第47話 解決しちゃった
さて、コアがある部屋にやっとの思いで辿り着いた。ここまで長かったなぁ⋯⋯。王都に着いてはや数ヶ月くらい経つんだっけ?光陰矢の如しとはよく言った物で、色々あった気がするけど毎日楽しく過ごしているおかげであんまり時間がかかったとは思えないけど。
「さ、アリス。早速やってくれ」
「うん!」
⋯⋯やってくれって言われてもな。わからん、なにすればいいんだこれ?
「やりかたわかんない⋯⋯」
「えぇ⋯女神様が何か言ってなかったの?」
「えーっと、なんだっけ。あたしの力をコアに注いでほしい、とかなんとか」
教会で聞いたお使いの内容を必死に思い出してみる。そういや詳しく聞いてなかったな!
「力か。魔力のことなのかも知れんな。手が届きそうにないし、持ち上げてもらってはどうだ?」
コアはRPGのセーブポイントみたいな、謎の光の玉が空中に浮かんでいる形で存在している。その高さ、目測でおよそ2mくらいと言った所か。ちなみに俺の身長は1mあるかないかくらいで、生まれ落ちてからここ数ヶ月成長してる感じは一切ない。よってジャンプした所で手が届く気配もない。ソロで来たら詰んでるなこれ?もうちょっとバリアフリーに配慮した世界設計お願いしますよ⋯。
「よいしょっと。どう?届きそう?」
「うん、ありがとうティナお姉ちゃん」
この中で一番背が高いティナに抱っこしてもらって手を伸ばして、ようやく届くかと言った高さだ。光ってるけど熱は出てないみたいだが、冷光っていうんだっけ?LEDくらいの光量なのにどういう技術なんだろうか、魔法なら何でもありか?さて、とりあえず手の平で触れたから魔力を注いでみるか。
「うぎゅッ!?」
ビリっときたああああ!!
「平気?」
「ちょっとびっくりしちゃったけど、へーき!」
そのまま俺の魔力を注ぎ込み続ける。どんだけ持っていく気だ、既に俺が生まれてからクリスに回していた分などで使った魔力以上は減ってるぞ。っていうか今気づいたけど俺の魔力結構多いな⋯⋯ステータスSは伊達じゃないって事か。いや、この時のために作られた体なのだから当たり前か。そうして普通の人間なら数千、数万回は魔力切れで倒れるであろう程の量を送って、ようやくコアの光がさっきより控えめになった。
「フゥー、もう大丈夫⋯⋯かな?」
「お疲れ様アリスちゃん、これでようやく一つ目ね」
「そうだな⋯⋯ちっと手間取っちまったが」
「原因は何だったのだろうな、それが分かれば対策の立てようもあるのだが」
さっきコアと繋がった瞬間に俺の頭に流れ込んできた情報で、ある程度は理解することが出来た。恐らくこのダンジョンは魔素を流用することによって運営されており、今回はノールジュが居ないことによって想定以上のエネルギーが溜め込まれてしまったのだ。結果、ヒューズの役割でもあるコアが機能不全を起こし、魔物が暴走。それぞれ生存本能に従って共食いによる進化へと至る――そんなとこだろう。
今回、俺が施した措置により数年は同じ事が起こらないだろうが、それも完全ではない。またイレギュラーが発生するのを防ぐためには、ダンジョンの魔物を倒して魔素を散らし続ける必要がある。ま、これまで通りここでドロップ狙って一攫千金してりゃいいってことなんだけどな。
今までは冒険者任せにして、入口の管理だけで利益を得ていた国家が主導で支援していけばいいんじゃないかな?偶然王女様も危険性を認識出来たしね。そんな事を話しながら、俺達はここまで蹴散らして来た敵から出たドロップアイテムを回収しながら一階層まで戻ってきた。
「これだけ拾えれば一財産築けそうだなぁー、儲けた儲けた」
「降りてくる時は拾う時間も惜しかったからね~」
「しかしそれなりに時間をかけてしまったというのに、応援どころか連絡の一つも寄越さず、剰え内部の状況確認の人員すら送り込まれていない、というのはどういうことなのだ⋯⋯」
確かに。ここまで歩いて戻ってきたんだけど誰ともすれ違ってもいない。冒険者連中は入口が封鎖されているなら仕方ないんだろうけど、ここの管理をしてる国側が解決するための糸口すら探らずに放置したままってのはいただけないな。何か考えがあるんかね?
「さぁ出よう。半日近く戦ってたから腹が減ったなぁ」
「疲れたしお腹へったし、へとへとだよー」
今日はもう何も考えずにいつもの子熊亭でお肉食べて寝たい。いや、その前に風呂入りたい!本物の下水道じゃないとは言ってもスライムに飲み込まれてたから、まだ若干気持ち悪さが残ってるのでサッパリしたい。それが先決だな、やっぱ疲れた体を労るためにまずは風呂!
っと、外に出ては来たんだけどなんだか騒がしいな。俺達が送り出した冒険者パーティも居ないし、入口に見張りが数人立ってるだけでここが危険ですよって避難勧告がされた感じもしない。どうなってるんだ?
「ひ、姫様!お帰りなさいませ!」
「うむ、今戻った。彼女らの協力もあり、被害が広がる前に事態を収めることが出来た。皆の者、ごくろうであった」
入る時に事態を説明してくれた兵士さんが出迎えてくれた。無事で良かったね。全然話したことはないけどやっぱ知り合いが傷つくってのは気持ちの良いものじゃない。最善とは言えないけど最悪ではなかった結果に少し誇らしくなるね。
「おやおや、お早いお帰りで。中の様子を見て撤退の判断でもなされたか?いや、それも無理からぬこと、心配召されるな。我ら近衛騎士団が引き継ぎましょう?」
なんか奥に張ってある天幕からうさんくさいのが出てきた。口髭がくるんと巻いてて坊ちゃん刈りみたいな金髪のダッセェヘアスタイルした、いかにも貴族でござい!って感じのヒョロガリのおじさん。その後ろにはきらびやかな装飾が施された鎧に身を包んだ騎士達。こいつらがこれから中に入るの?出てくる頃には装備も服もボロボロになるからやめといたほうがいいと思うんだけどなぁ。
「ボロゾフ卿、今頃何をしに来た。既に我らが内部を一掃し、脅威も排除したぞ」
(此奴の相手は私に任せて、皆は帰って体を休めておいてくれ。後日使いを出す)
エレノアが小声で話してくる。どうやら面倒な事は丸投げしてもいいらしい。やっぱこの人、かなり有能だ!ならばお先に風呂入って飯食って宴会だな。甘い物も食べたいし、そこら辺の屋台で飴でも買ってもらって舐めながら帰ろー!




