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TSした妖精幼女は異世界で家族が出来る  作者: えもぬえ


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第46話 着いちゃった(コアに)

 なん、だ⋯なんか息が苦しい。喉がイガイガする、というか風邪の時に近いような感覚だ。異物感があるけど、咳をすると余計に喉を痛めてしまうような、そんな体の記憶が蘇る。


「ゲホッ、カハッ!」


「目覚めたか!おおい、アリス嬢も無事だぞ!」


 無事?なんのことだろうか。俺は確かダンジョンの奥に来て、スライムに襲われて⋯⋯危うく苗床みたいにされかけたんだっけ?思い出してきた。それにしてもお腹が気持ち悪い。


「体はどこも痛くないか!?ああ、よかった⋯っ」


 姉が駆けつけてきて抱きしめてくる。なんだろう、いつもと比べてすごく優しい手つきと力加減で抱擁してくれてる。俺が魔素を吸い上げられてた間に何かあったんだろうかね。とりあえず安心するし抱きついとくか。


「アリスちゃん、さっきのこと覚えてる?口から黒い物が出てたみたいだけど」


「あれは多分、魔素だよ。魔物がいっぱい来た時のが残ってたみたいで、口になにか差し込まれて⋯」


 それを聞いたクリスはすごい形相で転がっていたスライムの核に向かっていき、剣を振り下ろしてガンガンやりはじめる。


「このっ!このっ!よくもうちの妹に怖い思いをさせたな!クソ、硬ぇ!」


 俺もティナに支えられながらよろよろと核の所へ移動する。本当に硬そうだな、結構本気で殴ってるのにヒビすら入ってない。この硬度があるなら、スライムとしての体なんて捨てて新しい生物として進化したほうがいいんじゃないかってレベルだ。


「さっき拾った武器を使ってみたらいいんじゃないかしら?」


「おお、あれか!面妖な形状でどうなるのかサッパリだが使い方は分かっているんだろう?」


「やってみるか」


 クリスは収納からそれを取り出し、穂先をコアにあてがって一呼吸置いてから、トリガーを引いた。その瞬間、バゴン!という破砕音が鳴り響き、恐ろしいまでの衝撃が辺りを震わせた。水飛沫が収まって確認すると、その武器「パイルバンカー」の先端部分が見事にスライムの核を撃ち貫いて砕いていた。


「痛っってぇぇ~~!肩が!肩が外れた!」


 身体強化で常人の推定十倍以上の頑健さを誇る体でも反動に耐えきれなかったらしい。どんな威力してんだよ、俺が使ったら体がぶっ飛んで空の彼方じゃないか?こんな物個人が携行していい武器じゃないだろうが。どこにも需要なんてないと思う。


「だ、だいじょぶ!?あわわ、こんなにすごいとおもってなくて」


「平気だよこれくらい。つぅ⋯それよりまだ魔素が出てこないみたいだな、しぶとい奴だ」


「いえ、どうやら終わりみたいよ。これ見て」


 ティナがコアの中から一つの欠片を拾い上げて見せてくる。そこには、ガレラ村で葬ったソウルイーターの物より一回りは小さいだろう、赤い石が握られていた。なんでこれがここにあるんだ?


「それは何だ?魔晶石では無いようだな」


 エレノアは見たことがないか。そりゃそうだ、ノールジュ曰く女神案件らしいからな。そんなのがポロポロあるんだったらこの世界なんて随分昔に滅んでるだろう。というか、もしかしてアレってスライムから出てきたの?ってことは災害生物だった?


「これはあいつと同じ物だな。私達の故郷を襲った第三種災害生物ソウルイーター。奴を殺した時にも同じ石が出てきた」


「なっ⋯⋯災害生物だと!?先程のスライムがか!?」


「ええ、見間違いじゃなければね。アレよりは小さいけど、同じ物だと思うわ」


「あたしが捕まった時、体からすごいいきおいで魔素が吸われてた。たぶん、魔法を使った時点でねらわれてたんだ⋯ごめんなさい」


 じゃないとピンポイントで俺が連れ去られた説明がつかない。恐らくスライムはより強くなるために魔素を多く持っている生物を捕食し続けてたんだ。俺が使った魔法にろ過されていなかった魔素が混ざっていたか、なんなのかは分からないが、それを察知して襲ってきたんだろう。


「お前は気にすんな。邪魔だから倒す必要があったのは間違いないんだ。お前が危険な目にあった原因があるとしたら、守りきれなかった私にこそある。本当に悪かったよ」


「そうね、私も目を離さなければ良かったわ」


「それを言うなら私もだな。一人で突出などせずに無難に撤退して様子を見るべきだった」


 全員で謝り合い、誰にともなくクスクスと笑いあった。ああ、特定の一人を攻めるんじゃなくて、皆が自分に非があると思う一歩引いた考えはいいな。空気が重くなりすぎずに前向きに歩いている気がする。


「ま、無事で終わって何よりだよ。じゃあ進もうか」


 そうだ、まだ終わってなんかない。障害物を排除しただけで、解決した気になっていたがダンジョンのコアにたどり着かないとな。俺達四人は先に進んで、案の定全ての魔物が喰われてまだ再湧きもしてなくて、がらんどうになった五階層をスルーし、問題のボス部屋まで来た。


「やっぱりあいつがここのボスだったみたいね。扉もこじ開けて出てきたのかしら?」


「そのようだな⋯⋯もしも私達が今この瞬間ここに居なかったとしたら。奴が一階層までの全ての魔物を取り込んだ場合にはどうなっていたか。想像も及ばんが、間違いなくこの街が地図から消えていただろう。王に代わって礼を言う。此度の協力、誠に感謝する」


 エレノアが深々と頭を下げて言う。俺という妖精が生み出されてなかったとしたら、確かにとんでもない事態になっていただろう。恐らくクリスとティナはこの街に居て、契約もしていない状態でも立ち向かって命を落としていたかもしれない。


 そして国民をも捕食して、より進化してしまったボススライムによって王都が蹂躙されて消滅。その後ガレラ村もソウルイーターに滅ぼされて、ママや村長さんやレオさんも一緒に⋯⋯。本当にすべてが上手く行ってよかった。今だけは感謝してやる女神さんよ。


「別にいいよ、私達はいつだって自分に出来ることを必死にやってるだけさ。後悔をする時間だけはたっぷりあったからね、もう何かを取りこぼす事はしたくない」


 イケ姉ぇ⋯⋯。


「私も同じような物よ。こういうのは出来る力を持ってる人がやらなくっちゃね~」


「あたしも女神さまにおつかいをたのまれて来ただけだし、むしろ巻き込んでごめんなさいって感じかな」


「姉妹揃って謙虚だな!よし、報酬は私の護衛とは別でたっぷり用意してやるから覚悟しておけよ!」


 謎の覚悟を決めさせられて遂にボス部屋の奥にあるコアが設置してある部屋に入った。通常の冒険者はここで引き返して地上に帰還するらしい。まぁワープゾーンとか特に無いし、短めのダンジョンだから日帰りも十分可能だしな。後はコアに接触するだけだ、それでこの事態が収束するといいんだが⋯⋯。

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