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TSした妖精幼女は異世界で家族が出来る  作者: えもぬえ


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第41話 突入しちゃった

「おおい、起きろよー。っていうか離してくれよー」


「ん”ーー」


 眠い⋯⋯なんで朝はこんなにお布団が恋しいのか。恐らく全人類が経験したであろう恋慕の感情。誰しもが一度知ってしまうと手放し難くなる結婚相手のベストオブベスト、それがお布団。ああ、次に転生するなら羽毛布団も悪くない。


 ⋯⋯⋯ホントか?相手が好きだからといって、その存在に実際になると色々見えてはいけない部分が多いかもしれない。実際、今抱き締めている布団は迷惑そうにこちらを睨んでいるのだから。


「ああもう、夢で何食ってたか知らねえけど沢山歯型をつけやがって⋯⋯体もヨダレまみれだ。いい加減離せよ」


 ????


 この布団、喋るぞ!?抱き締めている布団が言葉を発するとは珍しい。俺と同じ様に理不尽に転生させられた同志かもしれない。無機物に魂を入れられるとは可哀想に⋯⋯俺が責任持って結婚してやるからな。


「何言ってんだお前は。誰と結婚するって?私は許さないぞ」


 若干不機嫌になった布団に、布団から引っ剥がされた。な⋯何を言ってるのか、わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった⋯頭がどうにかなりそうだった。


「ティナが水出してくれるから顔洗ってシャキッとしろよ」


「おあーよーおねえちん⋯」


 どうやら寝ぼけて姉に抱きついていたらしい。なんでこんなに眠いんだろ⋯⋯そうだ、また女神と色々話し合ったんだった。なんか気になることも言ってた気がする。とりあえずやたらと重たい瞼をどうにかするために顔洗ってくるか。


「アリス嬢と一緒に寝るとこのような惨状になるのだな。なんと羨ましい」


「私の時は胸を枕にすることが多いわね。セミみたいにがっしり掴んできて動けなくなるわよ」


「ほぁぁ⋯私にもいつかそのような日が来るのだろうか」


 桶に出してもらった冷水で顔を洗っていると少し目が覚めてきた。とりあえず、昨日の夢の中で判明した事実を教えておくか?でもどこから話すべきか⋯⋯。めんどくさいな、いっそのこと再生で聞かせられないものか。あ、できそう。前世のラジ◯体操も流せるからもしやと思ったら、女神との会話もイケるみたいだな。


「昨日女神様に会ってきたんだよ⋯ふあぁぁ、眠い。これ、聞いといてね⋯⋯」


 そう言って後半の幼女侵食ホラーな部分をカットした会話を再生を駆使して聞かせた。しかし顔を洗ってもダメだ、眠い。俺は聞いても二度手間になるし、待ってる間暇になるだけだから少し横になっていよう。


「ア、アリスちゃん?いきなり何を言って⋯二度寝してるし」


「女神様!?二人共、どういうことなんだ!?」


「シッ、後で説明するから少し黙ってろ」


 数十分後起こされた。どうやら聞き終わったらしい。俺は再び夢の中へ潜り込んでいたわけだが、長時間寝てる時よりこうやって短時間の方が夢見たって実感があるのはどうしてだろう?ちなみに内容は田んぼにダイブして泥だらけになりながら泳ぎ回るというものだった。洗濯の手間がないなら現実でも一度やってみたい。


「アリス、この会話は本当なのか?」


「んぇ⋯⋯そうだよ。なんかね、気になってしょうがなくて寝るときまで覚えてたら呼び出しちゃったみたい」


「そうか。ふーむ⋯⋯ここが滅んだ世界の生き残りを集めた避難所、ねぇ⋯⋯⋯」


「他の神が消滅って⋯⋯⋯。でも、魔獣の恐ろしいくらいの強さが創造神の眷属だからって言うなら納得は出来るか」


 ティナは何やらブツブツ独り言を言いながら自分の世界に入っている。もう一人⋯は。あ、そう言えばエレノアには全く、何も教えてなかった。不味い、どうしよう。寝不足だからってやらかしてしまった!恐る恐るそちらの様子をうかがうと、呆然としながら俺を見つめていた。


