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Lapidary 500円から億万長者!階級制ギャンブル倶楽部【Lapidary】天才2人の快進撃!  作者: 春間 来善


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第58話 翡翠VSダイヤモンド

会議室にいる黒服が鈴間翠《すずまあきら》に鋭い視線を向ける。


しかし翠の目に映っているのはただ1人、老人の姿だけだった。


金剛大門《こんごうだいもん》。現ラピダリー最強の男。


金剛「よく来たね。鈴間君。」


低く耳に張り付くような嫌な不快感がその声にはあった。


翠「亮は、亮はどこだ。」


会議室をざっと見まわす。そこに御子柴亮《みこしばりょう》の姿はない。


金剛「なに、ちょっと別室で待機してもらっているだけだよ。」


「鈴間、貴様何しに来た。」


「何を考えているんだ。」


周りの黒服たちの声は翠に怒鳴りつけるような低い声だった。


翠「何しにって――」


金剛「かーーー。ダメだなぁ。お前たちは。」


翠の声を金剛が遮る。その場にいた全員の視線が金剛に向けられる。


金剛「今この時。奴がここに来た理由は1つしかあるまい。ック。クキキ。クキキキキ。」


奇妙な笑い方をしながら金剛は翠を見つめる。


翠は思わず一歩後退った。その目が捕食者の目だったから。


金剛「ギャンブルをしに来たんだろう?なぁ?鈴間君?」


翠「…話が早くて助かるよ。」


周りの黒服はポカンとしていた。


この場は完全に金剛の支配下にあった。


金剛「クキキ。何が欲しいんだ?」


金剛の顔は裂けんばかりに歪んでいた。


翠「…俺は、ラピダリーに決闘を申し込む。俺が勝ったら、御子柴亮の処分は俺に一任してくれ。」


「なっ!」


「ふざけるな!」


「馬鹿いえ!今がどんな状況かわかっているのか!」


黒服たちが一気にヒートアップする。


翠にとってこれは勝算がとても低い賭けだった。


飲み込んでくれるはずがない。心のどこかでそう感じていながらも奇跡を願っていた。


金剛「…クク、クキキキキ。クキキキキ。」


ざわつく会議室が彼の笑い声で途端に静寂に戻る。


金剛「クキキキ。じゃあ、鈴間君。君は何を賭けるのかな?」


ギョロリとした目が翠をとらえる。再び翠は後退る。


翠「…俺の全てだ。」


金剛「クキキキキ。カーカッカッカ。キキキ。」


金剛は楽しそうに手をバシンバシンと叩いて笑った。


金剛「足りないよ。鈴間君の全てごときじゃあ。」


「…そ、そうだ!そうだ!」


「調子に乗るなよ!」


金剛「…お前らは黙っていろ。わしは今鈴間君と話をしているんだ。」


金剛の圧に黒服は全員黙るしかなかった。ただ1人を除いて。


祐「…じ、自分も…自分も賭けます。」


金剛「あ?」


金剛の鋭い視線が四十万祐《しじまゆう》に向けられる。


祐「っひ。」


祐は腰を抜かし、その場に尻もちをついた。


金剛「聞こえなかったか?黙れと言ったんだ。」


金剛の後ろに闇が広がって見えた。


祐「…いやです。」


金剛「…なに?」


祐「いやです!自分も、自分の全ても翠さんに託します!鈴間さんの勝ちに自分も全てを賭けます!」


翠「…四十万さん。」


金剛「…クキックキキ。」


金剛は肩を揺らして笑っている。


翠「俺と、四十万さんの全てを賭ける。どう?これで足りる?」


金剛「…足りないなぁ。お前ら二人の価値はせいぜいこの程度だ。」


そう言うと金剛はポケットをゴソゴソと漁り、入っていた硬貨を取り出した。


祐「た、たったの100円…」


翠「…」


翠は強く睨んでいた。


金剛「良いじゃないか。100円で。これでも十分すぎるほどの価値だ。100円あればわしと戦う権利を得ることもある。」


翠「え?」


金剛「コイントス。表が出ればわしはお前の提示する条件で戦ってやろう。しかし、裏が出れば、お前ら二人の全てを貰うぞ。」


翠の額に汗が流れた。金剛の思い通りにしかならない。そんな気がした。


金剛「それい。」


金剛は翠に向かって100円を投げつける。


コインは翠の前まで高く飛び、


『チリーン』


倒れた。


金剛「…おめでとう。」


コインは表を向いていた。


「な、どういうことだ?」


「ばか、亮の処分を賭けてギャンブルするってことだ」


「は?本気なのか?」


金剛「文句があるのか?」


金剛の圧に黒服は黙ることしかできなかった。


金剛「さぁ。翠君。場所を変えよう。」


金剛は席を立ち、杖を手に歩き出した。


翠「待て」


翠の声に金剛の動きが止まる。


翠「なぜ。表だとわかったんだ。お前の座っていた位置からコインは遠くて見えないはずだ。1番に反応できるはずがない。」


金剛「クキキ。クキッキキ。そう思うならコインを確認するんだな。」


翠「え?」


翠はしゃがみ込みコインを手とった。


そして、衝撃で固まった。


金剛「運がいいなぁ。鈴間君。わしがたまたまポケットから取り出した硬貨がエラーコインだなんて。」


金剛のニヤケ面は翠を見つめていた。

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