーに風邪引かれたくないからね。
あと、最初に『アットホームな職場です』って言っておきながら、廊下ほどではないにしても寒い所に居させるのは忍びないし。僕は忍びだけど。
「それで、本日はどんな要件できたの?」
「ぼーーーーーー…っは!」
いま、完全にボーッとしてたね。
分かるよ?炬燵の魔の力には、誰しもがそういう風になってしまうのは。
だから何も言わない!
「ほ、本日はですね、お城で商談をまとめていた折に目にした『将棋』について伺いたく参った次第です」
「うんうん」
「出来れば、コレを普及させたいと考えておりますが…如何ですか?」
いきなりそんな事言われても、色んなことが絡んでくるから『はい、良いですよ』とは快諾できないよ?
それがわからないカランさんだとは思わないけど…。
「もちろん、各方面の承諾は得ております」
「手回しが早いね」
流石に王家を相手に商売してるだけあって、機を見るに敏と言うかなんと言うか…。
まあいいけど。
「それなら良いけど、僕のスキルは使わないよ?」
「それは勿論です!」
僕はご隠居様としてこのお屋敷をもらった時、国との約束事として幾つかの決まりがあるんだよ。
『量産』を使って商売してはならない、政治的利用も禁止する…ってね。
じゃあ、この間のエリクサーの件は?あれは国利の為じゃないの?ってなるよね?
まあ、あれには裏があるんだよ。
『政治的に利用を禁じたにも関わらず、政治的利用と見なすことが出来るエリクサーの量産をするとは一体どういう了見だ!』
ってなるわけじゃん?
その時にはこう言い訳するんだ。
『政治的・商業的利用を禁じたのは我が国と個人の間であるからして、他国の法には当てはまらない。自国と個人の間での取引ではなく、他国と個人での取引までを縛ることは出来ないのと、当時の隣国の状況を鑑みれば、エリクサーを必要個数だけ量産した事については特例的な措置として関与していないという扱いになる』
詭弁(無理な言い訳)だって事は理解してるんだけど、そうする事によって自国に責任はありませんよーって事を言ってるんだ。
あの場には僕と他国の使者さん、それとこの国の宰相さんしか現場を見てないから、
『3人で部屋に入って、出てきたらエリクサーがなんか一個増えてた。多分ポケット叩いた時に増えたんだと思う。知らんけど』
って言っても最悪通るんだよね。
まあ、そんな訳あるか!ってなるんだけどさ。
くどいけど、実際に現場にいたのは、僕と宰相さんと使者さんだけだから、口裏合わせれば無問題。
僕のお屋敷内で話してた事は全て非公式だし、あの時国王陛下が『分裂するのはどうしようも無い』って言ってたようだから、そっちでもいいと思う。
実際、エリクサーってまだまだ解明されていない事が沢山ある物だから、普通なら絶対にあり得ない事でも無理やり飲み込ませる事は出来るんだ。
隣国の国家安定と王家への実質的な貸しを作る事、それと、非公式ではあったけど僕の存在を見せつける事によって、ギルバラ王国との繋がりの強化と牽制にもなるんだ。
『我が国にはこんな事が出来る人間が居るんだぞ?戦争になったら、武具防具や食料面での憂いは無いも同じ。力の限り戦えるんだぞ?』
って、言ってないけど言ってるんだよね。
さらに追加で、『さあ、何人に働いてもらいましょうか』とでも言っておけば、僕と同じのスキルを持つ人が最低でも3人以上は居ると勘繰ってしまうと思うんだ。
エリクサーを量産…複製出来る人間が複数人も居るなんて思えば、戦争を仕掛けた所で負けるのは目に見えてると思う。
僕の居場所は知ったから暗殺しようとするかもしれないけど、それは僕が無力だと仮定しての話だと思う。
でも図らずも、裏の使者さんが居る時に襲われて、それを僕自らが無力化した事で、おそらく僕が無力どころか手練れだと報告されてるだろうね。
もし僕がギルバラ王国の人間なら、敵に回すようなことはしないね。チーターだもん。
「あと、何やら最近、新しい行事を行ったと耳にしておりますが?」
「行事?…ああ、雪合戦のことかな?」
「雪合戦?なにやら不穏な響きの言葉ですね」
確かに、言葉の捉えようによっては『雪中の戦争』って勘違いする人もいそう。あながち間違いでは無いんだけど、『雪が降り積もる中での戦争』じゃなくて『降り積もった雪を玉にして投げ合いをする遊び』なんだよね。
よくよく考えてみれば、雪の中で合戦するなんてあり得ないことだよね。
基本、雪が降り積もる前に帰らないと道が閉ざされちゃうし、何より士気にも関わってくる。
そういう前提があるにも関わらず、合戦て名前をつけたのは不思議だね。
「簡単に言っちゃえば、落ちてる雪を拾って握り固めて玉を作る。あとはその玉を相手に当てるんだけど、当てられないために壁を作ったり一回なら当たっても平気な手や足で払うって遊び」
「言葉だけでは想像に難いですが、雪を使った戦争ごっこですか」
うん、だからそう言ってるよ?名前からして。
まあでも、コレを真似ようとするのは簡単だけど難しいだろうなぁ…。
何言ってるのかわからない?ふむ。
簡単だと言うのはその通りで、道具はまあ考えようと思えば色々思いつくけど…主に用意するものは雪と己の身一つだけでいいんだから簡単だよね。人数と場所も必要だけどコレはあまり考えなくてもいいことだしさ。
難しいと言ったのは、季節限定の遊びであることとそのルールについてだと考えてるんだ。
雪の降らない地域もあるし、降ったとしてもそんなに積もらない事もある。天運が絡んでるから普及させるのは難しいと思うんだ。
「雪が残ってれば実演できたんだけどね」
「ここ最近は、気温は低くなる一方ですけれども雪は降らないですからね。それどころか、天気がいいのですっかり溶けてしまってます」
仕方ないね。例年通りなら、また年末近くまで月日が経たないと雪は降らないと思う。
「まあ仕方がないです。所でこの暖房器具は一体何というのでしょうか?」
「炬燵だよ、炬燵」
「ほほぅ」
「……はぁ。正規の手続きを踏んでね?」
「勿論です!」
さて、こうなってくるとそろそろ考えなくてはいけない事が出てきたね。
何処からこういう知識を得たのか。若しくは、どうやって考え付いたのか。
馬鹿正直に『異世界の地球という星の、日本という国で死んだ後に転生しました。どうも、転生前の名前は雲隠陽陰です。よろしく』なんて言える訳ないし。
いや、問題はそこじゃないんだよね。それを聞いた偉い人たちが、僕の事を狂人だと思う事が問題なんだ。
さらに言えば、唯一神教が出張ってきて僕を殺せと言ってきた時が問題だね。
まぁそうなったら、僕はこの国から逃げる事を選択するけど、マイファミリーやこのお屋敷の使用人として働いてくれてた人たちにも被害が及ぶかもしれない。それは看過できないよね?
いやいや、最悪、今挙げた人たちだけなら連れて行けるんだけど、使用人さんたちの家族も一緒にってなると流石に無理。
「親父殿が許しても私が許しません」
「ひ、姫様!?」
なんで薩摩弁?
お読みいただきありがとうございます!
ブクマや評価や何やらかんやら、ひっくるめてありがとうございます!(それで良いのか!?)
次回は28日の8時です!




