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雪が積もればウィンタースポーツ 『翁』vs『セバス軍』 『侍女副長』対『厨番長団』



 やあやあ我こそは、日の本で雪玉を投げさせれば右に出るものは居ないと言われる、雪柱雪中守勝雪ゆきばしら・せっちゅうのかみ・かつゆき申す者也!


 雪神とは我の事よ!

 腕に覚えある者は、雪玉を手に懸かって参れ!



 はい、と言うわけで、勝雪さんの口上が終わったので行進します。


 BGM〜〜♪




「実況を代わったルーです。続いては、シヴィ率いるチーム『ご隠居』対、執事長率いるチーム『燕尾服』の試合」

「そして、解説は続きまして私、メイド副長のメイジュが努めさせていただきます!」


 ねえ、確かに代わってもらったのは僕だけどさあ?テンション的にメイさんが実況じゃない?

 まあ良いけど。


「それじゃあ早速、5分間の準備時間…始め」

「うぅーん。なんかいまいち盛り上がらないなぁ」

「ははっ、まあ良いじゃないですか!」


 まあそうだよね。よし!気を取り直して行くぞ!


「取り敢えず先ずは、庭師の領分とはいえないけどユックとスヲの2人に壁を築いてもらいたい」

「任せてください!」

「城壁のようなのを作ってみせますぜ!うおおおおお!!」


 うん、その意気やよし。だけどね、そんな細部まで拘らなくて良いんだよ?

 ふう。本当に、スヲは見た目や言葉とは裏腹に繊細なんだよなぁ。


 だからこそ、庭師が天職だ!って言ってるのかもしれないけどね?


「むむ。おじいちゃんチーム、早速壁を作り始めた」

「誰がおじいちゃんだよ!確かにご隠居だけどさあ!」

「もはや、今となっては見慣れたこの掛け合いですが、そんな事をしているうちにご隠居チームの壁は首元までの高さまで積み上がってます!」

「おお、早い」


 うん、やっぱり実況解説逆だね。


 分かっててやってるのかは疑問だけど、壁を作るのに周りからかき集めてくるんじゃなくて、足元の雪を先ずは使ってるみたいだね。

 これで、壁と塹壕が合体したみたいな作りになる訳だから、足場が下がって壁が上がる分早く出来上がるんだよね。

 塹壕戦でよく使われる手だね。


 デメリットとしては、近くに柔らかい雪がなくなるから玉の補給が少し面倒になる事くらいかな。


「2人が壁を作ってくれてる間、僕とネレとシンシアで雪玉を作ろう!」

「「はい!」」


 さてさて、執事さんたちのチームはどんな感じかな?

 割とオーソドックス(と言えるほど雪合戦を深く知らないけど)に2-2-1で別れて壁を作る人と雪玉を作る人で別れてるんだね。

 1人のサーモン執事長は負担が大きいけど、彼なら余裕だろうね。


「あと1分」

「さて、準備時間があと1分となり、いよいよ試合開始が近づいてまいりました!」


 ねぇ、メイさんってあんなキャラだったっけ?

 あと、観客を飽きさせないような実況は完璧だよ。


「よし、ユックとスヲもこっち寄って。それじゃあ作戦を話します。始まったら僕のことを無視して投げまくって。四つくらいなら片腕に抱えられると思うからやってみて」

『はい!』

「5分経った。試合開始」

「そぉぉれぇ!」

「さあ!試合が始まりました!おっと!コレはいきなりご隠居様が仕掛けました!」


 僕がやったのは、天高く…と言うほど高くもない程度に雪玉を投げたんだ。

 コレによって、相手の視線は僕の投げた雪玉に集まる。


 『シヴィが投げたなら何か仕掛けが!?』なんて考えてくれれば御の字なわけで、僕が投げたんだけど……まあこの遊びの提案者だから、取り敢えず1戦目の動きはコレでおしまい。

 2戦目からは、みんな勝手がわかっただろうから僕も参加するけどね?


「あたっ!?」

「むむ!」

「なんと!」

「ぶふぅ!」

「あ、危ない…あてっ!?」


 僕が直前にお願いしたように、僕の行動には一切見向きもしないで雪玉を投げてくれたチームメイトのおかげで、『燕尾服』のメンバーが3人脱落して2人が手と足に一回当たった。


 ちなみに、僕がやったのは視線誘導だね。

 僕が投げた雪玉は、軽い放物線を描いて落ちるようにしてたんだけど…ポイントは最高到達点と雪玉の大きさ。


 まず、僕が投げたのは普通の雪玉を2個合わせたくらいの大きさにしたんだ。

 それを空に投げることで大きさを錯覚させる事ができる。


 それと、投げる強さを工夫したんだ。

 強く投げれば高く飛ぶけど、その分落ち始めるまでに時間があるから意識が逸れる。

 だから、僕が投げた雪玉がどんな意味を持つのかを考えさせてる間に最高到達点に達し、コレは罠では?と思われる前に落下を始めるように頑張ったんだよ。


 だって、落下が始まったらどこに落ちてくるのかって気になるでしょ?


「まさか、僕の投げた雪玉がルーク執事副長の頭部に直撃するとは思ってもなかったな。嬉しい誤算だね」


 まあ僕は忍者ですし?僕の得意とする棒手裏剣の打法で新しいものを開発し、それが今投げた雪玉と似てるんですけどね?

