第52話 琥珀色の過去②
~2年前 琥珀 王石《crown》クラス昇格後~
翠「琥珀ちゃんおめでとう!!!」
琥珀「ありがとうございます!!!」
羽「おめでとう。」
鈴間翠と非張羽はビールのジョッキを、御子柴琥珀はカクテルの入ったグラスを手に乾杯をしていた。
亮「本当に良く頑張ったな、琥珀。」
御子柴亮がもっていたのはウーロン茶だった。
琥珀「うん。ありがとう、兄ちゃん。」
琥珀は照れ臭そうに笑った。
翠「ちょっとちょっと~亮ちゃん。せっかくのめでたい席なのにノンアルってどうなの~?」
羽「馬鹿言うな。亮が飲んだら誰が送ってってくれるんだ?」
亮「そうだぞ。ラピダリーの幹部様が運転してやってるんだ、感謝して欲しいな。」
琥珀「あはは」
4人は楽しそうに笑っていた。
お酒を飲み、琥珀の昇格を喜んでいた。
*
3人にお酒が回り、時間も遅くなっていた。
翠「これで俺ら3人も王石《crown》クラスだな~。テンション上がる~。」
琥珀「翠さん、その話何回するんですか~。」
羽「…」
羽は翠の方をジッと見つめていた。
琥珀「ほら、羽さんも怒ってますよ~」
翠「んや、違うな。こいつのこれは、」
羽「…Zzzz」
翠「目を開けながら寝てんだよ。」
ケラケラと笑いながら翠は羽の肩をバシバシ叩いた。
羽「ッハ!なんだ!次のゲームか!?」
翠「アハハ馬鹿だ、馬鹿だこいつ~。ひぃ~。」
琥珀「アッハハハ何ですかそれ~」
そんな酔っ払いどもを亮は冷たい目で見ていた。
翠「ちょっと亮ちゃ~ん、そんな辛気臭い顔しないの~嬉しくないの?実の弟、琥珀ちゃんが王石《crown》クラスだよ~」
赤い顔の翠が亮を指さす。
亮「そりゃ嬉しいさ。本当、自慢の弟だよ。」
優しい目で琥珀を見る。琥珀の顔も赤くなっていた。
亮「昔からこいつは頭が良かったんだ。」
翠「亮ちゃんの頭も琥珀ちゃんに持ってかれちゃったね~」
亮「ッフ。やかましいよ。」
琥珀「でも、兄ちゃんは俺の運動神経を全部持ってたもんね。昔からずっと強いもん。俺は体が弱かったから…」
琥珀はお酒を片手に亮に目線を送る。
琥珀「昔から俺らは2人で生きてきた、本当に感謝してるよ。」
亮「あぁ。そうだな。そしてこれからも、俺らは一緒だ。」
お酒を飲んでいないはずなのに亮は熱く語って顔が赤くなった。
翠「家族の絆って泣けるね~羽。」
羽「…Zzz」
翠「ちょっと~」
*
夜も更け初め、酔っ払いを詰め込んで、亮は車を走らせた。
翠「いや~亮タクシーは便利だなぁ。」
羽「ぅう、気持ちわりぃ。」
後部座席に座る二人の酔っ払いはうるさかった。
琥珀「ちょ、ちょっと羽さん大丈夫ですか!?」
助手席に座る琥珀が体をひねって羽を見る。
亮「おいおい、車で吐くなよ。頼むから耐えてくれよ。」
羽「大丈夫、耐えれます。」
遠くの方を見つめる羽の目は虚ろだった。
亮「本当に大丈夫か。ヤバかったら言えよ。」
小刻みに揺れる車は夜の都会を駆け抜ける。
翠「…次は原典《Lapidary》クラスだな。」
夜の光が車に影を落とす。
亮のハンドルが握る力が少し強くなった。
羽「原典《Lapidary》クラスは1番乗りは俺がもらうからな。」
弱々しい声で羽は呟いた。
翠「宝石《Gem》から王石《crown》上がるときも同じこと言ってたよね。」
琥珀「俺だって、負けませんよ。今回は最後になりましたが、次は俺が最初に30億稼いで、1番乗りして見せます。」
翠「ハハ、恨みっこなしだよ。」
さっきまでの和やかな雰囲気とは違っていた。表面上は和やかでも、やはりギャンブラー同士、車内は少しピリついていた。
亮はアクセルを踏み込む。
琥珀が一番乗りすると信じている。
そう口にしなかったのは、運営という立場だからだ。
きっと、それだけだ。
ルームミラーには後部座席に座る天才二人が映っていた。
過去編は1日2本投稿にしようと思います。
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