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† 独房生活 : 八日目 †



八日目



暇だ。今更だが、暇だ。


なにもない部屋。紙もペンもダメ。本もダメ。ただただぼーーーーっとするか寝るか・・・・・・。


健常者なのに頭・・・・・・おかしくなりそう。暇って・・・・・・暇ってなによ?!わたくし暇している暇はないんですけどーーーーーーーー!!!





静かだ・・・・・・。


違う。静かだった。


彼女が来るまでは。




「うあああぁぁぁぁぁああぁぁああぁぁぁぁぁああああぁぁぁーーーーーー!!!!!!」


扉側の廊下で女性のけたたましい叫び声が響き渡る。看護師たちのなだめるような声も所々聞こえる。


「ウわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁああ!!! イヤだぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!イヤだーーーーーーーー!!! 離せ! 離せぇぇぇええぇぇぇーーーーー!!!!!!」


「大丈夫。大丈夫だから・・・・・・とりあえずここで、休んでください・・・・・・ね?」


「イヤだあぁぁぁぁあああああーーーーーー!!!」


複数の看護師に連れられて来た女性『K』。轟音のような喚き声。よく喉が枯れないなあと、感心すらしてしまうほどだ。


とりあえず、とにかく、非常に! ウルサイ!!!


まさに『アレ』な人! これこそが『アレ』! 凄いぞ『アレ』!!!


叫ぶ! 叫ぶ! 叫ぶ! 叫ぶ! 叫ぶ! 叫ぶ! 叫ぶ! 叫ぶ! 叫ぶ! 叫ぶ!


暴れる! 暴れる! 暴れる! 暴れる! 暴れる! 暴れる! 暴れる! 暴れる!


「出せーーーーーーー!!! 出せぇぇぇええぇぇぇーーーーー!!! うおーーー! うおーーー! うおーーー! うおおおぉぉぉぉぉおおおーーーーー!!!」


ドガーーーンッ! ゴンッ! ゴガンッ! ゴンッ! ガンッ! ガンッ!!! ゴッガーーーーーンッッ!


鉄の扉を蹴る! 蹴る! 蹴る! 蹴る!


凄い・・・・・・なんたるアクティブさ・・・・・・。元気いっぱい過ぎるだろ! とにかくずーーーーーっ・・・・・・と叫び暴れるのだ。


「うるさくてごめんな~~~」


鉄格子の向こうを通る看護師が私に謝りながら『K』の部屋へと足早に通り過ぎる。


正直マジで!!! ぶん殴りたいほど! 蹴り飛ばしたいほど! 超うっっっっっっっっっるさーーーーーーーー

ーいっっっ!!!!!!のだが・・・・・・言っても仕方ないと諦めているし、分かっているので無言で頷くしかない。


しかし・・・・・・凄い。体力あるなぁ・・・・・・・。叫ぶ! 暴れる! のコンボだけで『K』は昼まで過ごした。


昼食と言う名の液体が私に運ばれてきた。左隣の『K』も昼食だ。


「はい『K』さん、ゆっくり食べてくださいね~」


『K』の返事はないが静かになった。看護師が出ていって少し経って、カチャカチャと食器の音が聞こえてきたので私は『K』は食事の時は静かなんだな・・・・・・そう思った矢先、ガチャッ! ガッシャーーーーン!!! 激しい食器の音が・・・・・・。


溢したとかではなく、明らかにわざとひっくり返したなと、見えなくても分かる音。


様子を見に来た看護師が『K』の部屋に入り、


「あ~あ・・・・・・どうした? 溢したのか?」


優しい看護師の声。


「・・・・・・・・いらん!!!」


『K』は一言怒鳴り付けた。苦笑している看護師。


「いらんって・・・・・・・。いらないならいらないでもいいけど・・・・・・こんなことしないで、今度から言ってくれよ?」


「分かった!!!」


返事すら怒鳴り声の『K』・・・・・・ん? 素直じゃないか。






昼過ぎ。


相変わらず・・・・・・・・おいおい落ち着けよ。まったく、ちょっとハシャギ過ぎじゃあないのかいセニョリータ? と言いたくなるほどの『K』。


「ふざけんなぁぁぁーーーーー!!! *&▲¥¥―・@$◎!!! ・・・・・・・#¢§ÅÅ♭&♯・―$だよおォォォォォ!!! 出せーーーーーーー!!! 出せーーーーーーー!!! 出せぇぇぇええぇぇぇーーーーー!!! オオォォォオオオオオォォ!!! ~*▲◎&♭§・$がああぁぁぁ!!!」


あーっはっはっはっはっは! ・・・・・・・・まったく、困ったお嬢さんだ☆


うるっっっっせぇーーーーーーーーーーんだよっっっっっっ!!!!!! マジで!!! なに言ってんのかわっかんねーし!!!!!!


