第57話 琥珀色の過去⑦
見つかった御子柴亮は異様な状況だった。
サーカスの舞台上には血まみれで倒れた構成員が折り重なっていた
鉄臭い舞台上。真っ赤に染まった拳と真っ黒に塗りつぶされた目。
彼はそこに立っていた。
観客は大歓声を上げていた。拍手の音が、亮の耳をこだまし、サーカス会場の熱量は最高潮に達していたという。
そこに突撃したラピダリーの黒服たちは皆声を揃えて「地獄のようだった。」と話した。
その日「殺しの亮」と呼ばれる男が誕生した。
*
硬「そんなことが…」
あまりに衝撃的すぎる話に、玉木硬は震えていた。
鈴間翠は隣で目を瞑りながら辛そうに聞いている。
亮「ついていたんだ。奴ら、銃を使えなかった。もし、観客に弾があたりでもしたらそれこそ一巻の終わりだ。脅しで持ち出しはしたが撃つことは無かった。」
亮の眉間にはしわが寄っていた。
亮「これで分かっただろう。硬君が勧誘を受けた東院連合ってのは、そう言う連中なんだ。」
硬「で、でも、結局琥珀さんが死んだ理由ってなんなんですか?」
亮「分からないんだ。東院連合が絡んでいるのは確かだ。でも、肝心なことは分かっていない。あの日何があったのか。なぜ琥珀は死んだのか。分からないんだ…」
亮は下唇を噛んでいた。
硬「そうだったんですか…え?でも、それからどんな理由があって、亮さんは今barで働いてるんですか?」
亮「それはな、翠のおかげなんだ。」
亮は翠に視線を送る。
亮「俺は、本当は東院連合に身柄を渡されるはずだったんだ。当然だ。報復しないと奴らの顔も立たない。」
翠「でも、そんなの認めるわけにはいかないだろ。」
硬「翠さん…」
翠「亮ちゃんの身柄が確保されて、ラピダリーの本部に運ばれた後、俺は賭けに出た。常軌を逸した賭けに。」
*
~1年前 亮の身柄確保後~
「ど、どうします?」
「どうするも無いだろう!」
「こいつを放っておいていい理由がどこにある。」
「今すぐにでも東院連合に身柄を渡さないと、ラピダリーは終わりだ!」
ラピダリー本部では亮の処分について大慌てだった。
会議室では多くの黒服が今後の対応に追われている。
一番奥の席に座る老人はただ黙って話を聞いているだけだった。
当人の亮は両手を縛られ、死んだ顔で茫然としていた。
「とにかく、今すぐにでも御子柴を東院連合に渡すんだ。まったく…余計なことしやがって…」
「そ、そうですよね。すぐに連絡します!」
ラピダリー内の空気が固まりはじめていた。その時だった。
『ガチャ』
祐「あ、あの!!」
祐が会議室に飛び込んできた。
「あ?なんだ?」
祐「亮さんに会わせて欲しいって人がいて。」
「どこのどいつだ。」
祐「王石《crown》クラスの鈴間翠です。」
「放っておけ。今はそれどころじゃ――」
??「まぁ待て。」
声を出したのは奥に座る老人だった。
「金剛さん…」
金剛「面白いじゃないか。呼んでくれ。」
金剛大門。翠たちが王石《crown》クラスに上がるよりもずっと前からそのクラスに鎮座する、当時のラピダリー最強の男。
彼の口元が異様なほど歪んでいた。
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