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TSした妖精幼女は異世界で家族が出来る  作者: えもぬえ


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第48話 お店に来ちゃった

 ダンジョンの暴走問題から数日、エレノアからの連絡を待ちながら街を散策したり、余った装備品や消耗品を武具屋に売り捌いたりして時間を潰していた。


「このお店もだめだったね⋯⋯」


「あの一発でガタガタになっちまったパイルバンカーを整備してくれる人は中々見つからないな」


「メンテナンスに出すにしても構造が複雑みたいだし分解して戻せる職人が居ないっぽいしね~」


 スマホやハンディカムがあれば、録画しながら作業したり写真で万全の状態を見ながら組み立てたりして対策出来るんだけどな。こういう時代に機械が全然作られなかった原因の一つかもしれない。一回バラすともう何がなんだか分からないのである。


 それこそ設計図が手元にあるか、制作者でないと構造なんて覚えていられない。時間をかけていいならなんとかなるかも知れないけど、商品一個に付きっきりなんて普通のお店なら客が居なくなる。そもそもそんな事になりそうなら職人の方が断ってくる。っていうか既に何件か断られた。構造が複雑すぎて責任が持てないって人も幾らか居たけど。


「何件もたらい回しにされたけど、ここならいけんのかな?」


「これで七件目だものね。ドワーフが多い国なら見てくれそうだけど、ここでダメならお手上げかもね」


 鍛冶屋街にある一件の煙突から煙が出ている店に入る。作業場と売買のためのスペースが一緒になっている、なんとも飾り気のない店構えだ。打った物をそのまま並べているのだろう。


「⋯⋯らっしゃい」


 中で作業をしていたヒゲチビのおっちゃんが手を止めずに話しかけてくる。さっき聞いたドワーフって奴だな、すれ違う事はあったけどこうして近くで見るのは初めてだ。


「邪魔するぜ。ちょっと見てもらいたいもんがあるだけどさ」


 クリスはそう言いながら収納からパイルバンカーを取り出してカウンターテーブルの上に置く。


「ちと待っとれ、今は仕上げ中で手が離せん」


 その人の手元を見てみると、一本の大振りな大剣が謎の動力で回る砥石によって磨き上げられている最中だった。成人男性でも肩に担げば押しつぶされてしまいそうなサイズで、中々の迫力だな。かっけぇ!狩人名乗れそう!


ゲームだとこれくらいのがゴロゴロしてたけど、実際に見るとこんなもん使えるわけないって分かる。もし使えたとしても明らかにやりすぎだ。並の敵なら一刀両断だろうな、何を想定した武器なんだろうか。それにしても飛び散る火花がホタルみたいに儚く散ってて目を奪われる。


「きれー⋯⋯」


「わかるかお嬢ちゃん。鍛冶師ってのはな、火花に魅入られる奴もそれなりにいるんだ」


「そうなの?」


「そうだ。鉄を打つ時、釜に突っ込む時、それぞれに違う色がある。それが毎回生きているようでな、我が子が生まれる時の産声みたいに感じるもんさ」


「ほぇー」


「いい子だ、才能があるかも知れんな。さて終わったぞ?何の用だ?」


 ドワーフのおっちゃんは俺達の方に体を向けながら改めてこちらを確認してくる。


「こいつを整備してほしいんだけどよ、一回使っただけでこのザマなんだよ」


「これは⋯なんじゃこりゃ?ここはクロスボウの機構に似ているが⋯⋯ふむ、となるとここに魔力を注ぎ込んで⋯⋯⋯」


 おっちゃんはパイルバンカーを見た瞬間にある程度の構造が把握できたらしい。すごい!出来る職人って感じでラスボスに挑む時に使う武器とか作ってくれそう!


