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オトコの姫とヒゲデブの騎士  作者: あしき わろし
7 エカサ脱出
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赦免

「この通りだ。許してくれ」



 カトーとスキピオは深々と頭をさげた。


 路地裏に聞こえてくる表通りの狂乱沙汰が、やけに遠くに感じられる。

 ふたりは頭をさげたまま、



「今頃、謝っても遅かもん」



 とミトラが言うまで、身じろぎもしなかった。



「もちろん、これで済むとは思ってねェが、ここにいたら、あんたの身が危ねェ。ひとまず安全なところまで案内させてくれねェだろうか」


「そこでワシらを好きなようにしんさいや。エンコ詰めても手打ちにされても、もう逃げも隠れもせん覚悟じゃ。それで手を打ってくれんかの」



 そう言ってまた頭を下げるふたりに、まだしゃくりあげているミトラは、



「本当にもう、誰かにやらんと?」


「絶対にやらん」


「置いていかんと?」


「本気で誓うよ」


「絶対に、絶対に、約束ばい」



 と何度も念を押してから、



「今度だけ許すばい」



 ようやく、そう言ったのだった。



「よっしゃ。そうと決まりゃあ、とっととずらかろう。街から出ねェと、ここも危ねェ」



 スキピオがそう言って、ようやく顔をあげた。



 市街はまだ暴動の真っ只中にあった。

 いったん火がついてしまえば、それは日頃の不満を巻き込んで燃え広がる。

 エカサ商人とアルテノッペ商人。商人と労働者。はたまた人類と亜人類。あるいは同種、同族、家族さえもが積年の恨みをぶつけあっていた。

 エカサの自警団も出ているようだが、



「ここまできたら、正規軍の到着待ちといったところかのう」



 というところまで暴動は進行していた。

 なにしろ暴徒が多すぎて、自警団では焼け石に水。正規軍が鎮圧するまでに、どれほどの被害がでるだろうか。



「とはいえエカサの自治会も手回しいいな。城門だけは手ェまわして、がっちり固めてやがる。これじゃ出るに出れねェぜ」



 スキピオが舌打ちをした。

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