 言いませんが。


「あっという間に5対2ですよ!」

「しかも、どこに当てても脱落します!」

「うん。でも、このまま隠れてても勝てるよ?」


 相手にルーが居ればそうも言ってられないけど、今は実況してるし。


「うわあああ、おもしろい」

「まさかこんな攻め方があるとは、考えつきもしませんでした!確かに、雪玉が上に投げられたらついつい目で追ってしまいますね!」

「うん。実際に試合をしてない、外側にいる私たちですらそうなったんだから、内側に居る執事長たちが目で追っててもおかしくない」


 そうでしょそうでしょ?

 なんて、少し有頂天になっちゃうね。

 やっぱり褒められるのは嬉しいねぇ!


「小細工大好きなシヴィのやりそうなこと」

「どう言うこと!?」


 確かに色々と屋敷を改造してるけど!小細工って言わないで!?なんか小悪党みたいでやだ!


「ふ、ちょこざいな」


 どこでそんな言葉を知ったんですか?

 それって日本の言葉じゃありませんの?昨今使う人なんて見たことないし、使ってる人がいたところで…出オチキャラ感が凄そうだけど?

 と言うか意味知ってるの?小生意気な!って意味なんだけどさ。


「あーっと、『燕尾服』チーム、一か八かの勝負に出ました!が、一方的に当てられて終わりになりました!」

「うむ。この勝負はチーム『おじいちゃん』の勝ち」

「『ご隠居』ね?自分で言うのもおかしいと思うけどさぁ」




「さてさて、実況に戻りましたシヴィです。次の試合で、どのチームも総当たり戦の1戦目が終わることになります!」

「なかなか白熱しますね!」

「そうですね!見ているのも楽しいです!」


 冬だけど、意外と動いたりするから体がポカポカしてくるんだよ。

 そのうち汗もかいてくると思うから、しっかりと水分補給はしましょうね。


「さあさ、次で1戦目が終わりとなります。組み合わせは、チーム『メイド副長』…ん?メイさん解説なんてしてる場合じゃないですよ!早く行って行って!」

「あわわわわ!」


 ん?僕がスタートって言わなければ始まらないんだから、焦って行かなくても良かったのかな?

 ……何も気がついてないよ?


「さて!改めてご紹介!チーム『メイド副長』対チーム『料理人』の対決です!解説は、メイさんに変わりましてルミルさんにお願いしております」

「よろしくお願いします」

「準備が整ったようですので、早速準備時間の5分をはじめようとおもいます!始め!」


 なんか変な言い回しになっちゃったけど、まあ意味としては伝わるだろうからノリと勢いで誤魔化しましょう。うんうん。


 ってなわけで始まった1戦目の最終試合。

 メイさん率いるメイド5人衆は、早速散らばって雪を集め始めた。


「おっと!コレはすごい連携だ!2、3言葉を交わした程度ですぐに行動に移った!」

「メイドは連携が大事ですからね。軍人にも勝るとも劣らない程の役割分担や指示系統の確率がされています」

「なるほどぉ!」


 うん。今までで一番解説っぽいんじゃないのかな?なかなか良いね!


 お!集め方が変わった!

 今までは、手で押して集めてたのを、核となる玉を作ってそれを転がして大きくしてる!

 雪だるまの製法だね!


「さて、料理人チームはと言うと、こちらは堅実に壁を築いております!料理人と言うと、荒っぽい人が多いと言うイメージを持ちますが、手先は器用なんです!」

「あの雪壁は直立ではなく斜めになってるのが良いですね。ああする事によって、相手の雪玉の威力やスピードを受け流しやすい作りになってます」


 雪玉を止めると言うよりは、ルミルさんの言った通り受け流そうとする動きになるね。

 だから壁が壊れにくいようになると思う。


「残り時間は1分を切りました!しかし!両チームともいまだに雪玉を作っていません!」

「これは始まってから作るのでしょうか?」

「さあ間も無くです!…はい!準備時間は終わりとなったので、試合に移ります!5分間の試合…始め!!えぇ!?」

「ええぇ!?!?」


 試合開始の合図をして、砂時計をひっくり返してから目線を元に戻したんだけど…異様な光景があったんだよ。


「なななんと!メイド副長チームのドナさんが、大きな大きな雪玉を持ち上げています!」

「凄まじいゴリ押しですね」

「しかし、投げるまでの間は無防備!守る壁がないために身を晒しています!」


「当てろ!あれを投げられたら壁なんて意味ないぞ!」

「りょ、料理長!雪玉を作るのが間に合いません!」

「くっ!こうなったら皮を剥いた玉ねぎでも、卵でも良いから持って来い!同じ白だからバレないだろ!」

「何やら不正を働こうとする動きが見られますが、戦場から離れたら失格と見做します」


 サックスも負けを確信したんだろうから、冗談を言ったんだろうね。

 だから、僕もそれに乗っかる事で場を沸かせる。




 と言う事で、驚きに満ちた全チームの初戦が終わって、現時点ではルーのチームと僕のチームとメイさんのチームが勝点3で横並びになってる。


 あと、ドナが持ち上げてた雪玉は明らかに普通じゃなかったから聞いたら、スキルの『身体強化』を使っていたことが判明したんだ。

 まあ、スキルの使用については何も言ってなかったこっちのミスという事で、新しくルールに『スキルの使用は反則とみなす』と付け加える事になった。


 使って良いなら、僕のスキルで雪玉量産しちゃえるもんね。

 火魔法なら雪を溶かせるし。



 前書きの茶番は気分でやりました。


 次回は24日の10時です。

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