「できそうか?」


「うちなら出来る!⋯と、言いたい所だが今のままでは無理だな」


「んだよ、どっちなんだ」


「お前さん、ちっと身体強化を使ってみろ」


「なんでだよ?」


「いいからやれ」


「へいへい」


 姉は言われた通りに身体強化を使って体を強化した。エレノアにマジギレした時とは違って、それなりに抑えてあるけど普通の冒険者何かとは比べ物にならないくらいの魔力が体に練り込まれていく。


「やはりな⋯⋯」


「なんか意味あったのかこれ?」


「この武器は使用者の魔力を使って動力に変えておる。お前さんの魔力量が多すぎて武器が耐えられとらんのだよ」


 だからあんなにすごい威力があったのか。使い手の肩が抜けるくらいの威力を前提に作るわけ無いもんな、ドロップ品だし誰が作ったのかも分からんけど。


「それを解決するためには魔力を溜め込むための貯蔵庫を容量が多いマナタイト製に変えて、穂先を魔力伝導率が高いミスリルにするしかない。このまま直した所でお主が使えば同じ事よ」


「ほう、そんでどうして無理なんだ?」


「穂先は俺が作ってやれるがな、動力部分は細かすぎて無理だ。娘が魔道具職人だから帰ってくれば作業に取りかかれるんだが」


 娘さんがいるのか。魔道具職人ってことは、あっちの棚に並んでる細かい装飾が施されたお高めの装備は魔法が付与された装備ってことなのかな?値段も他に比べて数倍くらいしてるし。他の店じゃ普通の装備しか置いてなかったからここはいい店かもしれん。


「その人はどこにいるのー?どこかにお出かけ中なの?」


「⋯⋯貴族に連れて行かれてしまったよ」


 ここでも貴族か。前から思ってたけど、この国の貴族クソすぎんか?


「なんだと?いつの話だ」


「十日前のことだ。死の森が活発になって戦力が足らんと言って、孤児やなんかと一緒にまとめて連れて行かれちまった。優しすぎる子でな、浮浪者や孤児の吹き溜まりによく炊き出しに行ってたんだ。そこで刈り入れに来た貴族様に楯突いちまったらしい」


 えぇ⋯それだけで巻き添え食ったのかよ。ホントにクソじゃん。今度エレノアに会ったらぶっ飛ばしてもらうか⋯⋯?あ、そうだ。俺達にはエレノアっていう最上級権力者が味方にいるじゃん!


「お姉ちゃん!エレノアに頼んで助けてもらおうよ!」


「お、いいなそれ!ぶっちゃけ金にはあんまり困ってないしな!ティナもそれでいいか?」


「私もいいわよー、この店の他にアレ直せないっぽいしね」


 満場一致で決定した。パイルバンカー一つのためにする苦労じゃないかもしれないけど、慈善事業をしてる所で人攫いに遭っただなんてあんまり過ぎるからね。


「お、おお⋯⋯?お前さん達一体なにもんだ?」


「ただの冒険者姉妹だよ。クリスにティナにアリスだ」


「ただの冒険者がなんとか出来るもんかよ。俺はドン・ボルグだ。ボルグでいい」


 貴族ではないが家名を持っているのは職人の名前みたいなものらしい。おっちゃんの名前はドンで店の名前がボルグなんだとか。お互い自己紹介をしていると、店の扉が開いて黒髪黒目の残念王女が姿を現した。


「皆様ここに居られたのですね、随分探しましたよ。姫様がお呼びですので早急に王城にお越しください」


「エレノア!⋯じゃないな、替え玉の方か?」


「フローレンスと申します。この格好をしていれば、そちらから遠目に見られた場合話しかけてくれると思ったので」


「何だ?客じゃないのか?」


 混乱するボルグさんを置いて、俺達は城に向かうことにした。表には馬車が停まっていて、すぐに乗り込んで中で礼儀作法やら何やら教わってるんだけど、もしかして内々の話じゃなくて謁見的なことさせられんの?えー貴族や王族に顔覚えられんの嫌だなぁ!そんな事を思っていると以前に見た大きめの城門が見えてきたのであった⋯⋯。

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