雪が積もればウィンタースポーツ 『侍女長』対『姫』
ちょぉーっと疑問なんですが、もしかして誤字脱字を訂正して改投したのって、更新に当たるんですかね?
そうなら改投する時間にも気を配る必要があると?
ふむ……と言う事で更新です。
1月も下旬になって、ますます寒さが厳しくなってきた今日この頃。
雪が降る日もそう珍しくはないんだけど、積もっても踝程度。
そのくらいが一番危ないんだけどなぁ。
雪が止んで、柔らかい雪が日光で溶けて水になる。水を含んだ雪を踏んだりした場合、夜の間に冷えて氷になって翌朝滑る。
滑って尻餅ついて腰骨とか尻骨を骨折するなんて事件はよくある事だから、積もるならせめて膝丈位は積もって欲しい。
「積もりましたね」
「積もってるね」
「これはこれで綺麗ですね」
「うん。鹿威しに屋根をつけるのを忘れてたから止まっちゃってるけど、枯山水は綺麗だね」
夜の間にシンシンと降り積もった雪は、僕の膝丈位まではあると思う。
足を突っ込んでないから正確には分からないけどさ。
「どっちみち、この寒さじゃ鹿威しの水も凍っちゃってたかな」
「竹の切り口に出来てる氷柱は見事ですね」
「うん」
さて、いつまでも縁側で眺めていたら風邪をひいちゃうから早めに戻って、雪が積った今しかできない遊びをしようじゃないか!
「第一回、雪合戦『ご隠居様カップ』の開催を宣言致します!」
『わぁあああ!!』
やっぱり雪遊びの定番って言ったら、雪合戦が真っ先に思いつくでしょ!
「ルールは簡単、まず最初に5分間の準備時間を与えます!その間にチーム内で作戦会議をしたり防衛陣地を築いたり、雪玉の用意をするなど好きに行動してください!」
我が屋敷に勤めている人の人数は、メイドさんが15人、執事さんが5人、料理人さんが5人、庭師さんが2人の計27人。そこに僕を加えて28人になるんだけど……。
「姫様は絶対死守します!」
「良きに計らえ」
例の如く、ルー無気力系じゃじゃ馬姫様と、そのお付きの近衛メイドのルミルさんも参加してます。
これで都合30人となったわけで、5人チームが6個作れる事になったのは有り難かったね。
「雪玉の中に硬いもの、石とか氷とかが混じらない様に注意してくださいね!故意に入れるのも無しだよ!」
「シヴィ様、そのくらいは言われなくても皆んな承知しておりますよ」
「まあそうだけどさ、一応ね?」
そんな事しない人達だってことは知ってるけど、さっきも言った様に混じっちゃう事もあるかもしれないから気をつけてね?って事だよ。
熱中したら気がつかないかも知れないから。
「雪玉が頭とか胴体に当たったら1発、腕とか足なら2発で退場ね!」
「顔は?」
「2回当てられてもいい?」
「やだ」
「うん。だから顔も一回ね」
ドッチボールだと、顔面セーフって言うルールの時もあるけど…いくらセーフだと言ってもそう何回も当たりたくないよね?
稀に、セーフになるからって態と顔で受けに行く人が居たりするけど、某サッカー漫画じゃないんだから止めなよ…って思っちゃう。
見てて痛いし。
「他に何か聞きたいことある人居る?」
「試合時間はどのくらいでしょうか」
「試合時間は5分!短い様ならもう少し伸ばすし、長い様なら次は短くするね」
この世界には砂時計があったから、それを使って5分を測れるんだよ。
砂時計がなかったら多分作ってたと思うし、水時計にしたかも知れなかったね。
「他には?」
「胴体とか顔にきた雪玉を、手や足で防ぐことはありですか?」
「さすが近衛メイドさんだね。うん、ありにしようか。他には?」
「時間が来た時に同数ならどう勝敗を決めますか?」
さっきから、みんな凄い良い質問ばっかしてくれるね。
同数かぁ……。せっかく雪合戦で戦ってたのに、最後はジャンケンで決めるなんて味気ないよね?
延長?それとも引き分けだから勝点1?
うん、そうしよう。
「5分経っても同数なら、更に1分間を追加すること。それでも同数なら、双方に勝ち点を1付与して引き分けにします」
この際だから総当たり戦にしちゃおう!
「今思いついたんだけど、今回初めて雪合戦をするけど総当たり戦にします!」
「総当たり戦?」
「うん。僕たちは5人6チームに分かれてるでしょ?だから、1チームがする試合の数は5回。言い換えれば、全部のチームと試合をします」
みんなの顔を見る限りだと、それがどう言うことかあまりよくわかってないけど、取り敢えずたくさん雪合戦が出来るって事はわかったみたい。
「で、例えば僕のチームとルーのチームが戦って、ルーのチームが勝ったら勝ち点3…負けた僕のチームは点数が貰えないって仕組みね?」
「だから引き分けは両方に1点?」
「そ!」
だから、全勝すれば3×5で15点。全敗は…言わなくても分かるよね?
「勝ったら何かくれるの?」
「うぅーん…どうしよう」
ルーの言う通り、勝負ごとにしたからには何か景品をあげなくちゃね。
1位だけ貰うってのも元地球人的には何かなぁってなるから、2位3位にも用意するけど、そうなると今度は残りの4位5位6位も頑張ったのにぃって思っちゃう。
うん。景品の豪華さを変えて、6個用意しよう。
さて、何が良いか……。
よし決めた!
1位のチームには、プリンを作ろう!