「え?あの?神さま?あなたは?あれ?私がおかしい?」


「そうだぞ。こいつは私の妹で、私の妖精で、女神の娘だ」


「護衛の報酬がアリスちゃんの隠蔽よ。この子の存在が公になるとどうなるか予想もつかないわ。間違いなく自由はなくなるでしょうけどね」


「だから”絶対に”、”誰にも”言うなよ。そして無用な接触をしてくる相手は排除してくれ」


「あ、あぁ⋯承知した。しかし、その⋯⋯衝撃が大きすぎてな。あの絵本にそんな意味があったとは、まだ混乱しているよ」


「それについてはこちらもよ。お城の書庫で歴史書を探して調べておいたほうが良さそうね」


 まぁこの世界の歴史はあんまり興味はないけど、一番古いのがどういう事になってるかだけは見ても良さそうだな。


「あ、そういえばそろそろ魔素の濃度が限界だって、女神さまが言ってた。だから早めにダンジョンに行ってほしいって」


「濃度が限界?なんだか物騒だな。ま、今日はどっちにしろ潜るし早めに出発するか」


 そうして俺達はまだ頭の整理が出来ていないエレノアを連れて宿屋の一階で朝ごはんを食べ、用意をしてダンジョンがある亀裂の前まで来た。しかし様子がいつもと違って人集りが一定ではないと言うか、列を成して順番待ちをしている感じではない。


 けが人もちらほら見かけるので何かが起こっているのだろうか、いつも列の整理をしている兵士さんも緊張した感じで落ち着きがない。とりあえず話を聞いてみよう。


「今日は騒がしいな。何かあったのか?」


「ああ、あんたらか。今は内部で異常が起こっていて封鎖中だ。どうも魔物が凶暴化して手に負えんらしい」


「凶暴化?まさか、これが女神様が仰っていたことなのかしら?」


「たぶんそうだよ。前に魔素とか魔物の担当だって言ってた。ダンジョンも見てたのかも⋯⋯」


 恐らくノールジュは魔物と魔素の流れの担当だったが不在なのでこうして問題が起き始めたのだろう。しかし封鎖か、これ以上負傷者が増えないようにする措置なんだろうけど、処理しないと逆に溢れて外に出てきたりしないんだろうか。例のスタンピードってやつ。そんな事を考えていると、亀裂の根本に青白い影が出現して徐々に形を作る。クリーナーだ。それを見た兵士が身構えて、槍を一突きで終わらせる。


「今朝からずっとこうなんだ。中に調査隊を送るべきだと思うんだが、報告に行った奴も中々帰ってこない。せめて警備を固めるべきだと言うのに。全く、上の連中ときたら」


「これもしかすると相当危ない状態かも⋯⋯」


 俺の考えている通りだとするならば、この状況は放置しても収まらない。どんどん出てくる魔物が強く多くなってどうしようも無くなって、最終的には決壊する。そうなると街の中にダンジョンがあるという構造上、ここら一帯は一瞬で地獄になるだろう。それだけは防がなければならない。その事を姉達に伝えて対策を練ってもらうか。


「魔物が溢れるか。現に少しずつだが地上に出てきているし一刻を争うなこれは」


「でも封鎖中だし勝手に入ったら不味いわよね。どうしましょうか」


「ならば私の出番だな!」


 そう言ってエレノアは封鎖をしている兵士達の前に出て演説を始めた。


「私は王家グランディールが第二王女、エレオノーラ・グランディールだ。諸君、待たせて済まなかった。これより我々が内部に突入して事態を沈静化する。道を開けよ!」


 凛としたよく通る声。普通の人ならまず出せない、カリスマに溢れた貴人のそれ。そして今度は何やら紋章が刻まれた鞘に収まった剣の二本の内一本を掲げて言った。


「安心してほしい!私が来たからには必ず平穏を取り戻すと誓う!この宝剣にかけて!」


 周囲がドッと湧いた。こんなのでもそれなりに愛されてたんだなぁ、俺からはなんだか怪しいお嬢様にしか見えんのだが。


「さて、では行こうか」


「おう⋯お前本当に姫様だったんだな」


「ちょっといかついけどね~」


 俺だけはちょっと、いやかなり浮いてるのでコソコソと隠れながら一緒に中に入る。すると内部は酷い有様だった。ネズミがスライムにへばりつかれて窒息死し、スライムはクリーナーに集られ原型が留めていられないくらいにグズグズ。そのクリーナーはネズミに前足で捕まれ頭から食われていた。そんな光景がいたるところで繰り広げられていた。


「こりゃあ⋯とんでもないことになってるな」


「魔物同士の共食いなんて初めて見たわ」


「しかし量が段違いに多いぞ。入口付近はまだ問題ないが足の踏み場も無いとは正にこの事だな」


「うえぇぇぇ、吐きそう」


 こんなのが地上にまで攻め込んできたらヤバい。こっそり奥に進んでコアに辿り着いたとしても、その前に地上にまで溢れてしまっては元も子もないのだ。全力全開で殲滅しながら進むしか無いのかね。範囲に優れた火属性の使い手が居れば楽だったんだろうけど、生憎ウチには水音風の三種類しかない。そんな事を考えていると、今までお互いを食い合っていた魔物たちが一斉にこちらに気付いて襲いかかってきた。


「来るぞ!気合入れろ!」


 そして、戦闘が始まった。

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