第71話 バフかけちゃった ※挿絵あり
挿絵の指が左右とも四本!
そのうち修正するんで待っててくださいお願いします!
撤収する前の朝ご飯で護衛の皆様におにぎりを振る舞って、それぞれ強化された魔力による身体強化を用いたおかげで、思ったより早く残った作業が終わって今は移動中だ。自分達四人は馬車に乗らせてもらって、強化された他の人達は体の具合を確かめる為に少し早めの駆け足で付いてきてもらってる。
周りから疲労が全く無いと驚きの声が上がっているが、特に喜ばれたのが膨大な魔力量で、生活魔法や水、風、土と言った諸々に欠かせない物も気軽に使えるんだとか。洗濯物や洗い物や馬の飲水出し放題、それらの乾燥も風で素早く出来たらしい。
土で簡単に高所を作りまくって軽い要塞みたいにして目視の偵察も楽になったと感謝をされた。その気になれば、火と水と土魔法使いを三人集めればお風呂を毎日作って潰せるほどだぞ、とも言われた。軍隊って清潔さが生命線だしね、おにぎり作っただけだからそんなベタ褒めしなくてもいいっすよ。
こうして俺は晴れて無罪を勝ち取った!いやぁ気分がいい!さっきまで沈んでたテンションが嘘みたいだね。厳密には無罪じゃなくて執行猶予みたいなもんだけど。まぁ大手を振って皆さんのために働けるならなんでもいいですよ。幼女だから何もできないけど。
どうやって罪を償うか⋯⋯お手伝いしようとしても微妙に背が足りなくてほぼ全ての台に手が届かないし、危ないからって姉がすーぐ抱っこで距離を稼いでくるしなぁ。気を取り直してさっき書き出してもらった新しいステータスにでも目を通しておくか。
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名前 アリス(0歳 女)
種族 根源妖精 バンシー(契約者クリス)
出身 神界 9丁目 8番地 ゴッデス荘 2号室
家族 ノールジュ(親) オリビア(親) クリス(姉)
ティナ(姉)
■■■■(親) ■■■(親) ■■■■■(妹)
筋力 F 魔力 S 知力 C
忍耐 S 器用 F 幸運 S
音魔法Lv5 泣き声Lv5 浮遊Lv5 魔力操作Lv5
魔素適性Lv5 録音再生Lv5 物魔耐性Lv5(憑依時)
のど飴Lv5 言語変換Lv5 愛されボディLv5 流入者Lv5
応援Lv5 魔素変換Lv5 神聖魔法Lv5 魔術適正Lv5
世界樹への接続Lv5
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根源妖精?なんぞそれ⋯⋯おお、契約者がクリスに変わってる!感慨深いですね。オリビアって誰だ。名前知らんけど親って書かれてるし、もしかしてママ?あ、筋力と器用が少し上がってる。筋トレの成果が出たか。能力値はまぁ日頃の努力の賜物でいいとして、問題は前の状態でも使い方も使い道もイマイチ分からなかったスキル達ですねぇ。何個か増えてるし。
応援⋯?がんばれ♥がんばれ♥って言えばいいのかな。魔素変換はたぶん翼を授けるやつ。神聖魔法⋯⋯?また知らん属性が増えたか。神力関係か?音だけでも使いこなせないのに。次、魔術適正⋯⋯⋯??魔術?魔法とは違う?わっかんねぇ!さっきノールジュが居る時に聞いときゃよかった!ファ◯ク!⋯⋯ふぅ、取り乱した。世界樹への接続はノールジュから耳打ちで聞いたやつだな。っていうか今だに生活魔法とか身体強化が使えないのはどういうことなの?