2位のチームには、果物の大福を作ろう!
3位のチームはみたらし団子!
4位のチームはブリュレ!
5位はわらび餅!
6位は最下位のチームだから、景品ではあるけれど罰ゲームも兼ねてかき氷!
そのことを告げると、みんなの目に炎が宿るのがわかったよ。
甘いもの好きだもんね、みんな。
「それじゃあチーム『メイド長』対チーム『お転婆姫』の試合を始めます!最初に5分間時間を取るので、僕の2回目のスタートで合戦が始まります!」
両チームともやる気満々だね。
ルーは相変わらず無表情っぽいけど、両手を握ってるからやる気マックスみたい。
「はじめ!」
僕のその声と同時に、両チームとも先ずは作戦会議を始めた。
「それではここからは、実況を私、シヴィが、解説は、雪合戦の女神と称されるメイジュさんに行っていただきます。よろしくお願いします」
「え?ええ?あ、よろしくお願いします?」
「いやぁ、両チームとも、示し合わせたかの様に車座になって作戦会議をしてますね」
「え?ええ、そうですね」
と、僕が言った瞬間に、ルーが旗頭を務める『お転婆姫』チームに動きがあった。
「おっと!ここでお転婆姫チームが防壁を作り始めました!これはどう言う作戦になったのでしょうか?」
「え!?えっと…多分、あそこに隠れて手堅く攻めるのではないでしょうか?」
メイジュさんのご実家はパン屋さんです。いくらフランスパンが武器だからと言って、メイさん自身が戦術に明るい訳じゃないと思うけど、言ってる事は正しいね。
「現在の経過時間は3分ほど。残り2分ですが、いまだにメイド長チームに動きはありません」
「待ってください!円になってる中心部分を見てください!」
「なんと!ただただ作戦会議をしてただけかと思いきや、作戦会議をしながら弾丸の製造をしていたとは!策士です!」
人が壁になってよく見えないけど、見えるだけでも50個近くは作られてるんじゃないのかな?
この短期間にあれだけ作るなんて、工場だね。
「お!ここでようやく動き出しましたメイド長チーム!防壁を作る様ですが…」
「5人で一つを作ってますね。あそこから動かないつもりでしょうか」
「なるほど、だから一箇所で雪玉を大量に作っていたんですね」
そんなこんなでそろそろ5分が経って開戦の時間になる。
最初は困惑してたメイさんも、何かノリに乗ってくれて良い感じに楽しくなってきた!
「実戦スタートです!」
「あ!姫様チームが動きました!」
「やはり、準備が早かった分動き出しも早いですねぇ。どう思われますか?」
「そうですね、確かにメイド長チームの体制が整って無いうちに攻撃するのは良いと思いますが、それをメイド長チームが理解してないとは思えません」
うんうん、僕もそう思うよ。
でも、突撃してる方も、全員で行ってるわけじゃなくて2人が攻め込んでるんだよね。
まあ様子見かな?
「果敢に攻め出したは良いものの、脛あたりまである雪に足を取られて思うように進めない様子の攻撃手!その間にもメイド長チームは防壁を強固なものへと仕上げていきます!」
「あ!メイド長達が攻撃し出しましたね!」
「そうですね!ですが、お転婆姫チームの陣地から援護射撃があるために防壁からは出てきませんね」
上半身を少し出して雪玉を投げ、引っ込んだと思ったら別の人が出てきて投げ、また引っ込む。
コレってあれだよね、3段射撃みたいな。
釣瓶打ちだよね。
「この弾幕には流石に近寄れず、身を案じて攻撃手が自陣へと引き返していきます!」
「防壁をいくつか用意していた姫様チームは、早くもその恩恵を受けてますね!」
「はい!」
何個か用意してた防壁は、横並びに位置してる訳じゃなくて前後左右にまばらにある。
だから近場の防壁にすぐに隠れることができたから、1人の脱落者も出なかったんだろうね。
「あぁーっと!メイド長チームが雪玉を上に投げました!」
「天井に当たる部分がないですから、そこから玉が来たら避けようがないですね!あっ!」
「上から降ってくる雪玉の雨によって、お転婆姫チームの1人に直撃!頭部被弾のため退場となります!」
コレはよく考えられてるなぁ。
たしかに、戦場でも先ずは弓の曲射が基本だったし。
ともあれ、これで5対4でルーのチームが1人少なくなった訳だけど…どうなるんだ?
「残り時間はあと1分です!」
「ここは、人数の少ない姫様のチームはせめて1人には当てたいですね。逆に、メイド長のチームはこのまま籠っていれば勝てますからね」
「そうですねぇ…。私としましては、その名に恥じないお転婆ぶりを見せて欲しいですが…」
ん?んんん?そういえばルーが居ないぞ?
「私たちの勝ち」
『え?』
「こ、これは!いつのまにかメイド長チームの背後にまわっていたお転婆姫が、驚くメイド長チームの全員に雪玉をぶつけて終わったぁ!!」
流石のウィーたちも、まさか背後から攻撃されるなんて思ってなかったから、防壁は前面だけで後ろはガラ空きだった。
「なるほど。最初に出た2人は様子見ということもありましたが、囮として視線を釘付けにして、更に陣地にいる人たちの援護射撃で意識を逸らせないようにしてたんですね。さすがです」
これにて第1戦の『メイド長』チーム対『お転婆姫』チームの戦いは、お転婆姫チームが全滅させて勝ち点3を獲得した。
お読みいただきありがとうございます。
次回は、22日の11時です。