なんて事をお隣が思っているとも、他人の迷惑なども彼女は考えない。


激しい『幻聴』が彼女を苛んでいるらしい。彼女の意識はほぼその『幻聴』に向かってのみ働いているからだ。


しかし・・・・・・やかましい★


「・・・・・・うわあぁぁぁぁぁぁーーーーーん!!! 」


突然泣き出した『K』しかも理由が・・・・・・。


「うわあぁぁぁーーーーーん!!! お腹空いたーーーーーーー!!!」


そう。「お腹空いた」と泣き喚き始めたのだ。


いやいやいや・・・・・・あんたさっき、「いらん!!!」って言ったじゃん?! 自分で昼食ひっくり返したじゃん?!


「お腹空いたーーーーーーー!!! お腹空いたよーーーーー!!! 出せ! おらっ!! 出せっつってんだよ!!!お腹空いたんだよォォォォォ!!!」


ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガーン!!! ガーン!!! ドッガン!! ゴガンッ!!!


看護師が駆けつける。


「どうした?! そんなに蹴らんでも・・・・・・」


「・・・・・・・お腹空いた!!!」


「えぇっ?! さっき・・・・・・いらんって・・・・・・。もうないぞ?」


「お腹空いたーーーーーーー!!!」


「もうないんだけどな~~・・・・・・ちょっと待ってろ?」


困りながら看護師は小走りで去り、少し経って戻って来た。


「こんなのしか今はないんだが・・・・・・飲むか?」


「なにそれ? 」


「ヨーグルトサワー。飲むヨーグルトだよ・・・・・・飲むか?」


「うん飲む。ご飯は?」


「あ~~~、あと四時間後くらいだな・・・・・・我慢してくれよ?」


「うん! 分かった!!!」


看護師が去ったあと『K』は愚痴り始めた。


「・・・・・・ヒドイ! ご飯くれないなんて! ヒドイ! 酷すぎる!!! お腹空いたのに~~~~~!! だいたいココどこだよ?! ・・・・・・出せよ・・・・・・出せよ・・・・・・出せよ・・・・・・」


そしてヒートアーーーーップ!!!


「出せよ・・・・・・出せ・・・・・・出せ・・・・・・出せ、出せ、出せ、出せ・・・・・・だあぁぁぁせえええぇぇぇぇーーーーー!!! 出せよーーーーー!!! 出せ!! おらっ! 出せよ! 来いよ! 出せよ! 来いよ!出せよ! 来いよ! ううぅぅぅぅ・・・・・・わあああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁああーーーー!!! ¢$℃§◇▼※Å♭§!!!!!」


ウフフフフ・・・・・・わたくし・・・・・・おかしくなってもよろしいかしら☆


『K』が叫び、暴れる度に看護師は小走りで鉄格子の向こうを駆けていく。「ごめんね」と、私に手を合わせながら。その度に苦笑し合う私と看護師。






夕食。


「今度は溢さないでね? これ食べなかったら次は明日の朝になっちゃうからね?」


「うん! 分かった!!!!!! いただきま~~す!!!」


そんな会話を聞きながら私も不味い液体を口に含む。


夕食後も『K』は変わらないハシャギっぷり☆


叫ぶ! 叫ぶ! 叫ぶ!!! 暴れる! 暴れる! 暴れる!!!


彼女の体力はどうなっているんだ? まさか・・・・・・まさか、無限じゃ・・・・・・ないよ・・・・・・ね?






消灯時間。


『K』が静かになった。


ふう~~~・・・・・・。ようやく私に静寂が・・・・・・。お休みなさ~い♪


・・・・・・ゴゴゴゴゴゴ! ガゴゴゴゴゴゴゴ! ズゴゴゴゴゴゴゴ!


???????????????


なにかしら? 工事かしら? こんな時間に? うるさいわ~~~。


ゴゴゴゴゴゴ! ゴズズズズズズ!


うぅぅ~~~~~ん・・・・・・ ?!?!?!?! 違うわ! これ! この音! 工事なんかじゃないわ!!


これ!『K』のイ・ビ・キ♪


・・・・・・凄いわ・・・・・・凄すぎだわ・・・・・・凄まじいわ・・・・・・。


彼女は起きててもうるさくて迷惑極まりないし、寝ててもうるさくて迷惑極まりないのね!!! そりゃ御家族さんも参っちゃってこんな所にぶち込みたくもなる訳だ☆


さすがの私もなかなか寝つけなかったのを覚えている。




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