「それが新しいアリスの情報か。どれどれ」
「色々増えたわね~。前から気になってたけど愛されボディって何?」
わかりません。適当言っとこ。
「会った人達みんなかわいいって言ってくれるからそれ⋯⋯かな?」
「ふむ⋯⋯神聖魔法ねぇ。アリスが使えるってことは私も使えるのか?でも種族はバンシーから変わってないようだしなぁ」
「神聖魔法は支援が多いみたい。簡単なのだと祝福とか?呪い耐性とか色々つくみたい」
祝福、これは呪いを解除しつつ耐性を着けて筋力と器用を微上昇させる支援魔法だ。魔力消費も少ないので戦闘前はとりあえずかけとけばいい類のやつ。まぁ俺の魔力は周りから魔素を吸い上げて使える関係上無限みたいなものなんで常時かけ続けてもいいぐらいなのだが。
「攻撃魔法は無いのか?」
「あんまり」
「そうかぁ⋯⋯じゃあそのへんは任せるよ」
がっかりさせてしまった。クリスは脳筋主義だから分かりやすい高火力魔法とかが欲しかったみたい。妖精ガチャ二回とも外してごめんな⋯⋯。
「それより魔術って何?魔法と区別されてるみたいだけど使えるの?」
ティナがそう尋ねてくるが俺もあんまり分からない。そもそも魔術って魔法より難しそうな響きだし、仮に使い方がわかっても積極的に使おうとは思えないな。
「頭の中では何かぼんやりと浮かぶんだけどむずかしくて」
そう言ってお茶を濁しておく。幼女に難しいことをさせてはいけない。そんなことを姉達と一緒に考えながら馬車に揺られていると、少し周囲が騒がしくなってきて馬車の扉がノックされた。
「止めろ!⋯どうした?なにか問題でも起きたのか?」
あーちゃんが扉越しに聞くと、馬車の外で駆け足移動していたメイドさんが扉を開いて、哨戒に出ていたらしい身軽な装備の斥候の兵士さんが報告を始める。
「ハッ、どうやらこの先に魔物の集団が待ち構えているようです。広範囲に陣取っており、迂回は困難。装備は整っていないようですが⋯⋯」
「そうか、それで数は」
「⋯⋯およそ四百。小型三百、中型八十、大型二十、大将首らしき者が一。恐らく昨日の騒ぎを聞かれていたものかと」
「四百か、舐められたものじゃのう?こっちには英雄殿とそれに次ぐ魔力の者が二十名も居るのじゃ、問題ではあるまい。だが何事も油断はしてはならぬな⋯⋯妾達は伏兵による奇襲に備えて後方で待機しておく、お前達だけで如何様にもしてみせよ」
「ハッ!」
こうして突然の戦闘が火蓋を切った。状況的には二十倍の兵数差で圧倒的に不利。しかもこっちの主力である姉達は敵の伏兵に備えて、そちらを撃破するか居ないのを確認するまで動けないという縛りプレイ付きだ。なんとなく不安があるので馬車を止めて戦闘準備中の兵士を激励してるあーちゃんのとこに行って色々やるか。
「お、アリスも行くのか?」
「ちょっと試したいことがあるの」
「じゃあ私達も行きましょうか」
兵士やバトルメイドが装備を整えてる前でわちゃわちゃ健闘を祈ってたあーちゃんと並んで立って、新しく覚えた神聖魔法を集団向けに範囲拡大したソレを実行する。
「祝福!速度強化!魔力強化!知能強化!忍耐強化!栄光の鐘!」
各種ステータス強化のバフを入れて、状態異常耐性アップに被クリティカル率ダウン、与クリティカル率アップの効果がある栄光の鐘を畳み掛けるように全員に唱える。さらに応援で士気をマックスまで上げておく。魔法を使ったから翼が生えて来てるし、羽ばたいて若干浮きながら言おう。
「がんばれー!あんな奴らに負けないぞー!皆のほうがつよいぞー!お米食べろー!」
「「「「「オォォォォォッ!!」」」」」
耳にビリビリと雄叫びが響く。二十人くらいしか居ないのに数千人分の迫力があるぜ⋯⋯ちょっとやりすぎたか?
「フーッ⋯⋯フーッ⋯⋯今のはなんだ!?」
姉が鼻息荒くして聞いてきた。やっぱやりすぎだわ。
「全体に色んな強化魔法で支援して、応援してみたよ」
「くぅっ、この高揚感で先陣を切っちゃ駄目なんて生殺しだわ!!」
あれ?普段冷静なティナまで頭おかしくなってるな。これは使い所に気をつけないと容易に最強の軍隊作っちゃうかも。
「アリスちゃんは将の才能まであったんじゃなぁ!よい!よいぞぉ!この戦勝てる!はっはっは!」
姉達と会話してる間に辛抱堪らんくなった兵士が突撃し始めて、遠くで敵が吹き飛んでるのが見える。えぇ⋯⋯なんか魔法の威力もかなり上がってるしこれはやっちゃったかもなぁ。気づいたら全員戦闘しててヒャッハーしてるし、伏兵が居なきゃこれは損害ゼロで終わりそう。
姉達もウズウズしてるし、もう行って良いんじゃないかな?特定飛ばしてるけど何も居ないっぽいしね。こっちには待機してるメイドさんが数人居るし、あーちゃんも一緒にいるから大丈夫だ。うん!行ってよし!
「とつげーき!」
「うおぉぉぉ!!」
ってちょっと!?姉達どころか残ってる人も全員行っちゃったよ!俺も行かないとやばいってこれ。凄く強くなるのは良いけど、バーサーカーになるのは考えものだね。相変わらず俺の性能はよく分からん⋯⋯。そんな事を考えつつ追いかけるのであった。




