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TSした妖精幼女は異世界で家族が出来る  作者: えもぬえ


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第55話 バレちゃった ※挿絵あり

 何故か公爵様と顔見知りと言うだけで一緒に話を聞くことになった俺と姉の二人。なんだかまた面倒事の予感がして今から胃が痛くなりそう。なんなら頭も痛くなりそうな気がする。吐き気の予感もしてきた⋯⋯帰って良い?


「そう嫌な顔をしないでくれるかい?話だけでいいからさ」


 嫌だ!詐欺師やキャッチセールスは皆そう言うんだ!始めに「話だけでも」って言って逃げられない場所に連れて行って、それからこっちの有無を言わさずに自分の都合が良いことだけ言い始めるんだ!大体公爵とギルドマスターを前にして幼女が話を聞くってどういう構図だよ、就業の最低年齢とかないんか?


 そういや無かったわ。ここは異世界で動けるようになったら子供が働くのも珍しくなかったわ。ウチの工場にも未成年の枠で何人か入れてるし。そんな人達の苦労で俺の食も支えられている⋯⋯しょうがない、大人しく聞くか。


「ぶぅー、聞くだけだかんね。本当なら今日はおやすみでお姉ちゃんと遊ぶつもりだったんだから」


 文句をぶちぶち言いながら階段を登って応接室に入った。俺達が話をしている間にギルドマスターのドーラスさんの方が先に部屋に来てたみたいで椅子に座って待機していた。ハインケルの事を確認すると態々立ち上がってから地面に片膝をついて挨拶をし始める。


「お久しぶりですデクタス様。本日はどういった御用で?」


「ああ、今日は議会で決定した内容を伝えるために来たんだ。楽にしてくれ」


 ドーラスさんが椅子に座り直し、俺達二人も長椅子に座る。なんでお前らが居るんだ?って顔されたけどこっちが聞きたい。


「それでは早速本題に入ろう。実は昨晩、エルフの国から救援要請が届いた。こちらでも発生しかけたダンジョンの氾濫が確認されたらしい。こことは違って気付いたときには手遅れの状態だったみたいだよ」


「んなっ、それは真ですか!?」


「本当だ。王都は壊滅状態、住人は散り散りに逃げ出し収集がつかないらしい。幸い半数以上はエルフの女王陛下が避難誘導を行ったおかげで近隣の街に逃げ延びたらしいんだけどね」


 ひえぇ、あっちでもダンジョン問題が起きてたのか。ここのを攻略して安心してる場合じゃなかったか?でも俺達も割といっぱいいっぱいだったからなぁ。そもそもエレノアの一件とかボロゾフの事件とか変な横槍が入ったせいで予定が大幅に狂ったとも言えるのだけど。だからサボって子供と遊んでた俺のせいじゃない。いいね?


「そこまでとは⋯⋯それで我々が呼ばれた理由とは?」


「冒険者を集めてダンジョンから溢れかえった魔物を討伐してほしい。もちろん報酬は別途国からも出そう。今は我が国も変革の半ばで圧倒的に人が足りていない状況だ、非戦闘員でも構わないから周囲の支部とも協力して集めてくれ」


「なるほど、了解しました。幸い冬に入って農村や他の街への護衛依頼は少ないですし、暇を持て余して居る連中も多いでしょう。その様に致します」


 寒くなると皆家に引きこもってあんまり動かなくなるから、行商人くらいしか表に出る人は居なくなるんだよね。村の人達も収穫を終えてのんびり農具の補修とか、次の季節に向けての内職が多めになるらしいし。動物も居なくなるせいか魔物も息を潜めてるから、護衛も無しにソロで移動する商人もいるくらい。まぁ飢えた野犬の群れに襲われることもあるから若干運ゲーなんだけど。


「ありがとう。で、こっちが重要な話だ。冒険者クリス、その妹アリス。君達には要人の護衛依頼を出したい」


「私達にですか?それは構いませんがどなたを御守りすればよろしいのですか?」


「それはだね⋯⋯見てもらったほうが早いだろう。君、お呼びしてくれ」


「ハッ!」


 ハインケルは連れてきていた兵士に命令をして向かわせた。さっきチラッと表に見えたけど、馬車で来てたってことは中にもう一人くらい人が居たのか?うーん、どんな人なんだろう。こいつが「お呼び」なんて丁寧な言葉遣いするってことは目上の人なんだろうなぁ。いや待て、実質貴族の頂点近くにいる公爵の目上なんて王族しかいねぇじゃねえか⋯⋯嫌な予感がする。誰かダイスのリロールをさせて⋯⋯あ、もう手遅れ?そ、そんなー!


 不安な気持ちに押しつぶされそうに考え事をしていると扉が開いてその人が姿を現した。公爵が居るって分かってるのに遠慮なく開けるとか確実にやべぇやつだ。胃が痛くなりそう⋯⋯。


「妾の身を守らせるのは其の者達か?」


「はい、左様にございます女王陛下。この方達は我が国でも起きた先のダンジョン氾濫の折に、特に目覚ましい活躍をした冒険者です」


 じょ、じょおうへいか⋯⋯?こいつが?


「君達にも紹介しておこう。隣国のエルフ族が統治している国ユグディシアの女王、アールランド・ディ・エル・ユグディシア陛下だ」


「うむ、よろしくの。紹介にあったアールランドじゃ。此度はちと厄介そうじゃから民を逃がした後、妾も使者として直接参ったのじゃ」


 マジで?この目の前に居るのじゃロリ緑髪エルフっ子が女王様だって?俺とあんまり変わらないように思えるけど大丈夫なんエルフの国?


「私はクリス、しがない冒険者です」


「ほぉー?中々やるなお主」


 え?なんで分かった?実力者ならひと目見ただけで分かるくらいの強さが滲み出ているのだろうか。もしくは漏れ出る魔力で把握したとか?どちらにせよ姉が評価されて鼻高々です。


「あ、あたしはアリス、です!お姉ちゃんの妹、です!」


 久々に王族なんて来たからちょっと吃った。エレノア?あいつは王族じゃねえよ、ただの危ない性癖したおもしれー女だ。


「ほう、妹。確かにのう⋯へぁぁ!?」


 俺を凝視した瞬間、女王様が急に尻餅をついてプルプルし始めた。一体何が起こっているんです?


「ああ、伝え忘れていたけど女王陛下は鑑定の恩恵(ギフト)を持っていらっしゃるんだ。犯罪歴も一緒に見えるらしいからこうして直接お目通りさせていただいてるんだよ」


 鑑定!?それでさっきの姉の実力も分かったのか!不味いマズいまずい!なんか俺を指差してるし見られたか?どうしよう⋯⋯口封じはダメだな、目撃者が多すぎる。内密にしてもらうっていうのもハインケルが居る時点で怪しまれてアウトか。


「えっと、陛下?どうなさいましたか?御加減が悪くなりましたか?」


 心配したハインケルが女王に尋ねている。その横で俺が考えている間にもまだプルプルしている。正体を知っているドーラスさんやクリスは「あーあ」って顔してるし、連れてきてる兵士さん達もどうしたものかと絶賛困惑中だ。


「あ、貴方様は⋯⋯妖精、いえ、神子様!どうか我が国をお救いください!伏してお願い申し上げまする!!」


 そう言いながら女王様は俺の前に土下座をキメてしまった。


 今まで必死に隠してきた素性がバレてしまいました。

 のじゃロリエルフっ子のせいです。あーあ。



挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
TS百合だぁー! 食欲に負けるTS娘っこは良いも候 のじゃロリエルフのわからせ……わからせ?には笑いました。 これからも執筆頑張ってください!
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