第56話 琥珀色の過去⑥
翠「ん?もしもし?亮ちゃん?」
亮「…翠か?お前には伝えておこうと思ってな。」
翠「ん?何?話が見えてこないんだけど?」
鈴間翠は急にかかってきた御子柴亮の電話に出ていた。
亮の声が今まで一番暗く深かった。
亮「琥珀が死んだ。」
翠「は?」
亮「東院連合だ。」
翠「いやいや。え?」
亮「俺は今から奴らを殺しに行く。」
翠「待てよ!」
亮「だからお前と羽はサーカスに近づくな。」
『プツ』
翠「ちょっと亮ちゃん!?」
翠の額に嫌な汗をかいていた。
琥珀ちゃんが死んだ?サーカスに挑むな?
どういうことだ?
翠はとりあえず、本部に向かった。そこに行けば何か事情が分かるそんな気がして。
*
サーカスの会場は地下だった。
黒服「すいません。身分証を。」
入り口で黒服に止められた亮はその黒服に長い脚で蹴りを入れる。空中に浮かび上がった黒服をよそに中に入る。
全員殺す。
亮の頭の中にあるのはその1点だけだった。
*
翠「だーかーらー、御子柴亮っていう黒服がいるでしょ!?彼が今何をしているのか知りたいの!!」
翠は本部のカジノにあるインフォメーションセンターで騒いでいた。
黒服「いや、そう言われましても…」
翠「知らないんだったら上の人呼んでよ!緊急な奴なの!!」
翠は一歩も引かなかった。焦りが全身を支配していた。
祐「あ、あの!」
翠「ん?」
翠の後ろから黒服が声をかける。
祐「自分、御子柴亮さんの後輩の四十万祐って言います。あの、前に御子柴さんと電話していた人ですよね。」
翠「亮ちゃんの後輩?なら丁度良かった。全部教えて。いま亮ちゃんの身に何が起こってるの!?」
翠の顔は焦り一色だった。そしてそれは祐も同じだった。
祐「実は…」
祐の口から語られたのは、山奥で見つかった琥珀の死体。琥珀が死ぬ直前、東院連合のサーカスに参加していた可能性があること。今日行っている外部依頼に東院連合主催のサーカスがあること。
そして、亮がそこに向かったことだった。
翠「そんな…本当に琥珀ちゃんが…死んだのか…」
祐「ええ。間違いないかと。」
翠はその場に崩れ落ちた。
翠「…ってことは、亮ちゃんが危ない。亮ちゃんは仇を取るって言ってた!」
祐「ええ。分かっています。すでに他の黒服に連絡して、今その会場に向かってもらってます。間に合えばいいんですが…」
羽「その話本当なのか?」
いつの間にか翠の後ろには非張羽が立っていた。
翠「羽ちゃん。琥珀ちゃんが…死んだって…」
羽「ああ。亮からの電話で聞いたよ…」
羽は悲しい表情を一瞬見せたあと、小さく息を吐きいつもの表情に戻る。
羽「…アイツは、負けたんだな。」
翠「…え?」
羽「そういう世界だ。翠。認めろ。」
翠「羽ちゃん?」
羽「亮も亮だ。負けたから死んだ。今更それで駄々をこねたところで。」
翠「何…言ってんだよお前…悲しくないのかよ!!琥珀ちゃんが死んだんだぞ!!」
羽「分かってる!!」
翠の大声は、羽の大声でかき消された。
周りの目線が2人に集まる。
羽「でも、そういう世界だろう。俺は、情に流されるような弱いギャンブラーじゃない。」
羽は強くこぶしを握っていた。爪が食い込み、血がにじんできそうなほど強く握っていた。
翠「羽ちゃん…」
羽「…じゃあな。」
そう言って羽はその場を後にした。その手は確かに震えていた。
『ブブブ』
祐「!も、もしもし!はい。はい。分かりました。」
祐は電話に出ると息を荒くしていた。
祐「翠さん。亮さんの身柄を確保しました。」
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