表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オトコの姫とヒゲデブの騎士  作者: あしき わろし
6 奴隷市場
36/69

オークション開始

「なんと、この美しい子は、男の子なのです」



 ひときわ大きくなったどよめきに混じって、まさか、嘘だ、という声があがった。どう見ても女の子じゃないか。驚かそうったって、そうはいくもんか。それとも、あんた、お試しにでもなったのかい?



「なにを仰いますやら。大事な商品に手を出すものですか。当方は地道に真面目にひたむきに、お客様第一をモットーにしておりますのでね。まあ少々、危なかったのは事実ですが」



 群衆がどっと笑った。本当かい?それだけ綺麗な男の子を手に入れて、あんた、涎を垂らすだけで我慢できたのかい?いやいや、そもそも、本当に男の子なんだろうね?



「そこは当方も商売ですから、しかとこの目で確かめました。正真正銘、男の子でございますよ」



 群衆からあがったのは、先ほどとは違う異様なざわめきだった。誰かが叫ぶ。証拠を見せてみろ!そうだ、服を脱がせ!この目でみない限り、そんなことが信じられるものか!


 よろず商は、それをやんわりと受けて、



「百聞は一見にしかず。もちろん、そのつもりでございますとも。では、お集まりの皆様。これより男の子である証拠をお目にかけますが、同時に競売も始めさせていただきとうございます。時は金なりと申しましてな。只今のトークに嘘偽りなくば、どうぞ奮ってご参加を」



 群衆は興奮状態に陥っていた。今度は次々と罵声が飛ぶ。御託はいいから早くひん剥け!そうだそうだ、素っ裸にしてしまえ!


 蒼白になったミトラが後ずさり、よろず商が鎖を引く。

 彼は群衆の興奮も計算のうちらしい。落ち着き払ってこう言った。



「ご興味をお持ちいただきまして、誠にありがとうございます。しかし当方も苦労して仕入れたものですから、八〇〇〇デナルより安くお譲りするつもりはございません。そこはひとつ、ご承知おきを」



 手を頭の後ろに組んだカトーが、



「八〇〇〇デナルじゃと。ずいぶん買いたたかれたもんじゃのう」


「額面の問題じゃねェや」



 スキピオはあぐらをかいて、せわしなく膝頭を指で叩いていた。



「競売に挙手される方は八〇〇〇デナルより。即決は二〇〇〇〇デナルでお譲り致します。では」



 と、よろず商はミトラの貫頭衣に手をかけた。

 腰紐を解いてしまえば、あとは真ん中に穴をあけた一枚のぼろ布を、頭から被っているだけである。

 群衆は沸騰した。いいぞ、やれやれ!引っ剥がせ!



「畜生!もう勘弁ならねェ!」



 スキピオが青筋をたてて立ち上がった。

 が、同じく身を起こしたカトーが、



「待て」


「とめるんじゃねェ!いくらなんでも、あれはねェだろ!あんのクソ下種ども、ひとり残らず張り倒して……」


「違う。出入りじゃ」



 カトーの視線の先を追うと、広場に武装した一団が入ってくるところだった。



「待て待て待てーい!」



 一団の先頭にたつ男が、はやくも抜刀していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